2009年 07月
「エル・カンタンテ」。 「ウォレスとグルミット ベーカリー街の悪夢」よりつまらない
<第31回トロント国際映画祭>ジェニファー・ロペス夫妻主演映画「El Cantante」の上映会開催 - カナダ
【トロント/カナダ 15日 AFP】第31回トロント国際映画祭(31st Toronto International Film Festival)で12日、ジェニファー・ロペス(Jennifer Lopez)とマーク・アンソニー(Marc Anthony)夫妻が夫婦役を演じる映画「El Cantante」の上映会がエルギン・シアター(Elgin Theatre)で開催され、出演キャストや監督らが登場した。
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(c)AFP/Getty Images Evan Agostini
エル・カンタンテ / El Cantante
サルサやラテンを熱心に聞いているわけではないが(以前書いたこととがあるかもしれない)、ウィリー・コローンが送り出したシンガー、エクトル・ラボーとルベン・ブラデスのうち日本人が取っ付きやすいのはルベンだと思う。生まれたときからラテン音楽が好きという人は別にして、ふつうはロックやソウルやジャズ経由でラテンに入るわけで、サウンド志向が強いルベンのほうが入りやすい。そうした人にはそのシャープな音作りが身近に感じる。それは彼がパナマというサルサ界から外様であることも関係するだろう。サルサ成立にはプエルトリコ人やキューバ人だけでなく様々な人種が係わったわけだが、それとは少し違う話だ。それに対してエクトル・ラボーはもっとオーソドックスな持ち味が特徴で、歌の包容力といったものではルベンより上だろうし、その歌にはまってしまえば抜け出せなくなるのラボーの方かもしれない。
この映画「エル・カンタンテ」でエクトル・ラボーを演じるのは現代のサルサ歌手のマーク・アンソニー、映画では「マイ・ボディーガード」を見たことがある。ヨゴレ役をやるにはやや線が細いという印象がある。それだけにどちらかといえばふくよかな顔のラボーを演じるにしては顔がガイコツ顔というか痩せていているように感じた。その印象は映画のスチールを見たときも変わらなかったのだが、映画で歌っているときはそれを感じさせなかったのはさすがに歌手ということか。それにクスリをやっているときの表情はリアルに感じられると言う副産物がある。
近年で歌手を描いた映画といえばレイ・チャールズの「Ray」がある。あれを見たときはやや物足りなかった。彼は幼児期のトラウマや女好きのせいもあって堕ちるが、映画の最後では復活する。その"彼はひどいこともしましたが、いい人でした"というまとめ方が不満だったのだ。しかしその後のジョニー・キャッシュ(とジューン・カーター)の「ウォーク・ザ・ライン」やこの「エル・カンタンテ」を見るとあれはあれでよくできた映画だと思うようになった。「Ray」ではレイ・チャールズの音楽的個性が確立されるところがきちんと描かれているのからだ(レコード会社のお偉いさんがこうやってやるんだとピアノを弾く場面が素晴らしい)。これに対して「ウォーク・ザ・ライン」はジューンとの会話で"自然とああいうビートになるんだ"というのが出てくるだけ、本作でも"マンボにルンバ(以下略)をミックスしたものがサルサなんだ"と力説するのだが、その現場を見せてくれない。これを入れれば説得力が増すだけでなく、サルサのミクスチャーぶりを示す面白い場面になるに違いないのに残念だ。スペイン語を話せる人とそうで無い人の話は面白かった。
この映画が作られると聞いたころにサルサ・ガイドブックを手に入れていた(ちなみにこの本はブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブが出る少し前に発売されている)。冒頭のコラムはマーク・アンソニーの新作が悲劇的な死に方をしたメキシコ系音楽の女王セリーナに捧げられていることに触れられている。カリブとメキシコというルーツを超えたラテン系としてのシンパシーがあったのだ(それはロバート・ロドリゲスが「プラネット・テラー」の主役にフレディ・ロドリゲスを起用するのに似ているかもしれない)。その後セリーナの伝記映画「セレナ」が作られた。これに主演したのがアンソニーの現在のパートナー、ジェニファー・ロペスであり、彼女の女優としての出世作にあった。つまりあのコラムは見事につながったのだ(ちなみにディズニー・チャンネルの人気者セリーナ・ゴメスちゃんの名前ももちろん歌手のセリーナからとられている)。
