2008年 11月
「BOY A」
「少年A」は日本でお馴染みの少年犯罪者のこと、彼がシャバに戻ってきたところから映画は始まる。彼はケースワーカーの助けを受けながらジャックという名前で新しい生活を歩むことになる。ジャックを演じるのはロバート・レッドフォード主演・監督作品『大いなる陰謀』でやる気のない大学生役だったアンドリュー・ガーフィールド。10年近く世間を知らない彼は陰があると同時に犯した罪とは真逆の幼さも一瞬にしてかもし出すと言う難しい役を登場シーンで見事にこなす。
ジャックが過去に犯した犯罪は回想/悪夢として出てくるが、早い段階で墓参りの場面があり、そこには1983-2000とあって、一瞬"ん?"と思う。それは彼の共犯者で死んでいたことが分かる。回想シーンでは共犯者の方が悪の要素が強い、ジャックが彼に引かれて悪に染まっていく様が描かれ(それもよくあることだ)、結果的にジャックの方がとどめを刺すことが示唆される。ジャックは共犯者についてこう言う"彼は自殺すような弱い人間じゃない"。それは他殺を意味し、本来はジャックの方が彼より弱い人間であることを告白している。
この映画の結末はやや単純すぎる気がしないでもない。ジャックの場合はケースワーカーとの関係が親密すぎるように感じた。それがかえって逃げ道を塞いでいるのだ。この悲劇を起こさないようにするにはどうしたらいいのか、親密になった人に正体を明かせなかったのかと思う。ジャックが人助けをして新聞に載ったときに、上司に言われて会社の帽子を被っていたので、会社としては恥をかいたことになっている。ケースワーカーにしても職場の上司に連絡を取る必要もあったかもしれない(それによって解雇されたら訴えるのだ)。
ついでに予告を見ただけでスルーしていた少年犯罪モノ「パラノイドパーク」も見たくなった。
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登録日:2008年 11月 30日 14:46:36
「ブラインドネス」
【5月15日 AFP】第61回カンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)が14日開幕した。
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(c)AFP/Claire Rosemberg
ブラインドネス/Blindness
フェルナンド・メイレレス監督と言えば「シティ・オブ・ゴッド」「ナイロビの蜂」で、最先端社会のすぐ隣に潜む闇にある狂気や日常の中にある非日常を描いてきた。今作では一般人が非日常に放り込まれたらどうなるかを描いている。ただここではふつうの人が狂気へと変わる瞬間があまりよく描かれていないと思う。ガエル・ガルシア・ベルナル演じる男が収容所で王として君臨し悪行を尽くすのだがその悪に深みが足りない。
映画を見る前に原作本「白の闇」を読んだが、これはあまり映像向きな作品ではない。原作では人々がどんどん目が見えなくなり、医者の妻だけが目が見えることによって彼女が文字通り目撃者になるのだが、映画では観客側にも見えてしまう。例えば排泄物に関することなどがそうなのだが、小説ではレベル3程度まで書いても読者がレベル5かそれ以上の状況を想像できる。それに対してこの映画ではカメラに映っていない部分は、想像によって補完したくなると言うよりは見えないままになっているのだ。ちなみに予告で"全世界、失明"とあったが映画でもそんなことは言っていない。
どこの国と特定されていないのは原作と同じだが(公用語は英語)、登場人物の人種がバラバラなのは映画の世界観を多文化的にしようという監督の意思だろう。マーク・ラファロとジュリアン・ムーアが夫妻というのはどうかなと事前に思ったが、ラファロが年上好きの雰囲気を出していて悪くない。髪を金髪にしたジュリアン・ムーアは熱演が空回りすることなく適切な演技を披露している。この映画で聞こえてくる外国語は最初の患者とその妻が話す日本語だが(英語だけでなく、日本語のセリフにも日本語字幕が付く)、監督にとって最も遠い言語にエキゾチックさを求めているのだろう。伊勢谷友介と木村佳乃では木村が日本語でも英語でも木村が話していると感じるのだが、伊勢谷は日本語と英語ではかなり感触が違っていた。
最初の発病者の近くにいた人間が次々に感染すると言うのは映画も原作も同様で、彼と彼がかかった眼科の病院にいた人たちで最小単位となり、それは収容所でも同じだ。収容所に送られてくる人は増え、さらに外の世界では病気が広がる。つまり「小」で始まったものが「大」になり、「小」の人たちには手におえなくなってくるという構造になっている。しかしフェルナンド・メイレレスが得意なのは大きな事件や社会の中で奮闘する個人や小グループを描く方ではないだろうか。個人的な感覚で言えば収容所を脱出したときには外の世界はもっと酷い世界であるはずなのだ。この監督はハッタリをかますのがあまりうまくなく、大局的な戦争映画などは向いていないのかもしれない。
