2008年 11月 26日

「その土曜日、7時58分」

<第32回トロント国際映画祭>『Before the devil knows you’re dead』北米プレミア上映会開催

【9月16日 AFP】15日までカナダで行われている第32回トロント国際映画祭(32nd Toronto International Film Festival)の8日目を迎えた13日、映画『Before the devil knows you’re dead』の北米プレミア上映会がエルギン・シアター(Elgin Theatre)で開催され、監督・出演者らが登場した。(c)AFP/Getty Images

AFPBB News


その土曜日、7時58分/Before The Devil Knows You're Dead

なんと84歳という大ベテラン監督の新作だが、これがよく出来ている。まずは最初から最後までダメ男ハンクを演じきるイーサン・ホークが素晴らしい。これに対して兄アンディを演じるフィリップ・シーモア・ホフマンは前半こそスマートだが後半では崩れてゆく人間をうまく変化をつけて演じている。キャスティングを聞いて"この二人が兄弟?"と思ってしまうが、気にならなくなる。弟ばかりをかわいがる父親(アルバート・フィニー)に対して"俺は、本当は血が繫がっていないんだろ?"とつい口走ってしまう兄アンディだが、終盤の彼と父親の行動を見ていると"お前らは、間違いなく親子だ"と観客のこちらとしては言いたくなってしまう。つまりは始めのうちは弟だけがだらしない人間だと思わせて、終盤ではそれはこの家族全体の問題だと気付かせているという展開だ。結局、弟は純粋なバカであり、他の人たちの方があくどいのだ。

金に困った兄弟が実家の宝石店に押し入る、一種の狂言強盗計画を実行するはずが弱気な弟がチンピラを連れてきたことから、事態はどんどん悪い方に向かう。チンピラは銃を持ち込み、店番は想定外の兄弟の母親であり、チンピラが銃で母親を脅したために母親が発砲。結果的にチンピラは死亡し、母親は重体となる。これを聞くとギリシア神話のようだという形容がされると思うのだが、最後まで続く負の連鎖は、むしろ話を転がす道具なのではないのか思う。弟の相棒がもっと間抜けなら、同じく狂言強盗モノである「ファーゴ」とまでは行かなくてもトラジコメディになっていたはずだ。そういった必要以上に重すぎない感覚がこの映画の隠し味だと思う。

この映画では強盗や葬式の時間に何度か時間が巻き戻して同じ場面でも別の角度から見せている。通常そうした手法は観客を驚かしたり、混乱させたりするのだが、この映画ではむしろ脳みそをほぐすような効果がある。ありきたりな手法を用いながらも、工夫があって良い。

メーン二人以外の俳優とラストについて。アルバート・フィニーは前半の悲しみにくれた豊かな表情と後半の覚悟を決めたかのような硬い表情をうまく使い分ける。冒頭のフィリップ・シーモア・ホフマンとの絡みとヌードが話題となったマリサ・トメイは若作りしたとは言わないが、その無理した感じがこの家族の一員らしくて良かった。ラストの白い光は当然あちらへの誘いだろう。

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登録日:2008年 11月 26日 21:00:45

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