2009年 05月 11日
「デュプリシティ ~スパイは、スパイに嘘をつく~」
映画『デュプリシティ』ワールドプレミア上映、ジュリア・ロバーツ登場
【3月11日 AFP】映画『デュプリシティ ~スパイは、スパイに嘘をつく~(Duplicity)』のワールドプレミア上映会が10日、英ロンドン(London)のレスター・スクエア(Leicester Square)で開催され、出演者のジュリア・ロバーツ(Julia Roberts)、クライヴ・オーウェン(Clive Owen)らが出席した。(c)AFP
デュプリシティ ~スパイは、スパイに嘘をつく~ / Duplicity
「ザ・バンク」でふれていたクライヴ・オーウェンの新作。これが予想以上に面白い。オーウェンの相手も薄味のナオミ・ワッツより濃い目のジュリア・ロバーツの方が合っている。事前の情報では元MI6とCIAで顔見知りの男女が企業スパイとなってまた対決という程度しか入れておかなかったのだが、6年前にドバイで二人が出会うところから始まる。ここでいきなり分割画面を使って、おしゃれなスパイ・アクションを思わせ、トニー・ギルロイ監督の前作「フィクサー」とはかなり違う印象を持たせる。ところが凝ったスローモーションで見せるのは二人が勤める会社トップ同士(トム・ウィルキンソンとポール・ジアマッティ)のケンカだ。そうこれはスパイ・アクションの皮を被ったコメディなのだ。なにせスパイを雇う会社がトイレタリーの会社というのだから、それ以外ありえない。元MI6とCIAがこんな会社に勤めているだけでおかしい。
そして現在のニューヨークに時世が移り6年ぶりに二人が、出会うことになる。そこに行くまでの尾行が「フレンチ・コネクション」みたいでまた楽しい。「チェイサー」の刑事も見習うべきだ。そして二人が出会ったときに交わす会話の妙、やがて二人の関係が実はこの6年の間に色々あったことが分かる。この付かず離れずの男女関係といえば、ジュリア・ロバーツがかつて一番得意としていたロマンチック・コメディと呼ばれたものと同じ手法である(もっとも本作はさほどロマンチックではないのだが)。仕事のためと言えほかの女性と寝たクライヴ・オーウェンに対して怒るジュリア・ロバーツの表情が最高だ。オーウェンが偽名にジェームスを使うのも面白い、この世代の英国人俳優はほとんど007候補と言われていたことを思い出す(本作にジュード・ロウが出ていたら面白いだろうなと思う場面がひとつある)。
本作の最後には騙しあいの末のオチが待っていて、これがかなり強引なのだが、観客を裏切るならこのくらいの方が気持ちいい。ただ巻き戻し映像の挿入はあまり効果的ではない。企業スパイの狙いはライバル会社の新製品で、これはマクガフィンにする手もあったと思うが終盤で内容が分かる。しかし登場人物に注目しているとそれが何であるかはある程度見当が付くと思う。むしろ会社トップ同士によるケンカの理由の方が謎のままになっていて、これをあれこれと想像するのも楽しいかもしれない。
脚本家でもあるトニー・ギルロイのパンフレット・インタビューによるとソダーバーグでクルーニー、スピルバーグでクルーズの可能性もあったという。クライヴ・オーウェンとジュリア・ロバーツは濃い顔をしていても、強烈な個性で画面を支配するようなタイプではないので、トム・ウィルキンソンとポール・ジアマッティを始めとした脇役がそこをうまく埋めていている。
「フィクサー」では"狙いは分かるけど、全体としてはやや難あり"という印象を受けたトニー・ギルロイだったが、コーエン兄弟が「バーン・アフター・リーディング」でやろうとしていたことが"堅物たちはは本当は間抜け、そんな彼らが真面目にやっている行動をコメディに落とし込む"という方法論であるとして、それをうまくやってのけたのはこちらではないかと思う。「BAR」の笑いがニヤニヤだとすると、こちらは声を出して笑ったり、プっと吹き出すと言えば違いを表現できるだろうか、ギルロイの次回作が楽しみになる一作。
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登録日:2009年 05月 11日 21:09:08
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