さてこの映画が一番つまらないのは私生活は落ちる一方で「Ray」のように"実はあの人はいい人でした"という展開にも最後までならないところだ。これでは観客が感情移入ができるわけがなく、"好きにやってくれ"と思ってしまう。まあそこにラテン音楽の不の美学を見言い出す人もいるのだろう(そういえばファニア・レコードが日本で再発開始されたと思ったらしばらくして出していた会社が無くなった)。
劇中にウィリー・コローンとエクトル・ラボーに対して"どちらがマッカートニーで、どちらがレノンですか"というのがあった。実際にそういったやり取りがあったのかどうかは知らないが、あれはエクトルの妻プチをオノ・ヨーコのイメージに重ねていると思う。そう考えると損な役割をジェニファー・ロペスはよく引き受けたと思うし、そう思わせるということはある程度は成功している。ただプチの回想を使ってラボーを語るという構成はうまく機能していない。映画全体としては私生活面から描いたのが失敗している。歌手の側面から偉大さを描いて、でも私生活はだめな人というならまだ見られたはずだ。しかしジェニファー・ロペスが妻を演じる時点でそれはできないという問題をはらんでいる。
劇中で歌われる曲はもちろんスペイン語だが英語字幕が出る、これの出方がなかなかポップで面白い。歌にはいる前にその曲に関する状況が説明されるのだが、これも悪くない。カラオケの字幕とは違うのだ。中でも「Aguanile」が良かった。あれはキューバのサンテリアと似たようなものだと思う。演奏シーンではプエルトリコでの路上ライブが一番良かった、屋外ということもあって開放感もあり、この映画全体のトーンとは違うのだが、こういった場面も無いと盛り上がれない。ということで映画としてはややしんどく。ルベン・ブラデスの人生の方が映画向きかもしれない。監督をするのはロバート・ロドリゲスか?あるいは彼の息子の世代かもしれない。
この映画はジェニファー・ロペスが設立した製作会社ニューヨリカンの第一回作品である(第二弾は日本公開済みの「ボーダータウン」)。ニューヨリカンはもちろんニューヨーク生まれのプエルトリコ人を差す。この言葉で思い出すのはハウス・ユニットのMaster At WorkによるNuyorican Soulである。マーク・アンソニーこそ参加していないが彼とは同期というべき女性歌手インディアをはじめとして新旧の世代が参加している話題盤であった。そしてMaster At Workのルイ・ヴェガはエクトル・ラボーの甥っ子である。
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登録日:2009年 07月 30日 20:44:35
「ウォレスとグルミット ベーカリー街の悪夢」。 「ハリー・ポッターと謎のプリンス」よりやや落ちる
ウォレスとグルミット ベーカリー街の悪夢 / Wallace and Gromit in 'A Matter of Loaf and Death'
ドリーム・ワークスとの契約終了も関係しているのか、長編だった「野菜畑で大ピンチ!」から短編に戻った「ウォレスとグルミット」の新作は過去3作をリマスターされたものもついてきての劇場公開となった。ということで何らかの形で過去作を見ている人にはやや料金が高いと感じるかもしれない。まあレイト料金1000円で見たのだが、どうせなら以前とは違う吹替版の方が良かったかもしれない。でもレイトがあるのは字幕版だけなのだ。吹替えはウォレスは萩本欽一から津川雅彦に交代したが、萩本の吹替は彼のパブリック・イメージとは違って怒りっぽさや性格の悪さが滲み出ていて面白かったのだがオリジナルと比べるとお人よしなところはうまく出ていなかったと思う。津川版はどうなのだろう?
