2010年 12月 28日

「Ricky リッキー」。 「エリックを探して」とは違い監督のらしさはある、ファニーな面をどう思うか

Ricky リッキー / Ricky

英語作品「エンジェル」以来のフランソワ・オゾン作品だが、このあとに新作の日本公開も控えている。赤ん坊に羽根が生えるという前情報ではほんわかしたファンタジーと思ったが、かなり違う。

オープニングでヒロイン・カティ(アレクサンドラ・ラミー)のは子供を預けようとする場面だが、これは中盤に入る。これが重要な場面ではないところがこの映画の変なところだが彼女がすこしいい加減な性格であることを示している。娘リザ(メリュジーヌ・マヤンス)と二人暮し、工場で働いている。彼女は工場で知り合ったばかりの男パコ(セルジ・ロペス)と関係を持ってしまう。映画は展開が早く、すぐに結婚→息子リッキー(アルチュール・ペイ)が生まれる。

この映画は夫婦の話としてだけでなく、娘の視点でも見ることができる。母と娘と言う親密な関係から、パコと言う異物が入り込むと母によるバイクの送り迎えからバス通学になるなど変化が出てくる。それに加えて弟と言う新たに母が愛情を注ぐ存在が現れれば消えてほしいと思うのも少女の微妙な心理である。

やがてリッキーの姿に変化が現れる。肩の付近が赤くなると女は男が暴力を振るったと思う。このへんの演出はオカルト的でもある。そう感じるのは夫を演じるのがスペイン人のセルジ・ロペスであることにも関係がある。「パンズ・ラビリンス」のカピトーンを演じていた人なのだから、そう言えばあの映画でも再婚相手だった。彼は結局言い争いの後に家を出る。

この後でリッキーに羽根が生えても女は驚く様子も見せず、肉屋でチキンと形状を比べたり、本を調べたりするのがユーモラスだ。また羽根も天使の羽根と言うよりは生々しい獣のそれに近いのも重要で、グロカワイイと言うべきであろう。一回空を飛ぶとベビーベッドを布で覆うあたりも良い。

秘密はいつかばれるものだが、本作で最も弱いのはリッキーがスーパーで飛んでしまうところだろう。居合わせた客の反応がモンスターを見るというよりは珍しいものを見るそれであり、ケータイで写真を撮ってしまう。ここは教会にでも行って相談すればもっと謎の存在でいられたのだ。

リッキーが捕まると病院ではシャム双生児を例に出して羽根をきろうと言う。このドライな感覚もオゾン流だ。この騒動が一般にも知られるようになると男が戻ってくる。彼はリッキーを利用して儲けようとするにも文字通り現金で良い。やがてリッキーがまた飛んでいってしまい、彼を追いかけて女は湖に入る。これ以降はきっちりと描かれないので解釈の余地を残している。これを妄想と考えれば女か娘が見た悪夢、とくに娘にとって弟はライバルなのだが、ラストからするとそれはたぶん違う。

アレクサンドラ・ラミーは角度によってはキャメロン・ディアスに見える美人だが、ここでは化粧っ気のなさを強調してリアルに迫る。リッキーはアルチュール・ペイちゃん一人による撮影だそうだが表情が豊かだ娘の感情表現も気に入っている。

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登録日:2010年 12月 28日 22:22:45

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