2010年 08月 21日
「シルビアのいる街で」。 「ルンバ!」が身体表現ならこちらは聴覚に訴える
シルビアのいる街で / En la ciudad de Sylvia / In the City of Sylvia
映画の魅力といえば第一に映像美だが、サイレントを卒業して以来、音の持つ意味も小さくない。この淡々としているように見える映画は音にかなり気を使っているはずだ。車の音から始まり、やがて薄暗い寝室へ、やがて主人公はカフェに行く。フランスの港町ストラスブールで撮られたスペイン映画ということで行き交う言語はフランス語を中心に様々な言葉となっている(その上フィルムには英語字幕も付いているのでそうした感覚が強くなる)。そしてカフェでは会話をしている客の後ろからバンド演奏の音も聞こえる。面白いのはそれらの音がばらばらに存在しているように感じられる点だ。一方主人公はカフェに来る女性を色々とスケッチしているが、どの女性にするか決めかねている。その様子が音と同調している。
やがてノートにシルビアと書きとめ、一人の女性を見つめる。それと同時に音の焦点も定まるかのようだ。ここからは主人公は女性を追いかけて、声を掛けるが無視される。「ゴドーを待ちながら」ではないが彼女とシルビアを必要以上に結びつけることも無い。この後映画は主人公の数十分にわたるストーキングという意外な展開となる。街を歩き回ることに深い意味はないが時おり彼女を見失って困るところなど面白い。監督自身による"Laure Je T'Aime"という落書きは、彼の作った世界にいるという合図でもある。やがて主人公は女性と対峙しシルビアのことを切り出す。映画のカラーからすると"いえ、私は違うわ"だけで終わると思うのだが、つい逆切れしないかと思いハラハラもする。その後主人公は夜のクラブでシルビアとは正反対の女性をナンパする。二人が一緒にいる姿が似合っていなくて逆に印象的だ。そういえば映画の中で夜の場面はここだけといっていい。そうか映画は主人公が夜に思い浮かべた妄想なのかなどと思いながら最後にシルビアの姿が映って終わるのである。
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登録日:2010年 08月 21日 22:21:21
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