2008年 12月 05日
「未来を写した子どもたち」
イギリス生まれの女性カメラマンがコルカタ(カルカッタ)の売春窟で暮らす子供たちに興味を持ち、彼らにカメラを与えて自分を表現する方法を教えるようになってからドキュメンタリーを撮ることを決めたこの映画は(子供たちにカメラを与えたのは外国人が入れないような場所の写真を撮ってもらうためだったと思うのは穿ちすぎか)、写真について教えるだけではなく、寄宿学校に入るなどして劣悪な環境から脱出させることも手伝う様子も写す。つまりこの監督(共同監督なので正確には二分の一)が積極的に被写体に係わってゆくタイプのドキュメンタリーであり、それが嫌いな人もいるだろう。正直に言えばこのタイプの映画としては「ミリキタニの猫」の方が面白い。それはある意味では当然で、あれだけの人生を背負った爺さんに出会うのはまさに奇跡であり、彼を題材にすれば面白くなるに決まっている、だか映画としては「ミキリタニ」よりは落ちる。しかしこの映画には不幸なことに普遍性がある。スラム、ゲットー、ファベーラ等々呼び方は何でもいい、世界中に存在する問題に対する小さな抵抗の記録となっている(映画としては対象が8人とやや多いだけにやや焦点が絞れていない点も気になった)。
さて映画を見て思うのは女の子たちが年齢のわりには色っぽいことに気付く、環境がそうさせるのだろう。この売春窟の産業構造は知らないが、詳しい説明もないのでほぼ全員が売春に係わっていると思っていいようだ。食事などは引退した売春婦が、ポン引きやガードマン等の売春に付随する職業は夫や男子、その他の雑務は子供の仕事のなのだろう(映画には水汲みや皿洗いの場面がある)。厳しい世界である一方である女の子などは代々売春婦だが、カーストは上位でお金に困ることはないのだという。そんな話を聞くと倫理的には問題があっても本人がいいと思うならそれでいいじゃないかと思ってしまい。思わずイカンイカンと自分の頭を叩く。要は”誰にでも可能性がある”のではなく、可能性を見いだす機会を平等に与えることが重要なのだ。何人かの親はそれを認めようとしないが、それをまた簡単に否定することは出来ない。ここではその小さな可能性を見いだした人間がうまく成長することを願うだけだ。
映画のラストでは子供たちのその後が製作時時点で紹介され、パンフレットでは2008年時点で様子が書いてある。あるものは故郷から抜け出し、あるものはまたあの世界に舞い戻る。監督は映画で行ったように写真を通して子供たちを支援する基金を立ち上げた。これは2004年度のアカデミー賞受賞作で、争ったのは30日マックの「スーパーサイズ・ミー」などだが、公開が遅れても価値はさほど変わらない。映画内で起こっていることはエンドレスで続いているのだ。それとは別におそらく10年後、20年後の彼らの様子を追った続編が作られるに違いない。
ちなみにダニー・ボイル新作「SLUMDOG MILLIONAIRE」の原作本「ぼくと1ルピーの神様」(映画の予告を見る限り骨格は同じだが、内容はかなり違うはず)を読んでみるのも面白い。こちらはフィクションなのでラッキーの連続で話が進むが、インド社会の表と裏と闇が描かれていて興味深い。
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登録日:2008年 12月 05日 23:40:05
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