2010年 01月

「サロゲート」。 「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」より小さくまとまっている。

サロゲート / Surrogates

近未来、増毛技術が発達した世界でブルース・ウィリスが活躍する映画ではなく、身代わりロボットサロゲートがすべてを代行してくれる世界。「マトリックス」(レジスタンスのリーダーがそれ風)から10年、「アバター」が公開された年の映画としてはどうかなと思うのだが、B級SFとしては楽しめる。ただ楽しめるのはB級の部分であるのが問題。一番似ているのは「アイ,ロボット」だと思うのはジェームズ・クロムウェルが出演しているからでもある。謎を追っていくと意外な人の所にたどり着き大きな変化が訪れるというパターンなので安心して見られる。それでも監督がインタビューで昔ながらの肉体を介した関係が重要だとか聞き飽きたせりふを言われると萎える。トニー・スコットのほうが適任だったかもしれない。

サロゲートの設定が「アバター」より良いと思うのはまずは障害者や軍事用に開発されたということ。こちらのほうが自然だ。「アバター」で納得いかなかったのはあれを軍事用に使用しない点だった。「サロゲート」はその話がメーンではないがきちんと出てきて好感が持てる。映画の冒頭でサロゲートを使って安全な世界、サロゲートが壊れても使用者は大丈夫なはずなのに死んでしまう事故が起こる。そういえば「アバター」ではそうしたマイナス点はほとんどないのは以前ふれた。ただ人類のほとんどがこれを使うというのは違和感がある(これも「アイ,ロボット」で感じたことだ)。

最新テクノロジーからのしっぺ返しというとターミネーター・シリーズだがジョナサン・モストウ監督は「T3」の監督でもある。「T2」と比べると「T3」は評判が悪く、できはあまり良くないのだがSF映画としてはアイドル映画(シュワルツェネッガー、エドワード・ファーロング、リンダ・ハミルトン!!)になってしまった「T2」よりは正統派な作りであった。

サロゲートが髪の毛ふさふさのブルース・ウィリスは前半はそれで笑わせ、後半は素顔の苦しそうなアクションがで肉体を感じさせてくれて良い。相棒のラダ・ミッチェルのサロゲートはスパーモデルというかハイジ・クラムにそっくり。これは美しさを求めて無理なダイエットや整形手術をすることに対する皮肉だろう。ウィリスの嫁ロザムンド・パイクはクール・ビューティーというより表情が少ない能面顔の美人なのでサロゲートの世界にはぴったりだ。

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登録日:2010年 01月 19日 00:37:26

「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」。 女性観は「(500)日のサマー」に負けるが面白い

ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女 / Man som hatar kvinnor

原作者スティーグ・ラーソンが3部作を書き上げたあとでも話題のミステリー「ミレニアム」シリーズ、各メディアのミステリー番付でも上位に来ているわりにはさほど盛り上がってない(?)この映画、別ルートでハリウッド・リメイクも決まっているでしょうが本国産の映画も見ておきたい。

一足先に読んだ小説の感想を先に、小説の構成はサンドウィッチ形式になっている。主人公の雑誌ミレニアム記者ミカエル・ニクヴィストが告発記事を書いたが、それははめられたものでありそれにより彼は裁判で有罪判決を受ける。ここがサンドウィッチのパンの部分なのだがここがあまりうまく機能していないように思う。映画ではこの部分をばっさりと切り、ミレニアムの発行会社と(ミカエルに姪ハリエットの捜索を頼んだヴァンゲル・グループの前会長)ヘンリック・ヴァンゲルとの関係もなく、40年前の事件の話に集約していいていい。

原作読者が気になるのはなんと言っても実質的な主人公リスベット・サランデルだろう。演じたノオミ・ラパスさすがに25歳なのに15歳にしか見えないというのは無理だが、それ以外はイメージ通りだ。さらにリスベットとミカエルが仕事を始める前どころか、冒頭からリスベットを登場させるのは映画の利点を利用している。この二人が出会うまでのテンポの良さはこの映画一番素晴らしいところである。もちろん後景人との例のシーンはある。ラスト近くに彼女がある人を追い込むところについてはアレンジがあって原作読者にとっては賛否があるかもしれない。父親に対するトラウマは多い気もするが、この変わった女性の背景としては悪くない。

対するミカエルはやや弱めに感じる。原作では中年なのにモテモテ状態だが、この方面は控えめ。ボクのイメージとしてはベニチオ・デル・トロ。原作を踏襲しすぎたのか女優が軒並み老け気味なのが気になった。ハリウッド版ではここに気を使ってほしい。45~55くらいのいい女はいくらでもいるはず。

