2009年 05月 08日

「チェイサー」

第61回カンヌ国際映画祭、『The Chaser』上映に

【5月18日 AFP】現在開催中の第61回カンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)で17日、コンペティション部門外作品『The Chaser』の上映会が開催され、レッドカーペットに監督・出演者らが登場した。(c)AFP

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チェイサー / 追撃者

注目の韓国映画。一応連続猟奇殺人事件だが、犯人はすぐに捕まってしまい、そこからが長いというか話が展開する。犯人が主人公や警察組織を操る様子が面白い。その意味ではサイコ・サスペンスと言ってもいい。犯人と分かっているのは見ているこちらだけで映画のなかの主人公や警察は分かっていないのでやきもきする感じが効果的だ。

この手の韓国映画でいいのは主人公が完全無欠のヒーローではない点だ。この映画でも主人公ジュンホ(キム・ユンソク)は元刑事のデリヘル経営という存在で、たった一人の部下も頼りない若造だ。対するのは殺人鬼ヨンミン(ハ・ジョンウ)、バック・グランドは分からないが主人公よりはスマートだ。話は以前いなくなったデリヘル嬢に関する情報を捜していたジュンホが、犯人らしい男の携帯番号をつきとめたところから始まる。その番号からの電話が入り、かぜで休んでいたミジン(ソ・ヨンヒ)を行かせる。ジュンホはミジンにメールで連絡を取るように言うが、家に行って浴室からメールをしようとすると圏外で出来ない。この浴室こそがヨンミンが用意した殺しの現場なのだがまずその汚さがリアルで、不気味さを増幅させる。ヨンミンはミジンをノミで殺そうとするが、直前にじゃまが入る。それでも観客はこのときにミジンが死んだと思うのだが、その後にそれは違うと分かる。

ジュンホとヨンミンが運転する車が衝突すると言うやや拍子抜けの展開から、ジュンホはその男が自分の追っている男だと分かり、街中を追いかけ格闘し捕まえる。この追いかけっこがいい、なにも屋根をいくつも飛び越えなくてもいい逃走シーンは出来るのだと再認識させられた。この時点でジュンホはデリヘル嬢がヨンミンに殺されているとは思わずにあくまでも売り払われたと思いて、ヨンミンの正体を知っているこちらからすると滑稽に映る。やがて二人が行った警察でヨンミンは自分が連続殺人犯だと証言し、ミジンはまだ生きていると言う。ここで観客はミジンの身の上にさらなる恐怖が襲い掛かることになることに気付く。

この映画の警察は少々情けない。ジュンホが刑事を辞めた理由も内部のゴタゴタが原因だし、応援を頼んだ先輩は市長を警備していて、その市長はクソを投げられ、その事件を扱っているという有様だ。ヨンミンは逮捕状なしで捕まえたために12時間以内に明確な証拠が必要となるが、ヨンミンは詳しい供述をしない。実は彼は過去にも証拠不十分で釈放されている。この警察を操る姿がレクター博士を連想させるが、完璧なプロのレクターとは違いヨンミンの行動は行き当たりばったりに見える。それが通じてしまうのが韓国の警察の甘いところだと監督は言いたいのだろう。

後半の見所はジュンホとヨンミンの直接対決だけでなく、ヨンミンの行方が話の大きな柱になっている。何回も絡み合わなかった糸が最後にピタッと絡み合う瞬間までかなりの緊張感を持ってこちらに訴えかけてくる。しかしその一方で後半になるとやや話が雑になっている部分もあるのが惜しい。長編デビュー作としては申し分ないが、毎回そうした点が解消されない恐れもある。

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登録日:2009年 05月 08日 00:15:05

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