原題にDeathという言葉があるように殺人事件が起こる。殺されたと思われていた人が生きていたということはなく本当に殺されている。映画のトーンがダークなわけではないが、少し驚かされる。とはいっても前作が怪奇映画のパロディだったのだから、今作がサスペンス映画のパロディでも驚くことはない。
クレイアニメといってもウォレスが惚れる相手はいつも美人ではないのだが、今回のパイエラの場合は、かつてはスマートだったのに今は太ってしまったという設定になっている。今回は彼女の犬にグルミットといい関係になる。顔の構造は飼い主とほぼ同じだが犬だとかわいく感じるのがどこかおかしい。
過去作を続けて見ることによってウォレスとグルミットの関係、献身的なグルミット、乗り物好きなグルミットなどが確認できるのは良かった。クレイアニメに関することはふれなかたが、パンはおいしそうだった。
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登録日:2009年 07月 28日 20:05:44
「ハリー・ポッターと謎のプリンス」。 「ノウイング」と同程度には楽しめる
【7月11日 AFP】米ニューヨーク(New York)のジーグフェルドシアター(Ziegfeld Theatre)で9日、映画「ハリー・ポッター」シリーズ最新作『ハリー・ポッターと謎のプリンス(Harry Potter and the Half-Blood Prince)』のプレミア上映会が行われ、ハリー役のダニエル・ラドクリフ(Daniel Radcliffe)らが登場した。(c)AFP
ハリー・ポッターと謎のプリンス / Harry Potter and the Half-Blood Prince
1作目から10年近くが経ちお子さまたちの容姿もかなり変化したこのシリーズ、原作にあまり興味がない身としてはイギリス中年俳優の活躍を楽しみにしている。今回初登場するのはジム・ブロードベント、ユーモラスな外見ながら秘密を抱えているというのは彼によくあっているがインパクトはやや小さい。そういえばナオミ・ワッツがドラゴの母親という噂もあった。というわけで今回活躍するのはレギュラーのマイケル・ガンボンとアラン・リックマンなのだ。あるいは前作に続いて登場のヘレナ・ボナム=カーターが一番おいしいかもしれない。
巷では主演3人の成長に合わせたラブコメ色が強調されているが、全体のトーンは暗く映像も青みががっている。前作ではピンとこなかったデヴィッド・イェーツだったが、これまでシリアスな社会派ドラマが手掛けてきたことがうまく作用しているので、ぜひ最後まで引っ張っていってほしい。このシリーズ終盤の構成はラストバトル+事件について振り返るorこれからについて一言、というものだがここ数作はそれがうまくいっていないような気がする。本作もその流れにあるのは残念だ。もう少しメリハリがつくと良いと思う。また今作ではダンブルドア、スネイプ、ハリー、ドラコの4人の関係が嫉妬、羨望、友情等々複雑に絡み合っているのだが、その辺を隠し味にうまく使うとドラマに深みが出たと思う。
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登録日:2009年 07月 23日 00:30:13
「ノウイング」 「モンスターvsエイリアン」より無駄がない
【3月11日 AFP】米ニューヨーク(New York)のAMCロウズ・リンカーン・スクウェア(AMC Loews Lincoln Square)で9日、映画『Knowing』のプレミア上映会が開催され、出演俳優のニコラス・ケイジ(Nicolas Cage)らが出席した。(c)AFP/Getty Images
ノウイング / Knowing
ニコラス・ケイジはヘンな人だ。ハリウッド大作とアート系を交互に出るという人は少なくない。しかしケイジの場合には第3の道としてトンデモ系映画がある。この「ノウイング」はトンデモとハリウッド大作の中間といったところ。