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登録日:2008年 11月 28日 21:58:03
「その土曜日、7時58分」
<第32回トロント国際映画祭>『Before the devil knows you’re dead』北米プレミア上映会開催
【9月16日 AFP】15日までカナダで行われている第32回トロント国際映画祭(32nd Toronto International Film Festival)の8日目を迎えた13日、映画『Before the devil knows you’re dead』の北米プレミア上映会がエルギン・シアター(Elgin Theatre)で開催され、監督・出演者らが登場した。(c)AFP/Getty Images
その土曜日、7時58分/Before The Devil Knows You're Dead
なんと84歳という大ベテラン監督の新作だが、これがよく出来ている。まずは最初から最後までダメ男ハンクを演じきるイーサン・ホークが素晴らしい。これに対して兄アンディを演じるフィリップ・シーモア・ホフマンは前半こそスマートだが後半では崩れてゆく人間をうまく変化をつけて演じている。キャスティングを聞いて"この二人が兄弟?"と思ってしまうが、気にならなくなる。弟ばかりをかわいがる父親(アルバート・フィニー)に対して"俺は、本当は血が繫がっていないんだろ?"とつい口走ってしまう兄アンディだが、終盤の彼と父親の行動を見ていると"お前らは、間違いなく親子だ"と観客のこちらとしては言いたくなってしまう。つまりは始めのうちは弟だけがだらしない人間だと思わせて、終盤ではそれはこの家族全体の問題だと気付かせているという展開だ。結局、弟は純粋なバカであり、他の人たちの方があくどいのだ。
金に困った兄弟が実家の宝石店に押し入る、一種の狂言強盗計画を実行するはずが弱気な弟がチンピラを連れてきたことから、事態はどんどん悪い方に向かう。チンピラは銃を持ち込み、店番は想定外の兄弟の母親であり、チンピラが銃で母親を脅したために母親が発砲。結果的にチンピラは死亡し、母親は重体となる。これを聞くとギリシア神話のようだという形容がされると思うのだが、最後まで続く負の連鎖は、むしろ話を転がす道具なのではないのか思う。弟の相棒がもっと間抜けなら、同じく狂言強盗モノである「ファーゴ」とまでは行かなくてもトラジコメディになっていたはずだ。そういった必要以上に重すぎない感覚がこの映画の隠し味だと思う。
この映画では強盗や葬式の時間に何度か時間が巻き戻して同じ場面でも別の角度から見せている。通常そうした手法は観客を驚かしたり、混乱させたりするのだが、この映画ではむしろ脳みそをほぐすような効果がある。ありきたりな手法を用いながらも、工夫があって良い。
メーン二人以外の俳優とラストについて。アルバート・フィニーは前半の悲しみにくれた豊かな表情と後半の覚悟を決めたかのような硬い表情をうまく使い分ける。冒頭のフィリップ・シーモア・ホフマンとの絡みとヌードが話題となったマリサ・トメイは若作りしたとは言わないが、その無理した感じがこの家族の一員らしくて良かった。ラストの白い光は当然あちらへの誘いだろう。
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登録日:2008年 11月 26日 21:00:45
「ハッピーフライト」
「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」の矢口史靖監督新作は予告を見ると若いCAの成長物語のように見えるが、実際には機長昇格を目指すパイロット鈴木(田辺誠一)の話が中心。そして機上の人たちだけではなく、地上で働く人たちにかなりのスポットを与えているのがポイント。もちろん飛行機に関するトリビアも満載でお仕事映画としても楽しめる。
飛行機の映画を作るという点においてこの脚本には苦労の後が伺える。なぜなら人為的なミスで飛行に支障をきたすと言う設定はあってはいけないことだからだ(だからこそ飛行機が出てくる映画ではハイジャックは切り札であると同時に、安易に使ってならないものでもある)。それ故にこの映画では飛行トラブルの原因が人為的なミスと思わせるのはミスリードだと気付く(それ自体は別に悪いことではない)。結局トラブルの原因は人為的ミス50%、自然現象50%といったところだろうか。
機内での様子は予告から印象通りで意外性はなく、ベタではあるがそれなりに楽しい。ドラマ等で見慣れないという意味では地上組の方が興味深い。乗客の席順をパズルのように埋めてゆく様がコミカルな一方で、乗客の苦情や雑用を一手に引き受けているグランドスタッフの大変さには驚く(田畑智子も好調だ)。定年間近で最新機器が苦手なオペレーション・ディレクター(岸部一徳)が、緊急時にはベテランの力強さを発揮する辺りが印象に残る。
