「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」。 「レギオン」の数倍は吹っ切れた快作


冷たい雨に撃て、約束の銃弾を / Vengeance

「エグザイル」では乗り切れなかったジョニー・トー監督新作。キメキメの場面が多くてのめり込めなかった「エグザイル」とは違い。程よい映画ならではのファンタジーが楽しめる。フランスと組んだことで脚本がある程度しっかりしていたのが要因だろう。それでいて「エグサイル」にもありそうな自転車を使った遊びなどはこちらのほうが効果的だと思う。ネタバレ回避のために項目別に。

銃撃戦。
娘を襲われたフランス人コステロ(ジョニー・アリディ)と彼が報復を依頼したクワイ(アンソニー・ウォン)をリーダーとした殺し屋3人。まずは森の中、始まる前の静寂から一転しての月下で銃撃戦。月が雲に隠れたときにコステロの意識が混濁したようになるところが素晴らしい。そのまま街に流れ込み、3人がコステロを見失う展開もうまい。

殺し屋3人と黒幕の戦いはごみ収集場、固めたゴミを盾代わりにするのは笑えるが、全体的に一番スタイリッシュな場面はここ。滅びの美学と派手な銃撃戦という男の世界が大いに楽しめる。最後はコステロによる黒幕への復讐だ。黒幕を追い詰める様はターミネーターを思い出すほどで、父親の執念を感じる。

食事、この映画でも食事場面は実においしそうだ。食事とは幸せの象徴であり、人間関係を深めるものである。

まずは殺される直前のコステロの娘が作りかけている幸せな家庭料理。その現場にコステロは殺し屋を連れてくる。殺し屋たちがプロファイリングで犯人の人数や特徴を調べている(!)脇でコステロは娘が完成させることが出来なかったパスタを作り4人で食べる。パスタがぷりぷりして実においしそうだ。

コステロたちが追う犯人たちにも家庭があり、4人が駆けつけたときにはキャンプで食事をするつもりだった。見ているほうにとってはこれから始まる悲劇の静かな導入部であり、幸せそうな家庭がこの後に崩れることは容易に想像がつく。何も分かっていない子供たちの姿がかわいそうだ。

コステロはクワイの女に預けられ、彼女が養っている子供たち(孤児?)と食事を取る。そこはクワイたちが託した小さな幸せがある場所である。しかしながらコステロはそこに安住できる人間ではない。だからこそ女は真実に気付いたコステロを戦いへと送り出すのだ。


ここからはややネタバレ
記憶。コステロの記憶はあやしくなっている。インスタント写真を撮ってそこに名前を書き込む場面は「メメント」を思い出すが、あれほどには記憶がメーンの話ではない。月下の銃撃戦での描写。そして黒幕を追い詰めるときの目印、ギャグ一歩手前ながらいいアイディアだと思う。蛇足ながらコステロの娘殺人現場プロファイリング時のフラッシュバック映像も良い。

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登録日:2010年 06月 03日 00:47:43

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