ストーリーは50年前の小学校にタイムカプセルを埋めるところから始まる。そこには絵を入れるはずだがルシンダという少女は数字の羅列を紙に書く。50年後ジョン(ニコラス・ケイジ)の息子ケイレブは50年前に数字が書かれた紙を手にして家に持ち帰る。やがてジョンはその数字が事故や災害の日付と犠牲者数を示すことに気づく。次の日に事故が起こるかもしれないとニュースを見ながら気をもむジョンだが、ケイレブを迎えに行く途中で渋滞に巻き込まれる。イライラしているジョンだがふと見たGPSの数字があの紙に書かれた数字と一致することに気づき、そのときに事故は起こる。
このときの事故が日常にいきなり侵入してくる非日常を描き、非常に心臓に悪い演出方法だ。次の事故はあちらで起こるのか、いやこっちだという具合に惑わせながらこれまでいやーな映像を見せ付ける。映画の前半で大学教授であるジョンは学生に決定論と非決定論を語る。もちろん彼は後者だ。アメリカ映画の主人公らしく運命は変えられると、ニューヨークの事故をなんとか防げないかと努力する。その試みは当然失敗する。それもタイムトラベルものによくあるような歴史に干渉をすると少しずつ何かが変わる(たとえば死者数は変わらなくても誰が死ぬかは変わる)ということもなく、まるで台本があるかのように死ぬ人は死ぬというのを見せ付けられる。ここにきて見ているほうも主人公の運命が楽なものではないと分かる。事故の描写としては1回目の方が厳しいのだが、精神的には2回目の方がきつく感じられる。なんとか事態を改善しようと努力するジョンだが謎の核心に近づけば近づくほど自分が無力だと気づかされる。
早い話がノアの方舟だ。この手の話を引き立てるに必要なものはビジュアル・センスはもちろんのこと、主人公以外の俳優の存在も大切だ。ジョンのパートナーというべき今は亡きルシンダの娘ダイアナを演じるのはローズ・バーン、いくつかの映画出演作よりはドラマ「ダメージ」でグレン・クローズにいじめられる新人弁護士の印象の方が強く、ここでもそのイメージを引き継いでいるように思う。彼女よりも重要なのが二人の子役だ。ジョンの息子ケイレブを演じるチャンドラー・カンタベリーは無垢な感じがよく出ている。もう一人はルシンダとダイアナの娘アビーを演じるララ・ロビンソン、ルシンダのときは不気味な少女を、アビーのときはケイレブと通じるものを感じさせる微妙な表情が魅力的だ。
この映画はシャマラン映画と比較されるようだが、(もちろんラストは違うのだが)むしろキアヌ・リーヴスの「地球が静止する日」が多方面に気を使いすぎて表現出来なかった映画と言えそうだ。あるいは最後にあれが出てくることもあってダーレン・アロノフスキーの「ファウンテン 永遠につづく愛」を思い出したりもした。「ファウンテン」を見たときには「火の鳥」を思い出したのだが、その手のテイストをうまく消化しているのはこちらのほうだ。しかし信じない者は救われないどころか、信じても救われないこの映画、ジョンの父親が牧師だったりするが「ミスト」のカルトなおばさんみたいのが出てこないのはややつまらない気もする。
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登録日:2009年 07月 21日 22:40:29
「モンスターvsエイリアン」。 「トランスフォーマー/リベンジ」よりよく出来ている
アニメ映画『モンスターVSエイリアン』上映、R・ウィザースプーン&K・サザーランド登場
【3月10日 AFP】アニメーション映画『モンスターVSエイリアン(Monsters vs. Aliens)』のプレミア上映会が9日、ドイツ・ベルリン(Berlin)で開催され、声優を務めた女優リース・ウィザースプーン(Reese Witherspoon)と俳優キーファー・サザーランド(Kiefer Sutherland)が登場した。(c)AFP
モンスターvsエイリアン / Monsters vs. Aliens
