やや物足りない「父親たちの星条旗」
クリント・イーストウッド監督の新作は自分にはやや物足りないものとなった。
3つの時間軸を中心とした話とこの映画の視点に問題あり。
物語は若い兵士たちの体験を中心に戦場、国債販売キャンペーンツアー、
現代との3つの時間軸で語られ、フラッシュバックが多用される。
前半は効果的だが硫黄島の戦いに決着がつき、
国債ツアーに時間が追いついてしまうと効いてこない。
パンフレットにある「無名性」は戦闘シーンで際立っていて、
全米1位映画に主演したことのある役者も見事に全体の中の一人になっている。
ところが生き残った3人の国債集金ツアーになってもその視点で撮られているので
どうしても印象が平坦なものになってしまう。
3人の中の一人は利用されていると感じながら有頂天になり、
もう一人は戦友を思いながら自分はここにいるべきではないと感じ
酒におぼれてゆくインディアンで、最後の一人はそのどちらからも距離を置く常識人。
それのニュートラルな人が原作者の父親で、彼の目線が中心なので
どうしても盛り上がりに欠ける。以前のイーストウッドなら極端な二人を
対比しながら残酷な物語を撮ったのではないだろうか。
予告編にあった「真の英雄は硫黄島で死んだ戦友です」という発言も
上官から言うなと言われていたが、それをあえて言ったというものではなく
国債キャンペーンの流れでの発言というのもやや肩透かし
(なんとなくなんとなく「サハラに舞う羽根」のラストを思い出した
http://www.imdb.com/title/tt0240510/quotes
Jack Durrance: You may be lost,~の部分)。
この後半は反戦的でありながら、絶対的な悪の人間を示さないために
製作者の主張が曖昧になっている(観客の解釈に任せると監督が発言した
「ミュンヘン」の方が遥かに主張が感じられる)。
それならば地上における人間の愚かな営みを嘲笑うかのような
上からの視点で映画を撮るべきではなかったのか。
本編後の「硫黄島からの手紙」の新予告がまた一昔前のイーストウッドが
好みそうな題材で興味を持った。
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登録日:2006年 11月 05日 00:21:56
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