2009年 01月 27日
「レボリューショナリー・ロード」50年代サバービア映画、ひとつの終着点
【12月16日 AFP】パラマウント・ヴァンテージ(Paramount Vantage)配給の映画『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで(Revolutionary Road)』のプレミア上映会が15日、米カリフォルニア(California)州ウエストウッド(Westwood)のマン・ビレッジ・シアター(Mann Village Theater)で開催され、共演者のレオナルド・ディカプリオ(Leonardo DiCaprio)、 ケイト・ウィンスレット(Kate Winslet)が登場した。
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(c)AFP/Getty Images
この作品の意義については原作の感想の時に書いたものとあまり変わりない(パンフレットに大場正明氏の寄稿はなかった!)。どちらにしてもこの副題は適切でないばかりか、いくらかの誤解を招くのでふさわしくない。これは「タイタニック」レオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットのコンビが夫婦役で再びと言うよりは、「アメリカン・ビューティー」の監督サム・メンデスと「リトル・チルドレン」主演女優ケイト・ウィンスレットという現代のサバービア映画を作ってきた人たちが満を持して50年代のサバービア映画に挑戦した作品と言うべきだ。
サム・メンデスの演出手法は甘さ控えめ、登場人物たち(というよりこの夫婦)の愚かな行動に関しては冷めた視線で描いている。徹底しすぎて彼らに共感できる人は少ないだろうし、単なるケンカ好きの夫婦に見えてしまう危険性もある。ケイト・ウィンスレットは自称女優志望の女性が家庭に入り、子供ができた後に市民劇団で演技に挑戦したら失敗して自己嫌悪に陥る妻(舞台の様子を省略するところがまた残酷だ)と何の根拠もなく夫にパリ行きを勧めるというという妻、このふたつをうまく表現している。一方レオナルド・ディカプリオは妻の前ではいい顔をしたくとも、会社での存在感は薄く、妻が不満を漏らすと逆切れを起こしてしまうような器の小さな男を演じている。キャラクターとしては一貫しているがその分単調に見えてしまうのは少しかわいそうだ。
脚本はおいしい所をかいつまんだというよりは小説の持ち味を大切にして脚色している。「エデンより彼方に」とは違い、映画ならでは飛び道具を用いず黒人も同性愛者も登場しない。映像は美しくても白々しくはならない。ケイト・ウィンスレットのファッションも同様で、確かに古いのだろうがデフォルメされることはなく、現代から見ても大きな違和感は無い。むしろ男性陣が帽子姿で電車通勤する姿(とくに駅の場面)の方が不気味である。メーンテーマが何度も登場するトーマス・ニューマンの音楽こそややくどく古臭い気もするが、個人的にはアカデミー賞にノミネートされた「ウォーリー」より素晴らしいと思う。
夫婦生活に意味を見出せないふたり以外の登場人物はあまり印象を残さない。不動産屋のヘレン(キャッシー・ベイツが演じ少し「アメリカン・ビューティー」のアネット・ベニングを思い出す)の息子(マイケル・シャノン)は心を病んでいて、彼だけが夫婦の真実を指摘するのは原作と同じだが、やはり映像で見るとインパクトがある。それでも異物として作用させないで、鏡として彼を使うのは原作通りとは言え単に50年代を陥れるようなドラマにしないためには有効的だ。
50年代と現代で同じような問題があるかもしれない。表面上キレイな50年代にはそれは見えにくかったのかもしれない。原作の感想で"60、70年代にアメリカ社会は変貌を遂げる。キューバ危機、ケネディ暗殺、公民権運動、フェミニズム、性の解放、ベトナム戦争など、これらを否定したい人たちにとって50年代は模範とすべき最後のアメリカなのだろう。それと逆に60、70年代の文化にルーツに持つクリエイターは、50年代にも後の時代につながるような要素を見いだすことによって、自分たちのルーツを肯定したいのだろう"と書いた。50年代文化はあくまでも50年代にだからこそ有効であって、ノスタルジーで50年代文化を求めても仕方ない。同じような文化であってその内容は少しずつ変わっていくはずだ。とは言え原作のところで述べたようにこの方法論が正しくてもやや時代とのずれを感じるので、このタイトルにした。
ちなみにレオナルド・ディカプリオの不倫相手を演じるのはゾエ・カザン、赤狩り時代に仲間を売ってことでも知られるエリア・カザンの孫である。これが偶然か、意図したものであるかを考えるのは個人の自由。意図したものであるとしたら原作つき映画の中で精一杯の監督の主張でなのかもしれない。少なくても「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」の描き方よりは面白い。
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登録日:2009年 01月 27日 23:20:18
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