「トイ・ストーリー3」。 「パリ20区、僕たちのクラス」とは違う意味でよく作りこまれt脚本
トイ・ストーリー3 / Toy Story 3
まずは恒例の短編「デイ&ナイト」から。短編というとショート・コントか動きを重視したものというのがふつうだが、今回はアイディアの勝利。スマーフみたいな格好をした擬人化された昼と夜が登場。最初は彼らの動きと彼らの中に写る出来事がシンクロしている点が面白い。次第に昼と夜の違いを出してくる。昼が騒がしかったら夜は静か、昼が子供なら夜は恋人たちという具合だ。大体は昼のほうが良さそうなのだが夜も花火などで対抗する。最後には仲良くなるのだが、某都市の昼と夜それぞれの華々しさを使ったあたりはお見事だ。
続編には必然性のある続編とそうではない続編があって、この「トイ・ストーリー3」は後者になる。一時期ディズニーがビデオ用のよく分からない続編を乱発していた時期があった。「トイ・ストーリー」もピクサー抜きの続編が出るという噂があったというだけでなく、バズ・ライトイヤーのスピンオフが作られている。結局ピクサーがディズニーに残ることでこうして、まともなパート3が作られたことはうれしいことだ。
また続編にはそのシリーズ用ではない脚本がアレンジされたり、逆にシリーズ用に用意されたものが別の企画として再利用されたりすることもある。この「TS3」もある意味ではそうした側面を持っている。つまり最初と最後はおもちゃと持ち主の関係を描くき(今回アンディは大学生になるためにしばらく使っていないおもちゃたちと本格的にお別れしなくてはならない)という「TS」のテーマを持ってきて、本編というべき中間部では別のアクション映画として成立させるのだ。もちろんそのパートは全体から浮いていないし、最初と最後がテーマをきちんと描くことによって中間部が遊びすぎても(そこまで行っていないが)かまわないのだ。ピクサーは脚本がいいと言われるが、今回のように「リトル・ミス・サンシャイン」のマイケル・アーントという外部の力を導入しても土台がしっかりしているからゆるぎないのだ。
今回の話は大学進学を控えたアンディはおもちゃたちを持ってゆくもの、寄付するもの、屋根裏にしまうものに仕分けなければならない。結局手違いでウッディ以外は幼稚園に寄付され、ウッディはおもちゃたちを家に連れ戻すため幼稚園に乗り込む。ウッディはそういうが、アンディの家に戻ってもどうせ屋根裏で、それよりは遊んでくれる子供たちがいるのでここで言いというおもちゃたち。こどもに遊んでもらってこそのおもちゃというシリーズのテーマをうまく持ち出している。単独行動をとったウッディはアンディの知り合いの女の子ボニーのところ(トロロがここにいる!)に行き、あの幼稚園がクマのぬいぐるみロッツォが牛耳る悪の帝国であることを知る。ここは当然のように大人向けであり、新キャラクターであるバービーのお友達のケンがギャンブル依存症になっているところなどはかなりきつめの描写だ。この幼稚園が監獄のようにしているからそこからの脱獄劇が盛り上がるわけだ(その前のウッディが最初に幼稚園から出てゆくのが一番のスペクタクルかもしれない)。ここで語られるのは仲間を見捨てないという、これまたこのシリーズのテーマだ。
今回ややダークになっているのは悪役を人間ではなくおもちゃの中に設定したことにある。これに関しては賛否両論があるだろう。それでもさすがにピクサーと思わせるのはロッツォがどうしてこうなったのをしっかり描いていて説得力がある。彼は最後までいやな奴で、かわいそうな最後を迎えるが、救いがないわけでもない。
中間部のラストで上にあげたテーマを織り込み、全体のラストでは最初に戻ってアンディとの別れとおもちゃにとっての幸せとは何かという問題にきっちりと結論をつける。ウッディの選択も仲間のことを考えているからこそだ。
新キャラクターではバービーでなくケン、彼の七変化がいい。人間ではボニーちゃん、ピクサーにしてはデザインがよくないと感じるが「1」「2」との整合性を考えるとこれでもいい。
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登録日:2010年 07月 05日 01:09:29
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