2009年 06月
「路上のソリスト」。「お買いもの中毒な私!」と違い。監督の苦心がうかがえる
映画『路上のソリスト』プレミア上映、 J・フォックス&ロバート・D・Jr登場
【4月22日 AFP】ドリームワークス(DreamWorks)製作・配給の映画『路上のソリスト(The Soloist)』のプレミア上映会が20日、米カリフォルニア(California)州ロサンゼルス(Los Angeles)のグローマンズ・チャイニーズ・シアター(Grauman's Chinese Theatre)で開催され、出演俳優のジェイミー・フォックス(Jamie Foxx)、ロバート・ダウニー・Jr(Robert Downey Jr.)らが出席した。(c)AFP/Getty Images
路上のソリスト / The Soloist
「プライドと偏見」「つぐない」のジョー・ライトによるアメリカ上陸作品は現代を舞台にした社会派ドラマとなった。それまでの時代物ロマンスからするとやや意外である。彼にあっていないと言えばたしかにその通りなのだが。そうした自分とは距離がある題材に対して、自分のほうに引き込むのでも、相手の懐に飛び込むのでもないフラットなアプローチはある意味でこの監督のカラーがよく出ている。結果としてやや上品な作風になっているが、悪いわけではない。
新聞社のコラムリスト、スティーヴ・ロペス(ロバート・ダウニー・Jr)がLAの路上で二本しか弦のないヴァイオリンを弾くホームレス、ナサニエル・エアーズ(ジェイミー・フォックス)を発見しコラムで取り上げる。やがてエアーズが路上生活をしている理由である病、schizophrenia(日本語の呼び方が変わったそうだから英語のまま)のことが分かり、それにどのように接するかが後半のテーマとなる。ロペスは自分の自転車事故さえネタにしかねないタイプのコラムニスト、彼にはジャーナリストとしてどこまで取材対象に関与することが許されるのかという問題が持ち上がってくる。
映画では少しエアーズの回想が入る。これを見て驚いたのはジュリアード入学が1970年と出たことだった。と言うことはエアーズは50代とで、演じているジェイミー・フォックスはかなり年上を演じていることになる。年齢からすると数年前のダニー・グローヴァーのほうがふさわしいかもしれない(ホームレスを演じているので年齢が分からないと言えば分からない)。ということは同時にロバート・ダウニー・Jrも年上を演じていることになるはずだ。
ジョー・ライトの資質から一番合っていないと思われるのは路上生活者が多数集まるスッキド・ロウ地区の場面。過去の作品で見せた長回しはさすがにないが今回は俯瞰ショットをうまく使っている。神の視線と言うよりは自由な鳥の視線を思わせる。興味深かったのはある登場人物がロサンゼルスに飛行機でやってくるときに見える街の風景だった。何気にプールが目立っていたのだが、これは英国人視点かもしれない。
ジェイミー・フォックスが実在のミュージシャンを演じたと言うと「RAY」があったが、あちらはサングラスで似せ、昔にピアノを習っていたと言う利点もあったが、こちらはチェリストと言うのはかなり難しかったに違いない。しかもこれにschizophrenia演技と青年期の回想も入るのだから大変だ。これらをすべてこなしたとは言わないが、高いレベルにはある。ロバート・ダウニー・Jrは登場時の印象としては離婚をして(現実にはしていないらしい)、やや人生の目的を失いかけた中年に見えたので、またこの手の役かと思ったが、やや違った。取材対象としてのエアーズに接する"助けてやる"という上からの視線から同じ高さまで目線を下げるまでが見ものだ。
これを見た日は「レスラー」も見たのだがあちらが脇にマリサ・トメイにエヴァン・レイチェル・ウッドという実力のある俳優をそろえ、時間を割いているのに彼女らの背景がほとんど描かれなかった。それに対して、こちらはロペスの元妻っを演じるキャサリン・キーナーはさすがに出番は少ないながらもいい仕事をしているし、回想シーンを中心出てきたエアーズの姉が最後に見せる弟と会えなかった日々の思いを感じさせる表情の豊かさは、両監督の演出力の差を感じていまう。