全体の流れからすると二人が合流してからはやはり原作を追いかけるのに必死でテンポは前半ほどよくないが、それを気にしなければ出来はかなりいい。ミステリーのキーポイントであるBJの意味、ハリエットが恐れた人、ことの真相が明らかになるあたりはもう少しじっくり演出しても良かったと思う。

エンドロール後に2部の予告編あり。

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登録日:2010年 01月 13日 00:31:23

「(500)日のサマー」。 「ヴィクトリア女王 世紀の愛」より二人の関係に踏み込んでいる

「(500)日のサマー」 / (500) Days of Summer

この映画はサンダンス映画祭のころから知っていたし、500daysofsummerツイッターもフォローしていた。それでもここ数ヶ月はあまり情報を入れずに見た。

タイトルロールを演じるズーイー・デシャネルに関しては「銀河ヒッチハイク・ガイド」以降の日本公開映画は全部劇場で見たし、シー&ヒムのCDも買ってよく聞いた。映画はトム(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)とサマーの500日間がシャッフルされて描かれるが大体は400日ころで二人の関係は終わり、残りの100日間はトムのリハビリ期間と考えたほうがいい。シャッフルと言っても二つに大別できる。出会いから付き合い始めたころ(サマーの行動からするとこの表現は的確ではないかもしれないが、便宜上こう表現する)と二人の気持ちが離れ始めた300日前後、この二つが交互に来ると考えればいい。

予告で見た"シド&ナンシー"場面が思ったより後半、つまり倦怠期のころだったのは意外だった(いやあれが倦怠期でないというつもりはないのだが、もう少しギャグでいい空気になるかなと思っていたので)。IKEYAが2パターンあるのはうまいのだが、やはりラブラブ期が印象に残る。さらにはミュージカル・パート!恥ずかしくなる一歩手前、いやラインを超えているかもしれない。それをやってのけるジョセフは偉い。この恋の絶頂期表現は最高。

トム視点で語られるこの映画なので同じサマーでも彼にとって輝いているときと嫌な女に感じるときがある。ふつうの映画なら輝いているときを不必要にキレイキレイな画として撮りそうだが、嫌いなときに大きな差があるとは感じない。変わったのはサマーではなくトムの気持ちという表現か、この監督ならではリアリティかのどちらかだろう。もっともサマー賛美のパートはモノクロ映像の場面がそれに当たる。

サマーを演じるズーイーは「イエスマン "YES"は人生のパスワード」あたりでは不思議キャラが型にはまりすぎて少しつまらなかったが、ここではそれを踏襲しながらも、その上を行っている。監督のマーク・ウェブはプロモーション・ビデオ出身だけあってズーイーのプロモーションのためのビデオのように感じる瞬間が何度もある。青い目を強調し、それにあわせた色の使い方などは見事だ。ただサマー事態は不思議系というより頑固者に見えるのは良いのか悪いのかよく分からない。

対するジョセフのトムは草食系と紹介されるがブリティッシュ・ロック愛好家でサッカーやっていれば、肩身は狭いわな。サマーと比べるとトムのほうがロマンティックという見方もあるが、建築家になりたいのになれなくてコピーライターをやっているということをやや引け目に感じているものの、自分に自信を持てない人間というものはどこにでもいる。頑固なサマーとは違い流されやすいという欠点はあるが最後には少し成長したのだ。

ところでこれは演じている俳優がはまっているのであって、誰もがトムのようになれないよという意見もあると思うが、ちょっとさえないトムの同僚を演じるジェフリー・エアンドは実生活では「MAD MEN マッドメン」の美人秘書役のクリスティナ・ヘンドリックスと結婚している。希望を持とう。私生活が華やかといえば最後にチラッと出てくるミンカ・ケリーで、彼女はデレク・ジーターと交際(婚約?)中。普段よりかアダルトな雰囲気が意外だった。彼女ももう30なので別に不思議ではない。でもレイトン・ミースターとの映画では女子大生役だ。トムの妹(?推定年齢12歳)は幼いのに恋愛マスターだが、彼女をはじめはエル・ファニングだと思っていた。

パンフレットにはロサンゼルスを美しく撮ったという風に書いてあるが、さほどきれいに感じなかったのはボクがLAになじみがないせいか?少し気になった。

主役二人の写真は引用できなかったのでプレミアの様子はこちらで http://www.imdb.com/title/tt1022603/mediaindex?refine=rg3587873280