3D映画の時代と言われて久しいが、今年は確かに転換点になるかもしれない。そう感じるのは電車で10分か、自転車で行ける範囲の4つのシネコンに3D施設が導入されたからだ。この施設の認知度アップの切っ掛けになったのは「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス 3D」のときだったと思う。これを見た劇場は舞浜イクスピアリだった。この劇場は以前からDLP施設があったのだが、小さめのシアターでありそれを大きくアピールすることは出来ていなかった。つまり新宿や品川のIMAXシアターが閉館したことからも分かるように、ハードだけでは観客はついてこないのだ。「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス 3D」上映時の改革点は一番大きなシアターに3D施設を導入したことにある(この劇場は一つだけ大きなシアターを作るのではなく361、204、176、135サイズ×4で16スクリーンあるのが特徴になっている)。361が大きくはないとは言ってもそれでも簡単には埋まらない。しかし「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス 3D」は10年近くかかつてファンを獲得した作品だけあって満員だったのだ(軽い気持ちで見に行ったら売り切れだったので次回まで待たなければならなかった)。やはり興味を引く中身が重要だと実感した。
これだけ3Dの話をしながらこの「モンスターvsエイリアン」は字幕版を見たかったので2D版にした。というより字幕版を上映しているのは都内で3館のみであり、その中なら新宿しか選択肢はなかった。ところがこの字幕上映も一日一回なので早めに行った。注意していないととんでもない上映時間になったりするのだ。3Dの字幕上映はたしか「ベオウルフ」があったはずだが、見づらいか(見づらいとしたらどれほど見づらいか)はよく覚えていない。オープニングでは宇宙から隕石が飛んでいるところはいかにも3Dという感じがするが、その後は2Dで見ていてもさほど気にならなかった。
ドリームワークスのアニメというと昨年の「カンフー・パンダ」では変化を感じたが、今作もその流れにある。デザインで言えば巨大化した花嫁のスーザンはチラシ等で見るとどうかなと思うのだが、本編ではかなり良い。悪い意味でドリームワークスらしさを感じるのはモンガー将軍の青いアゴと大統領の表情が崩れたときの顔下半分。ムシザウルスはかわいい。
この映画の良いところはいい意味でのいいかげんさにある。地球を守るモンスターは新人スーザンを入れて4人+1。確実に戦力になるのはスーザンとムシザウルスしかいない。宇宙人ギャラクサーが単独で乗り込んでくるのも、この手の映画の定石である"野望は立派だが本人は間抜け"という路線を踏襲している。ただしスーザンが実家に戻るときに婚約者にふられてモンスターたちの方をより身近に感じるのは「シュレック」がもう散々やっているので新鮮味はない。
声の出演で事前に知っていたのはリース・ウィザースプーン、セス・ローゲン、キーファー・サザーランドの3人。リース・ウィザースプーンは彼女らしさも出ていて悪くないのだが、セス・ローゲンの良さの方が光った。彼はこれまでに「カンフー・パンダ」や「ホートン」といった映画で声の出演をしていて、一番良いと思ったのは「スパイダーウィックの謎」なのだが、このボブはそれよりも良い。脳みそがないキャラクターなだけに、必要以上に大げさにすることも可能なのだが、おバカキャラをユーモアを交えながら演じている。アニメ・キャラクターならではの良さが出た。モンガー将軍を演じているのは「24」シリーズでおなじみのキーファー・サザーランド、ジャック・バウワーを思わせる暑苦しいキャラクターなのだが、彼だと知っていなければかなりのオーバーアクトと思うかもしれない。しかし50年前からモンスターたちを捕獲しているとは、何歳なのだろう。スティーヴン・コルベールは本国では政治バラエティをやっていたはずだ。オープニングにはレイン・ウィルソンとウィル・アーネットの名前が出ていた。声を聞いただけで区別がつくほどには彼らのことは知らないが、どちらかが敵ボスで映画を見ていたときはウィル・アーネットだと思っていたのだが、逆だった。でもギャラクサーの相棒というべきコンピューターの声はウィル・アーネット夫人のエイミー・ポーラー、この夫婦は「ホートン」でも声の出演をしている。
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登録日:2009年 07月 19日 23:30:46