ジョー・ライト組では「プライドと偏見」からトム・ホランダーとジェナ・マローンが出演している。ホランダーはエアーズをコンサートに参加させるために呼ばれたLA交響楽団の主席チェリスト、彼が何気なく持ち出す"神"という言葉といい、エアーズに対する接し方といい、彼の悪意のないおっせかい振りがエアーズに負担をかけることになる。これは本当に怖い。別の意味で怖いマローンが演じる病院のスタッフ、危なっかしいそうな彼女に血を採血されたくない。
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登録日:2009年 06月 22日 20:06:08
「お買いもの中毒な私!」。中身のなさは「ブッシュ」と同等だが、楽しもうと思えば楽しめる
【2月6日 AFP】英ベストセラー小説「レベッカのお買いもの日記」シリーズの映画版『Confessions of a Shopaholic』のプレミア上映会が5日、米ニューヨーク(New York)のジークフェルド劇場(Ziegfeld Theatre)で開催され、プロデューサーのジェリー・ブラッカイマー(Jerry Bruckheimer)、出演女優のアイラ・フィッシャー(Isla Fisher)らが出席した。(c)AFP/Getty Images
お買いもの中毒な私! / Confessions of a Shopaholic
大掛かりな作品を得意とするプロデューサー・ジェリー・ブラッカイマーだがケイト・ブランシェットの「ヴェロニカ・ゲリン」など女性映画もたまに作る人だ。この分かりすぎる放題の映画のヒロインを演じるのは「スクービー・ドゥー」「ウエディング・クラッシャーズ 」アイラ・フィッシャー。ということは日本ではほぼ無名、欧米でもボラット/アリ・G/ブルーノで知られているサーシャ・バロン・コーエンの婚約者(子供はいるが籍は入れてないらしい、彼女がユダヤ教への改宗が済んでいないからというがどうだろう)という認識だろう。30過ぎなので顔にはシワもあり、この映画の主役にはやや無理がある。フィッシャー自体はチャーミングなだけに惜しい。役のイメージとしては10年前のエイミー・アダムスあたりのイメージか、当時の彼女は知らないが。
個人的なこの映画への興味はアイラ・フィッシャーよりはヘタレ俳優ヒュー・ダンシーにある。どうせ雑誌の編集長といっても、ボンボンが親のコネでやっているだけだろう(そりゃ、「アグリーベティ」だ)と思ったが、母親が社交界の花形なのに両親は離婚しているので父親の姓を名乗って自分の力で編集長になっている。こんなのヒュー・ダンシーじゃない!と思ってしまうが、彼に興味がない人にはこの程度でいいと思う。
サブライム問題やカード破産の増加という現実を考えるとコメディにはふさわしくない題材だが、AAミーティングの買い物中毒版が出てきたのは笑った。同性愛勘違いネタや"Not~~~"というセリフがあるのはボラットの影響と思うのは考えすぎだろうか。
ヒロインの両親はジョーン・キューザックとジョン・グッドマン、キューザックもあのくらいの娘がいてもおかしくない年齢だ。親友スーズを演じるのはクリステン・リッター、どこかで見たことがあると思ったら「ゴシップガール」第二シーズンの80年代を舞台にした回に主人公の親友として出ていた。目が印象的だが脇に回ることが多いタイプか。クリスティン・スコット・トーマスはフランス語を喋るのでファッション雑誌の編集長がなかなかはまっていた。ファッション雑誌に入った新人は昔のクラウディア・シファーみたいだと言ったらほめすぎだろう。
しかしこの映画を見て一番のインパクトがあったのは劇場にいた外国人団体様の笑い声、まさにシットコムを見ているかのよう!つまらない映画もこの環境で見たらすべては傑作コメディだ。
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登録日:2009年 06月 18日 23:08:55
「ブッシュ」。まとまりのなさは「チョコレート・ファイター」と同様
【10月15日 AFP】米ニューヨーク(New York)のジーグフェルドシアター(Ziegfeld Theatre)で14日、映画『W.』のプレミア上映会が開催され、出演女優のエリザベス・バンクス(Elizabeth Banks)、監督のオリヴァー・ストーン(Oliver Stone)らが登場した。(c)AFP/Getty Images
ブッシュ / w.
