2008年 06月 05日

「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」

<第31回トロント国際映画祭>「Away From Her」の記者会見が開催される - カナダ

【トロント/カナダ 13日 AFP】第31回トロント国際映画祭(31st Toronto International Film Festival)で11日、映画「Away From Her」の記者会見がサットン・プレイス・ホテル(Sutton Place Hotel)で開催され、出演キャストや関係者が出席した。
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(c)AFP/Getty Images Donald Weber

AFPBB News


アウェイ・フロム・ハー 君を想う/Away From Her

本年度アカデミー賞に主演女優(ジュリー・クリスティ)と脚色(サラ・ポーリー)がノミネートされた本作はそのサラ・ポーリーの長編監督デビュー作。30前にして結婚44年の夫婦のアルツハイマーという題材を選ぶあたり、変に老成した感覚を持った人なのかと思ったが、実際に見てみるとある愛の形を描いたという感じでだった。題材からして単純なハッピーエンドにはならいと監督は言っているが、そこは十分に納得できるものになっていて不自然さは無い。ただ気になったのは監督の男性に対する視線が厳しいこと、元大学教授グラント(ゴードン・ピンセント)は愚かだし、入所した施設でフィオーナ(ジュリー・クリスティ)が夫のことを忘れて好意を持つことになる男性オーブリーも情けなく描かれており、オーブリーの息子にいたっては金で物事を解決するようなタイプ。これに実況男と、ましな男がほとんどいない。こちらとしては"男って本当に情けない生き物よね"と説教されているようで恐縮するしかない。老人介護施設のスタッフで登場するのも女性ばかり、子役出身の人なので当時から汚い大人を色々と見てきた反動が出たのではないかと、邪推してしまう。

フィオーナは施設に入る直前に教授時代のグラントと学生との浮気を思い出す。彼は妻の症状や行動がそんな自分への復讐ではないかとも感じる。もちろんグラントのフィオーナへの愛は愚かであったり、わがままであったりしても、それは彼なりの愛情表現であり一概に否定できるものではない。彼は妻にとって最高の夫ではないが、彼なりの愚直な愛し方で妻のことを愛しているからこそ、妻のことでこんなにも悩むのだ。それを浮かび上がらせるためには、もっと彼への暖かい視線があるか、他のまともな男性を描いておいた方が有効的だったはずだ。やや気になったのはグラントとフィオーナの年の差、かなり離れているのにそれを感じさせないのはやはりグラントの子供っぽさが画面から出ているからか。

ジュリー・クリスティは1年という時間の経過の中で凛とした姿から疲れきった表情まで見せるが、あのような施設で(元気を出すためにも)化粧をしてあげないのかが気になった。それが可能だとしても本人が断ったという設定なのだろう。それからグラントの回想に出てくる若き日のフィオーナが秀逸。目が印象的なジュリー・クリスティの若い頃とサラ・ポーリー(ついでにアンナ・カリーナ)を混ぜたようなルックスで、キャスティングの理由を見たような気がする。施設の構造が自然光を取り入れるようになっているがこれはヤコブの梯子のようにも見える。その光はたしかに美しいが出てくる回数が多いのでややくどい。冬の雪が白いと言うよりは青白い風景、エンディングに流れる k.d.ラングによる"ヘルプレス"(これが収録されている「ヒムズ・オブ・ザ・フォーティーナインス・パラレル」は同郷のミュージシャンによる楽曲のカバー集。意外性があるのはジェーン・シベリーくらいだが、逆に言うとじっくりと有名曲が歌われたアルバム)、音楽で参加しているヴァイオリニストのヒュー・マーシュ(ロリーナ・マッケニット、ブルース・コバーン)、なるほどカナダだ。

写真はジュリー・クリスティーがいまいちだが、二人が映っているのはこれだけなので。

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登録日:2008年 06月 05日 21:55:49

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