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登録日:2010年 01月 09日 23:53:14

「(500)日のサマー」を語る前に音楽のくだらない話


恋人と音楽の趣味が一緒である必要はない。自分の趣味を相手に押し付けることが好きなタイプの男はとくに注意が必要だ。この場合は共通の好きなアーティストがたくさんいるよりかは互いの趣味を補完するような関係になるほうがいいかもしれない。「(500)日のサマー」でトムはザ・スミスを通じてサマーに近づくが、職場でザ・スミスをかける場面は自分の色に染めようとするトムとサマーの気を引こうとするトムが混在しているはずだ。

基本的に男は女が自分より音楽に詳しいのを嫌う。ただし特定のアーティストにのみ興味を示す場合は例外である。その理由がミーハー的ならなおさらいい。「(500)日のサマー」でいえばサマーのリンゴ・スター好きは構わない。しかもそれが"ビートルズ映画のリンゴってカワイイじゃない"というのならさらに良い。そして補完関係になるなら、男がいかつい容貌が好きなら女はイケメン好き、以下ハードな音とソフトな音、難しいことをやっているバンドとポップなサウンド、変拍子と二拍子(これは違うか)という組み合わせがいい。こうなっても互いに必要以上に干渉しないことが大切である。それもうまくいかないなら"女は黙ってカーペンターズかエンヤを聞いていろ"ということになる。とうぜん男も影で密かに聞いて、いいと思っていてもそれを口にはしない。「(500)日のサマー」の予告編のエレベーター内やりとりに当てはめるとこうなる。"私もザ・スミス好きなの"の返答は、"あー、スミス。人がいうほど大したことはないだろうと思っていたけど、ともだちに借りたら思ったほど悪くなかったよ"となる。

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登録日:2010年 01月 09日 23:33:12

「ヴィクトリア女王 世紀の愛」。 「バッタ君町に行く」と違い分かりやすさが足を引っ張る


ヴィクトリア女王 世紀の愛 / The Young Victoria

年の初めは文芸調の、それでいて重くない映画をと思い選んだのは、エミリー・ブラン主演のヴィクトリア女王物語。たとえば「ブーリン家の姉妹」のように"女王だって今のギャルと気持ちは同じ"というようなスタイルの映画かと思ったが、そうした部分はあるとしても極一部のみ。少女(公女)時代は母親とその愛人(?)コンロイに仕切られた籠の鳥状態。そこで"プリンセスになりたい"ではなく"次期女王になる運命を背負ってしまった"という苦悩を少し見せてくれるが、わりとあっさりと流される。

やがてヴィクトリアが女王になると"いつか王子様が"ではなく"自分で女王の夫となるべき男性を選ばなくてはいけない"となるのが面白い。そこには政治が絡んできて首相のメルバーン子爵が登場する。首相にして女王の相談役というのは微妙な位置にある。王様は死ぬまで王様だが、政治家はいつか辞めてしまう。しかしここで注目なのはメルバーンを演じるポール・ベタニー、もちろん彼が演じているのは事前に知っていたがパッと見には彼とは分かりづらい。彼の特徴である三白眼が目元のメイクと髪型で隠されている、まあ声を聞けば分かるのだが。彼の演技が一番いいと思う(次は犬)。

原題がThe Young Victoria というところから分かるようにヴィクトリア女王の全人生を描かない。アルバートとの結婚、暗殺未遂、出産あたりで映画は終わる。夫に先立たれた姿などはない。エミリー・ブラントのヴィクトリアは、たとえばケイト・ブランシェットのエリザベスとは違い、女王として生きてゆくことを決めた凄みなどはなく役不足(誤用)なのだが、それはそれでいい。女王の心情深くまで入り込まないのはこの映画の弱点だ。

夫アルバート役のルパート・フレンドは情けない男の役だが、叔父や兄からのプレッシャーを必要以上に強調しないのはいい。しかしこの人はヘタレと違う情けない役が本当に似合うようになった。その意味では貴重な人材だ。女王の母親という地位を獲得できなかった母親を演じるのはミランダ・リチャードソン。ウィリアム国王役のジム・ブロードベンに罵倒されるところがハイライトだ。愛人と二人で裏工作をかけるところを前面に出したらもっとドロドロしただろうが、この映画はその気はない。むしろメルバーン視点で描いたほうが面白かったかもしれない。

ということで国王と政府の関係など興味深い点があまり掘り下げられない軽めの仕上がりの映画なので、これならテレビ映画のほうがいいのでは?と思ってしまうが、映画にしないと衣装などにお金をかけられないのでこれでいいのかもしれない。衣装で面白かったのはパンフレットにもあったが"王になること"="前の王が死ぬこと"だから最初の衣装は喪服であるというのはなるほどと思った。最後の曲はシニード・オコナーだったのは意外だった。

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登録日:2010年 01月 03日 23:23:51

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