本国アメリカではジョージ・W・ブッシュが大統領在任中に公開されたオリバー・ストーンの映画。近過去を扱った作品としては「クィーン」というのがあって、ジェームズ・クロムウェルがフィリップ殿下で出演していたあちらはエリザベス女王とブレア首相以外はあえて似せようとしていなかったように思う。それに対して本作はかなり似せようとしている。中でもタンディ・ニュートン(ライス報道官)とジェフリー・ライト(パウエル国務長官)は形態模写に近い。とくにタンディ・ニュートンはあんなに顔の筋肉をピクピクさせながらセリフを言うなんて大変そうだ。リチャード・ドレイファス(チェイニー副大統領)とトビー・ジョーンズ(カール・ローブ次席補佐官)は憎憎しさで勝負、とくにトビー・ジョーンズは相変わらずスケールの小さい悪党の味わいがうまい。ジェームズ・クロムウェル(ジョージ・H・W・ブッシュ)やエリザベス・バンクス(ローラ・ブッシュ)は雰囲気で勝負か、主演のジョシュ・ブローリンは形態模写と雰囲気の中間、ブローリンはブッシュほどではないが二世であり、テキサス・イメージを出すのがうまいという共通点がある。
この映画が「クィーン」と大きく違うのは時系列が二つあること、911以降の世界とWが大学入学時からの政治家への流れ。これで何が省かれているかというと、おそらく大統領ブッシュを支えるネオコンや宗教勢力。本来ならオリバー・ストーンが一番すきそうな題材だと思うがやはり近すぎるのだろう。父親へのコンプレックスをメーンにしている。そこは物足りない。
冒頭の怪しげな会はイエール大学なので、ロバート・デ・ニーロ監督作品『グッド・シェパード』にも出てきたりM.I.Aのヒット曲の歌詞に出てきたりすることでおなじみのスカル&ボーンズ。大学でも実社会でもパッとしないWの良い面といえばローラが好きになってくれた人の良さか。器ではない人が高い地位についても周りがしっかりしていれば大丈夫ということはなく、周りに振り回されるのだ(傀儡政権とはまた少し違う)。その意味では2000年より2004年当選の罪のほうが重いと言えそうだ。
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登録日:2009年 06月 15日 23:07:15
「チョコレート・ファイター」。「夏時間の庭」ほどには焦点が絞れていない
チョコレート・ファイター / Chocolate
「マッハ!」による少女アクション映画。なんと彼女は阿部寛演じる日本人とタイ女性の間に生まれた娘と言う設定。日本上映バージョンでは阿部寛によるナレーションがつく。まずはタイ・マフィアと日本のヤクザの攻防を描き、ヒロインのゼン(ジージャーことヤーニン・ウィサミタナン)がマサシ(阿部寛)とマフィアのバスの女、ジン(“ソム”アマラー・シリポン)の間に生まれた悲しい運命の子であることを描く。ゼンが自閉症になってしまい、それを乗り越えるような素晴らしい身体能力を持っていると言う設定なのだが、これはなかなか思いつかない発想だ。
ジージャーのアクションはもちろん素晴らしいのだが、敵のグレードアップの仕方がいい加減でストーリーに入り込めない。二度目の格闘で刃物が大量に出てきたのには引いた。格闘そのものも悪くはないのだが、印象にあまり残らない。「マッハ!」ならタクタクや火をくぐるシーンなどいくつかをあげることができるのだがこれはあまりない。最後の歓楽街での看板やわずかなスペースを使った攻防は別だ。あとはかわいらしい姿から戦闘モードに入るような場面もほしかった。
新宿ピカデリーには初めて行ったのだが、劇場は11階にあるのにエレベーターを使ったために5分はかかった。開場が10分前なので非常に困った。エレベーターも奥にあるが一基だけ。混んだときに事故が起きないことを祈る。というか開場時間を早めるべきだ。
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登録日:2009年 06月 08日 20:05:03
「夏時間の庭」。「子供の情景」とは違う家に対する考え方
ジュリエット・ビノシュ主演『L’Heure d’Ete』の上映会開催
【3月4日 AFP】パリ(Paris)のオルセー美術館(Orsay Museum)で3日、映画『L’Heure d’Ete(夏)』の上映会が開催され、主演女優のジュリエット・ビノシュ(Juliette Binoche)が登場した。(c)AFP
