「タイタンの戦い」。 「グリーン・ゾーン」よりも芯になるものが感じられない 


タイタンの戦い / Clash of the Titans

オリジナルに対してレイ・ハリーハウゼンの名前がよくあがるから、60年代の映画だと思っていたら80年代の映画だった。どうやらハリーハウゼンの引退作らしい。同時期のリーアム・ニーソンが出ている「エクスカリバー」(モーガナはヘレン・ミレン)ならテレビで見たことがある。

監督はフランス人のルイ・レテリエ、「インクレディブル・ハルク」は悪くないと思っている。バトル・シーンをだらだらとせずに数を絞ってかっちりと見せ、その間を人間ドラマで埋めるという方法論が(ハルクの造形はともかくとして)成功していた。それに対してこちらはドラマが盛り上がることもなくダラダラと旅をするRPGのようでメリハリもない。「インクレディブル・ハルク」のドラマ・パートは主役のエドワード・ノートンが実質的に担当していたらしいから、それもしかたないのかもしれない。バトルへの過程も描き方が浅いので盛り上がらない。一番面白いのはメデューサ退治か。

主人公のペルセウス(サム・ワーシントン)は神と人間の間に生まれた男だが、その設定も活かされていない。自分の運命を受け入れるまでの過程もあっさり。育ての親は神によって殺された葛藤についても同様。物語の根幹がこれなのだから、全体が良くなるわけがない。何よりも実力俳優を起用しながらゼウス(リーアム・ニーソン)とハデス(レイフ・ファインズ)の軽さはどうだ。ゼウスは人間を孕ませるようなやつだからこれもありなのかもしれないが、ハデスは単なるバカだ。これから「パーシー・ジャクソン」のロックなハデスのほうがまだ良かった。

各国から集められたキャストも物足りない。主役のサム・ワーシントンは可も不可もなしでもいいとしても、アンドロメダがかわいくないのが致命的。たとえば「トロイ」のダイアン・クルーガーは、それまでの彼女を知らなくても、あの映画では絶世の美女として機能していた。ついでに言えば母親のカシオペアは劣化版キャサリン・ゼタ=ジョーンズにしか見えない。ペルセウスの相手役となるイオ(ジェマ・アータートン)とマッツ・ミケルセンはまあまあ。ほかで脇役ながらニコラス・ホルトが印象に残った。

クリーチャーでは肝心のクラーケンは迫力不足。一番良かったのはスコーピオン、メデューサはあれもありだと思うが、ペガサスはもっと工夫をしてほしかった。これを見て思い出したのは「ロード・オブ・ザ・リング」、もちろんこれが「LOTR」から影響を受けているのだろうが、逆にオリジナル「タイタンの戦い」からの「LOTR」への影響もありそうだ。ここは「マクベス」からの引用と思う場面もあり、こうしたキャッチボールは楽しい。

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登録日:2010年 05月 13日 00:54:10

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