「トランスフォーマー/リベンジ」。「マン・オン・ワイヤー」と比べるまでもない
間もなく公開の『トランスフォーマー/リベンジ』、ドイツでプレミア上映会
【6月16日 AFP】映画『トランスフォーマー/リベンジ(Transformers: Revenge of the Fallen)』のプレミア上映会が14日、ドイツ・ベルリン(Berlin)で開催され、出演者のシャイア・ラブーフ(Shia LaBeouf)やミーガン・フォックス(Megan Fox)らが登場した。本作は20日から全国で公開される。(c)AFP
トランスフォーマー/リベンジ / Transformers: Revenge of the Fallen
子供っぽいというよりは子供向きだった1作目から2年、マイケル・ベイという監督はおそらく(爆破よりは)クラッシュ・シーンが撮れれば幸せという人だろうから、本人の満足度は「トランスフォーマー」も失敗作とされる「アイランド」も大して変わらないだろうし、見ているほうの苦痛も同様だ。今作でもトランスフォームは早すぎて分からないし、感情的(と監督が考えている)場面はスローモーションとワン・パターンだ。今回見て気になったのは巨大なはずのトランスフォーマーに大きさを感じられず、小ぢんまりとしているように感じられるのだ。人間が前方に配置されてもそう感じられる。おそらく監督の頭の中で完結している画がこちらまで伝わってこないのだろう。
文句をつけた1作目だがストーリーはさほど悪くなく、学園ドラマや青春映画からの引用が多かったがそれなりによく出来ていた。脚本は二人いてタランティーノほどはスタイリッシュではないが、サンプリング世代の作家と言えるかもしれない。新作はこの二人ともう一人の脚本家が参加しているが、二人はこれより前に公開された「スター・トレック」も手がけている。そちらの方がよく出来ているのだが、考えてみればスター・トレックという題材は歴史があるだけに引用すべき題材が多くてやりやすかったのだろう。このコンビの弱点と思われるのは物語のクライマックスのしょぼさとそこに至る流れの雑さにあると思う。「スター・トレック」の場合はオーラスにはテレビ・シリーズへのオマージュがあり、その前にはスポックに関する仕掛けと、だれる暇がないのが幸いしたようだ。
この「トランスフォーマー/リベンジ」は残念ながら脚本も前作よりもかなりレベルが低い。前半は学園ホラー/エイリアン・テイストなのだが、主人公サムの大学生はすぐに終わってしまう。吸血鬼やエイリアンのパロディになっている美女に化けた敵がサムに色仕掛けをするところを恋人のミカエラが見てしまう場面はもっと引っ張るべきなのだ。寮生活やハッパまで持ち出してきたのにまったく生かされていない。これ以降はアクションがダラダラと続く。その中にアメリカ軍(を中心とした部隊)とアメリカ政府の対立があるのだがこれもまったく効果的ではない。また後半は編集も、いきなり出てくるように感じられるサムの包帯や両親(前者は実生活でケガをしたシャイア・ラブーフが悪いのだが)などもこれまた雑でひどい。脚本家チームは当初大学生活を長めに用意していたの可能性がある。その名残がサムと行動を共にすることになるルームメイトの存在だろう。ここを削ったのはふつうに考えれば監督の意向だ。その結果として後半は戦闘シーンに長く時間を割いただけという無様なものとなっている。
アメリカ人の認識ならシャイア・ラブーフは子役から見てきた少年が大きくなった姿を見守っているような感じだろうか、前作以降もコンスタントに映画に出ていて、どれも悪くないが決め手に欠ける。この間の個人的なベストは「イーグル・アイ」の主人公ではない方の双子だ。そろそろ「トランスフォーマー」以外の代表作がほしい。ミーガン・フォックスは前作以降あまり見かけなかったが、アメリカでも状況はあまり変わらない。その割には「~な女優トップ10」にはよく顔を出す。もはやラブーフと並ぶのは似合わないかと思ったが、(色々な意味で)なかなか見せてくれて、けっこうやるなと思った。ジョシュ・デュアメルは出ている時間は多く感じるが、見せ場はその肉体くらいしかなく、あまり得をしていない。むしろ出演時間は少ないジョン・タトゥーロの方がインパクトは強い。
