「落下の王国」

映像が主の映画だが、物語もそんなに悪くない。いや、欲を言えばもう少し整合性を持たせるか短くする方がいいとは思う。パンフレットによると時間をかけて少しずつ撮影したらしく、話全体は後付けらしいのでこの辺が限界ではある。

時代は1915年、スタントマンのロイ(リー・ペイス)は映画撮影中に事故を起こす。オープニングのモノクロ・フィルムがそれなのだが、これがうまい具合にすーっと流れるので内容を記憶しようとしないと思い出しにくい、フラッシュバックを使うのでも手だろう。この事故で彼は仕事も恋人も失い自殺願望が生まれる。動けない状況に置かれている彼は偶然知り合った5才の少女・アレクサンドリア(カティンカ・アンタルー)にお話を聞かせることで彼女を信頼させ、自分の思うとおりにさせようとする。この作り話が幻想的な映像で展開されるわけだが、初めは総督に虐げられた人々の復讐物語が語り手の自殺願望のために次第に暗い話になる。これが実生活の少女との交流を経てバッド・エンディングも徐々に変わってゆく(作り話なのであらかじめ結末が決まっているわけではない)。それを支えるのがアレクサンドリアをカティンカ・アンタルーである。少し太っていてパッと見はかわいくないのでが、片腕を吊って演じる姿は迫力があり、その大きな目が信じることの大切さを力説している。実は彼女はリー・ペイスが動けなくなったと信じて、スタッフもそれを利用して演技をさせたと言う。

モルヒネ(MORPHINE)の最後のEを3と読み違えて、3粒しか持ってこないなどのユーモアもあるが、やはり最後は映像美と石岡瑛子との衣装だ。独善的で映画として弱い場面もあるが、それを補うだけのものはある。とくに印象に残ったは以下の通り「ダーウィンの蝶のような衣装」「サル」「血の色に染まる布」「格子のような城」「エヴリン姫の衣装」。

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登録日:2008年 10月 05日 21:04:46

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