少々残念だったのは最後の着陸場面で鈴木副機長の技術がどんなものだったのか分かりづらいのと、その裏づけとなるエピソードが弱いところ。
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登録日:2008年 11月 24日 22:23:40
「かけひきは、恋のはじまり」
ジョージ・クルーニー、新作『Leatherheads』での主演・監督ぶりを語る
【4月7日 AFP】ジョージ・クルーニー(George Clooney、46)が監督・主演を務めたコメディ『Leatherheads』が4日に全米公開を迎えた。
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(c)AFP/Paula Bustamante
かけひきは、恋のはじまり/Leatherheads
ジョージ・クルーニーと言えば記者会見の様子を見れば分かるようにシリアスとジョークを言ったり来たりする人だ。で、この監督3作目はもちろんコメディ、日本のポスターはラブコメ、アメリカのはスポーツ・コメディとなっている。実際にはその中間のドタバタ・コメディというのが一番近そうだ。前2作の監督作品は、父親がニュースキャスターであるという境遇を利用して、自分が子供のころに体験したテレビ業界を題材にした50、60年代モノだったが、本作ではさらに遡って1920年代を舞台にしている。当然昔のハリウッド映画を思い起こさせるノスタルジー色が強く出ている。クルーニーのお相手レクシーを演じるのはレニー・ゼルウィガー、1920年代にこうした自立した女性がいたかどうかは知らないが、そんな女性とおしゃれにも気遣う女性をうまく融合している。これがクール・ビューティー女優だったらかえって不自然に感じたかもしれない。古い映画を強く連想させるのはドッジ(ジョージ・クルーニー)とレクシーが警官に追われて酒場から逃げる場面と(禁酒法時代だ!)、ドッジと若造との殴り合いのふたつ。そんな時代を音楽から演出するのはランディ・ニューマン(映画音楽家一家に育ったという意味ではクルーニーに似ている)。酒場の場面で出てきそうだなと見ていると出てこないのだが、次の機会にピアニストとしては出てきて一安心。
黎明期のアメリカン・フットボールを舞台のこの映画だが、ヘッドギアは原題が示すように皮製であり、その人気のなさといい加減さを含めて現代との違いがまず描かれる。これはアメフトに疎い日本人でも分かる。スポーツの中でもとくにシステムがきっちりしていると感じられるアメフトにものどかな時代があったのかと思わせる。また大学リーグの方が人気があったという話は日本でも別のスポーツに関して聞いたことがある話だが、そんなものかもしれない。ジョージ・クルーニー演じるベテラン選手ドッジが大学リーグの人気者カーター(ジョン・クラシンスキー)をプロに引き入れることで話が転がってゆく。ここにカーターの秘密を追う女性記者レクシーとカーターのエージェント、C.C.フレイジャー(ジョナサン・プライス)が絡む。このカーターはレクシーとも絡むが、スポーツ選手らしく(?)やや大味な存在なので、敵役はむしろフレイジャーとなっている。甘い設定も多く、傑作とは思わないが監督ジョージ・クルーニーとしては出来るだけのことはやったのではないかと思う(俳優クルーニーとしてはかなり無理をしている)。少なくても古い映画の再現を狙った「さらば、ベルリン」よりは断然良い。
これはあくまでもコメディ映画だが、報道機関はどこまで記者を守れるのか(報道機関の独立性はどこまで保たれるのか)、スポーツ・エージェントによる弊害等を読み取るのも社会派ジョージ・クルーニーの作品としてはありかもしれない。
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登録日:2008年 11月 18日 21:32:12
「アルベルタ・フェレッティ」米初出店にエミー・ロッサム出席
「アルベルタ・フェレッティ」米初出店、記念パーティには豪華なゲスト
【11月17日 MODE PRESS】米ロサンゼルスで12日、「アルベルタ・フェレッティ(Alberta Ferreti)」のアメリカ初となるショップオープンを祝うパーティが開かれ、会場となったロザンゼルスのメルローズ・アニュー(Melrose Avenue)のショップには、女優のルーシー・リュウ(Lucy Liu)、マリサ・トメイ(Marisa Tomei)、「ヴォーグ(Vogue)」の西海岸のエディターリサ・ラブ(Lisa Loce)らが駆けつけた。
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ここにはないが、ニコール・リッチーやニッキー・ヒルトンとのショットは珍しいかも。
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登録日:2008年 11月 17日 21:37:32
「ヤング@ハート」
ヤング@ハート/Young at Heart