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登録日:2009年 07月 14日 22:16:31
「マン・オン・ワイヤー」。「扉をたたく人」ほど作りに工夫はないが楽しめる。
「2008トライベッカ映画祭」映画『Man On Wire』プレミア上映会にスティングら登場
【4月30日 AFP】ニューヨーク(New York)で4月23日から5月4日まで開催中の「2008トライベッカ映画祭(2008 Tribeca Film Festival)」で26日、映画『Man On Wire』のプレミア上映会が開催され、英国人ミュージシャンのスティング(Sting)らが登場した。(c)AFP/Getty Images
Man On Wire / 「マン・オン・ワイヤー」
本年度アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門受賞作。1974年に行われたニューヨーク、ワールド・トレード・センター(WTC)を使用しての綱渡りを行ったフィリップ・プティに関するドキュメンタリー。同時の貴重な映像やスチール、再現ドラマと関係者へのインタビューとドキュメンタリーとしてはオーソドックスな構成である。
主役というべきフィリップ・プティの知名度が日本では低いために知らないことだらけなので単純に一風変わったドラマとして楽しめる。プティのキャラクターも面白い。17歳とのときにWTC建築の話を聞いて綱渡りをしたいと思うなどはほかの誰も思いつかない。その一心不乱に突き進む姿はいい意味で子供のようだ。これがWTC建築中の出来事だというのも面白い。つまり何かの企画ではなく(こんな企画が通るわけがないのだが)ゲリラ的に行われた犯罪的な行為であるというのがよく分かる。もちろん、落下して死亡してしまえば大きな事故として後世に伝わるだろうから成功したことは分かる。
すでに多くの媒体で語られているようにこの映画はWTCでの綱渡りという一種のハプニングとしてでなく、犯罪映画として楽しめるのが面白いドキュメンタリーとは違う味を加えている。それがよく分かるのが大きなことをやり遂げた後の虚無感である。この犯罪は関係者に大きな傷を残した。一番分かりやすいのはプティが恋人と別れたことだが成功直後に声をかけてきた女とすぐに寝てしまうフランス人、あんたも悪いよ。
さすがに綱渡りそのものの映像は残っていないが、それでもスチールは残っていてこちらの想像力を喚起する材料としてはちょうどいい。どうしてWTCに挑んだかの理由はこの映画を見ても明確な答えは分からない。それは例の"そこに山があるから"に似ている世界だ。同時に"どうしてこれが今作られたのか"に対する答えもない。プティの自伝が書かれたことが関係しているのだろうがそれも大きな理由にはならないようだ。監督が作りたいものを作っただけなのだろう。音楽はややうるさい気がしたが、実際にプティが聞いているものだというからしかたない。
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登録日:2009年 07月 12日 22:52:16
「扉をたたく人」。「路上のソリスト」とはまた違う佳作
<第32回トロント国際映画祭>『The Visitor』ワールドプレミア上映会開催
【9月9日 AFP】6日から15日までカナダで行われる、第32回トロント国際映画祭(32nd Toronto International Film Festival)2日目を迎えた7日、ライアソン・シアター(Ryerson Theatre)で映画『The Visitor』のワールド・プレミア上映会が開催され、監督・出演者らが出席した。(c)AFP/Getty Images
扉をたたく人 / The Visitor
