「この自由な世界で」

この自由な世界で/It's a Free World...

ケン・ローチと言えば社会派という言葉がついて回るが、社会派社会派といい続けているとそれ自体にあまり意味がなくなってくるなどと考えていると、今作はややアプローチを変えてきた。スカーレット・ヨハンセンとテニスのグラフを合わせて2で割ったようなルックスの主人公アンジー(キルストン・ウェアリング)は自らの境遇から社会のひずみに落ち込み仕方なく悪や裏社会に入り込んでしまったのではなく、(リストラやシングルマザー問題があったとは言え)自らの意志でその世界、具体的には外国人労働者の斡旋業をスタートさせ、不法移民を働かせると言う泥沼に入り込んでしまうダーティー・ヒロインだ。虐げられる側ではなく虐げる側から描くというのは確かに面白い。アンジーをそこまで追いやった現代の状況を通して"自由な世界で"のひずみを描いて、監督本来の視線はアンジーの父親(演技未経験者を起用)の寄り、父親は強く言わないが娘のことあまりよく思っていない。母親でもあるアンジーは時おり優しさを見せながらも深みにはまる。そしてある一線を越えたときに自分の近くにいた、自分のことをよく思わない人から強烈なしっぺ返しを受ける。そしてそれが起こった後でも彼女はダーティーなままだ。

アンジーが自分を見つめなしたり、思い切り悩んだり、性的に危機が訪れないのでこの映画を生々しいとまでは感じないのだが、それでも何かが漂っていてあまり不満は感じない。それこそが社会派監督ケン・ローチが今までの映画で築き上げてきた空気な様なものだと思うのは気のせいだろうか。

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登録日:2008年 09月 26日 00:04:19

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