"老人によるコーラス・グループか、なにか感動の押し付けになると嫌だな"と思いながら見始める。1曲目、ギターの音が大きくてバランスが気になる。バックのミュージシャンが何か勘違いしているのかと思ったが、映画を見ていると耳が遠い人が多いであろうこのグループの伴奏としてはあれで正解なのかもしれないと思うようになっていた。
パンフレットで映画評論家町山智浩氏が"ロックはスピリットだ!"という発言をしていて笑った。この手の発言をしたくなる時期は誰にでもある。"~はロックじゃねえ"というのも便利だ。しかしそれは結局、自分が嫌いなミュージシャンをあげているだけだと気付けばこの言い方が無意味だと分かる。と言うよりこの手の話は酒の席にとどめておくべきものだ。だいたいロックが世界に広がった要因は第一にサウンドに決まっている。精神なんて面倒なものは後から付いてくるのだ。そしてこのヤング@ハートを率いるボブ・シルマンは歌詞に力点を置いている。若者向けに書かれたはずのロックの歌詞を老人が歌うことによって違った意味を持ってくる面白さ、これがヤング@ハートのキモだ。非英語圏の観客からするとここをもっと突っ込んで欲しく、選曲で悩むシルマンの様子など見たかった。とは言え老人がロック(を中心とした曲)を歌うという面白さも記録されている、シルマンが新曲を用意するときは彼がコーラス用にアレンジされたものではなく、原曲(ここではソニック・ユースの"スキッツォフレニア"とジェームス・ブラウンの"アイ・ゴット・ユー"の反応の違いにも注目)を聞かる。これによって、観客はその反応も楽しめる。
このドキュメンタリーは一応コンサート開催までの様子を描いているが、その公演自体は特別な公演ではなく、無理して盛り上げているという感じがしないでもない(もちろんその間に亡くなる人が出るなど、大きな出来事も起こる)。また練習風景を見ていると1曲仕上げるのは簡単でないことが分かるので、コンサートにしてもここに収まれたもの以外は出来が悪いのかもしれない。もしそうならそういった映像も入れたほうを説得力が増したのではないか。また途中でビデオ・クリップ風映像が入るのも、生な感じに欠け、そんな気持ちを助長させる(色々な曲を入れるということでは意味があるのだろう)。
さて、日本公開時に一番なじみのあるフレーズが使われている曲と言えば"YES WE CAN CAN"なわけだが、老人たちが苦労している様子を見るとこの曲が一種のノベルティ・ソング、早口ソングであることがよく分かる。それはとても良かった。
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登録日:2008年 11月 16日 22:33:29
『BeautyLIGHT』発売記念パーティーにエミー・ロッサム出席
写真集『BeautyLIGHT』発売記念パーティー、エミー・ロッサムら登場
【11月12日 AFP】写真家で、マドンナ(Madonna)やビヨンセ(Beyonce)のミュージックビデオの監督も務める、マシュー・ローストン(Matthew Rolston)の写真集『BeautyLIGHT』の発売記念パーティーが10日、米ビバリーヒルズ(Beverly Hills)のWallis Annenberg Cultural Centerで開催され、女優のエミー・ロッサム(Emmy Rossum)らが出席した。(c)AFP/Getty Images
衣装はTemperley London。目元は以前の感じに戻った?パープルは珍しいかも。
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登録日:2008年 11月 12日 21:12:53
「私がクマにキレた理由」
【8月15日 AFP】ニューヨーク市内で13日、映画『The Nanny Diaries』の特別上映会が開かれた。会場には、出演者をはじめ多くの著名人が姿を見せた。(c)AFP/Getty Images
私がクマにキレた理由/The Nanny Diaries
この「私がクマにキレた理由」は「アメリカン・スプレンダー」のシャリ・スプリンガー・バーマン&ロバート・プルチーニ監督の新作。ちょうどこの前後に名画座でゾーラ・バーチとスカーレット・ヨハンソン出演の「ゴーストワールド」(テリー・ツワイゴフ監督)を見てきたが、出演者以上に関連があると言ってもいいかもしれない。「ゴースト」ではバーチとヨハンソンは高校卒業直後のモラトリアム期間を過ごす、二人でブルース・コレクターのスティーヴ・ブシェミをからかったりして遊んでいたが、次第にヨハンソンは遊びをやめて普通になるのに対して自分は感性が鋭いと思っているバーチはブシェミに入れ込んだりとイタイ姿をさらす。それが「クマ」ではヨハンソン演じるアニーの役割だ。もちろんバーチと違って大学は出ていてそれなりに学を身に着けているはずだが、それでもやりたいことが見つかっていないのは同じだ。ところでテリー・ツワイゴフやロバート・クラム、そして「スプレンダー」の主人公ハービー・ピーカーも社会にうまく適応できない成人、つまりオタクという意味では同じだ。となれば当然この監督がアニーに「ゴースト」のバーチ並にひどい仕打ちをすると期待してしまうが、そうはならない。ここでこの監督が男女のコンビであると気付かされるのだ。この「クマ」の感覚は女性の方に決まっている。その意味ではありきたりの物語になるのも、女性の夢を壊すような結末にならないのも仕方ない。ただしそれで面白くなるかは別問題だ。