夏時間の庭 / L'heure d'été / Summer Hours
美術コレクターの女性が所有している美術品を子供三人がどうするかを描いたフランス映画。実際にオルセー美術館の作品が使用されている。映画の冒頭はパリ郊外の家に女性の誕生日に集まった家族、庭を駆け回る子供たちの姿を生き生きと映す。どのくらい自然光を利用しているのか分からないが、そのように見えることを意識していると思う。この撮影は映画の見所になっている。さらに子供たちを中心としたやり取りも自然な感じがしていい。事前にセリフをきっちりと覚えさせ、何度もリハーサルをしているのか、「レイチェルの結婚」のようにリハーサルはあまりしないのかは分からないが、印象では前者だ。
この三人で近くに住んでいるのは長男だけで、次男は中国、長女はニューヨークで(カイル・イーストウッド演じるパートナーと)暮らしている。二人が外国暮らしなのが今っぽい。このきょうだいを繋ぎとめているのはこの家なのだ。母親は長男に美術品は処分してくれと頼むが、その数ヵ月後に死んでしまう。下の二人は迷うが処分することを決意する。ここで語られるのは美術品の目的とはということになっている。つまり絵画はともかく食器や棚、花瓶等は使用されるのがいいのか、美術館に展示されるのかいいのかを問うている。つまり元使用人が思い出の品として実は高価なものを取ってゆくのと、美術館にで家にあったモノを見て"死んでいる"と言わせることで対比させている。これは少し単純化している気もするが、それを補うのが最後の孫娘が取り壊されるあの家で行うパーティーだ。家に固執していたとは見えない彼女が家とそれにまつわる思い出を愛していたのがよく分かるいい場面となっている。
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登録日:2009年 06月 03日 00:48:52
「子供の情景」。「消されたヘッドライン」のようなエンターテインメント性はない
<第55回サン・セバスチャン国際映画祭>18歳のハナ・マフマルバフ監督インタビューに登場
【9月23日 AFP】スペインの最も古く名高い映画祭、第55回サン・セバスチャン国際映画祭(55th International Film Festival of San Sebastian)で22日、映画『Buddha Collapsed Out of Shame』が上映され、18歳の女性監督ハナ・マフマルバフ(Hana Makhmalbaf)がインタビューに登場した。
≫続きを読む…
(c)AFP
子供の情景 / ブッダは恥辱のあまり崩れ落ちた / Buddha Collapsed Out of Shame / Buda as sharm foru rikht
イラン人映画人一家に生まれたハナ・マフマルバフによるアフガニスタンを題材にした映画。外国人監督による視点という意味では「スラムドッグ$ミリオネア」と通じるものがある。バーミアンの仏像の破壊映像で始まり、それで終わる。そこはタリバンが女性に教育を禁止していたことに対する抗議の色が加わっているはずだ。
物語はほとんど少女バクタイの目線のみで語られる。実際に名前が出てくるのは隣の頭が弱そうな男の子アッバス(それでいて最後にあるように行きぬく力はある)だけだ。男の子が家で教科書を読んでいるのを聞いて、バクタイは子守をやめて学校に行くと決めて、ノートと鉛筆を買いに行く。アフガニスタンの事情を知らないこちらとしてはバクタイが学校に行かないのは決まりなのか、親が行かせないのか分からないままに映画が進むのが良い。色々あってバクタイがたどり着いた学校はなんと男子学校。そこからようやく女子学校に着くと、断りもなく入り一騒動を起こす。この口紅の取り合い辺りが映画で一番かわいらしいところだ。
そしてこの映画の一番の見所であり、一番きついところは少年たち(学校に行ってない理由は説明がほしかった)によるタリバンごっこ。学校に行くな、派手な格好をするなと言う。これを単なるタリバン批判と見るのは単純すぎるが、見ているほうを怒らせると言う意味では成功している。ハードなはじめてのおつかいとして見ても面白いかもしれない。
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登録日:2009年 06月 01日 00:16:04
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