この映画はクリント・イーストウッドの「グラン・トリノ」と比べてみると面白いと思う。「グラン・トリノ」はイーストウッド主演作としてはかなりのヒットとなったことで、アカデミー賞のノミネートも期待されたが一部門もされなかった。かつて「父親たちの星条旗」が今ひとつの評価に終わったものの連作であり(外国語映画としてのハンディがある)「硫黄島からの手紙」がノミネートされたくらいだからイーストウッドはアカデミー会員に人気が高い。だから作品・主演・音楽・主題歌のどれかにノミネートされてもおかしくない。中でも(毎回のお約束とは言え)最後の主演作と言われていただけに主演部門のノミネートされなかったのは残念だった(もちろんあれがキャリア最高の演技かと言う問題はあるし、イーストウッドだから許されると言う展開も多々あるのも気にはなる)。それでもこの「扉をたたく人」を見ると「グラン・トリノ」とテーマが似ていて、リチャード・ジェンキンスがノミネートされるならイーストウッドはないかなと思ってしまう。また「フロスト×ニクソン」フランク・ランジェラもいるので候補にベテラン3人は多すぎるということになりかねず(そうなると外れるのはブラッド・ピット?それは話題的には避けたいか)。そんな政治的駆け引きがあると考えるのはそれはそれで楽しいが、リチャード・ジェンキンスは俳優組合賞でもノミネートされているわけでサプライズ・ノミネートでもない。
この映画を「グラン・トリノ」と比べてみる。妻を亡くしてやる気をなくした老人が移民の青年と出会うことでやる気を取り戻す一方で、彼らの人生に係わったために彼らも自分たちも傷つくが後悔はしないという共通点がある。違う点としては青年が「グラン・トリノ」の場合には難民二世であるのに対してこちらは難民と認定されない不安定な立場であること、さらには「グラン・トリノ」は相手が少年であるので老人と擬似親子関係になるのに対してこちらは年上なので友人関係に近く青年から音楽を教わることも違和感がない。当然ラストも違ってくるが、イーストウッド主演ならこれも終盤はハードな展開になるかもしれない(笑)。
映画はなんといってもこれが初主演作だというリチャード・ジェンキンスに尽きるだろう。脇役で活躍する俳優は日本の笹野高史氏を見ても分かるように実年齢より老けて見えることが重要だ。本作のジェンキンスも実年齢と大して変わらない設定だと思うが、主人公の大学教授ウォルター・ヴェイルは妻を亡くして疲れた表情をしているので、彼の顔が効果的だ。
物語はウォルターが学会のためにニューヨークの別宅を訪問したときにそこに二人の移民が住み着いていることから始まる。一度は当然のように追い出しながらも二人にしばらく滞在することを認める。このウォルターの対応は優しすぎるとも思えるがこれは彼の性格もあるだろうし、非ニューヨーク住民ならではの対応かもしれない。
この映画がいいと思うのは細かいところまで行き届いている点だ。シリアスなドラマでありながらクスっとしてしまう場面はあるし、ニューヨークの隣人のキャラクターの作り方などもうまい。ジャンベというアフリカを思い起こすパーカッションを使いながらその演奏者タレクはシリア出身であり、彼の恋人ゼイナブはセネガル出身というはずし方にも感心してしまう。
ウォルターは妻の形見であるピアノを諦めて青年とジャンベを演奏する。年下のタレクから教わることでここ数年の生気のない生活を振り払うことができたわけだ。やがてタレクがビザ問題でトラブルに巻き込まれ入国管理局に拘束され、彼の母親モーナも登場して911以降の厳しい現実というやつを見せてくれる。母親を演じるのは「シリアの花嫁」でも印象的だったヒアム・アッバス。力を入れているわけではないが、意志の強さと秘めた優しさをここでも見せてくれる。911以前ならタレクの申請も通ったかもしれないし、ダイナーで見せる入国管理局職員の態度の大きさを見れば、この映画がどちらの立場からにいるか簡単に分かるが、そのいかにもお役所仕事ぶりも印象に残る。
この映画の立場からしてもこうなるしかないというビターな結末だが映画の語り手の視点が優しいからか、気にならない。「オペラ座の怪人」のエピソードはやや浮いているようだ。また「扉をたたく人」 という邦題はなかなか良いが、原題の「The Visitor」と比べると誰を指すのか気になってしまう。
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登録日:2009年 07月 11日 23:36:16
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