オープニングの博物館を引用して人間を観察するというのはなかなかよく工夫されている。スカーレット・ヨハンソンは「ロスト・イン・トランスレーション」同様、宙ぶらりんの不安定な女性を演じさせるとうまい(というよりは素に近いのだろう)。アニーの雇い主夫妻はローラ・リニーとポール・ジアマッティ。リニーはいつもとやや違ってツンとした上流階級の奥様役、きれいなブロンドの色合いが奥様の冷たさを強調しこのキャラクター作りに貢献している。ただ最後は少々人間味が出てくるので、冷たいままでいてほしかった。ジアマッティはリニーより年下なのに立派なエロハゲオヤジっぷり。彼の出番が少ないのは物語上も意味があるのでこれで良し。クリス・エヴァンスは真面目な大学生役、いつもとイメージは違うが役の幅を広げたと言うところまでは行かず。アニーの友人を演じるのは歌手のアリシア・キーズ、最近の彼女のビデオを見ていると表情の硬さが気になるがここではそれほどではないように思う。
さてナニー映画である本作は「メリー・ポピンズ」に対するオマージュが随所にある。ワタクシは無難なアンケート用の回答として好きな映画は「サウンド・オブ・ミュージック」、好きなサウンドトラックは「メリー・ポピンズ」と答えることにしている。無難な答えではあるが両方の映画も音楽も好きなのは本当のことで(映画としては「メリー・ポピンズ」の方がやや分が悪いか)、一番好きな映画挿入歌は"2ペンスを鳩に"なのだ。だからこの映画で"チム・チム・チェリー"がちょっとアレンジされていてもすぐに気付く。"Supercalifragilisticexpialidocious/スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス"はAntidisestablishmentarianism(国教廃止条例反対論)よりも長くて意味不明な単語にしようとしたとか、無駄な話ならいくらでも出来る(コピペって便利だ)。
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登録日:2008年 11月 12日 20:00:33
「レッドクリフ Part I」
エイベックス、ジョン・ウー監督の新作に2000万ドルの投資 - 東京
【東京 24日 AFP】エイベックス・グループ・ホールディングスは21日、ジョン・ウー(John Woo)監督(60)の映画「赤壁(Battle of Red Cliff)」(仮題)に、中国の国営映画会社Chengtian Entertainment Internationalと共同で、2000万ドル(約237億6800万円)投資すると発表した。
≫続きを読む…
(c)AFP/Jim SULLEY
レッドクリフ Part I/ Red Cliff/赤壁
三国志と言えば最後まで読んだかはともかく読んだことがある人は多いだろう。自分が興味を持ったころはまだ劉備は高潔な人という見方が多かったような気がするが、それに対して"劉備なんて理想だけは高尚な野党の代表みたいだ"などと思っていた恥ずかしい日々…
このジョン・ウーによる「レッドクリフ」は前後編に分けて公開される。それは良い点と悪い点があって、後編では赤壁の戦いがじっくりと見られるだろうが、その直前で終わった前編では戦闘シーン以外は思ったより間延びして退屈してしまう。本来なら人物の掘り下げが色々とあるべきのだろうが、それほどでもない。それでも劉備、孫権ではなく(曹操は敵役として君臨)周瑜、諸葛孔明にしたのは歴史を俯瞰する意味で成功している。また水上の戦いはCG重視になると思われるのに対して地上戦が主の前編では、多くのエキストラを使った戦闘シーンが楽しめる。
この戦闘シーン、メーンとなっているのがワイヤー・アクションではないのも良い。ただし昨今の英米の戦争映画やアクション映画のリアル志向と比べるとキレイなのが気になった。それがジョン・ウーらしさなのだろうが、血が出ても斬りつけられても痛みは感じない。さらに各武将の出番を次々と用意するところは笑ってしまった。
それでも九官八卦の陣を見せるところは面白いし、娯楽作としては合格。上に挙げたような後編の不安点もあるが、それはまたそれ。
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登録日:2008年 11月 11日 23:39:54
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