「ブラインドネス」

第61回カンヌ国際映画祭、華やかに開幕

【5月15日 AFP】第61回カンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)が14日開幕した。
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(c)AFP/Claire Rosemberg

AFPBB News


ブラインドネス/Blindness

フェルナンド・メイレレス監督と言えば「シティ・オブ・ゴッド」「ナイロビの蜂」で、最先端社会のすぐ隣に潜む闇にある狂気や日常の中にある非日常を描いてきた。今作では一般人が非日常に放り込まれたらどうなるかを描いている。ただここではふつうの人が狂気へと変わる瞬間があまりよく描かれていないと思う。ガエル・ガルシア・ベルナル演じる男が収容所で王として君臨し悪行を尽くすのだがその悪に深みが足りない。

映画を見る前に原作本「白の闇」を読んだが、これはあまり映像向きな作品ではない。原作では人々がどんどん目が見えなくなり、医者の妻だけが目が見えることによって彼女が文字通り目撃者になるのだが、映画では観客側にも見えてしまう。例えば排泄物に関することなどがそうなのだが、小説ではレベル3程度まで書いても読者がレベル5かそれ以上の状況を想像できる。それに対してこの映画ではカメラに映っていない部分は、想像によって補完したくなると言うよりは見えないままになっているのだ。ちなみに予告で"全世界、失明"とあったが映画でもそんなことは言っていない。

どこの国と特定されていないのは原作と同じだが(公用語は英語)、登場人物の人種がバラバラなのは映画の世界観を多文化的にしようという監督の意思だろう。マーク・ラファロとジュリアン・ムーアが夫妻というのはどうかなと事前に思ったが、ラファロが年上好きの雰囲気を出していて悪くない。髪を金髪にしたジュリアン・ムーアは熱演が空回りすることなく適切な演技を披露している。この映画で聞こえてくる外国語は最初の患者とその妻が話す日本語だが(英語だけでなく、日本語のセリフにも日本語字幕が付く)、監督にとって最も遠い言語にエキゾチックさを求めているのだろう。伊勢谷友介と木村佳乃では木村が日本語でも英語でも木村が話していると感じるのだが、伊勢谷は日本語と英語ではかなり感触が違っていた。

最初の発病者の近くにいた人間が次々に感染すると言うのは映画も原作も同様で、彼と彼がかかった眼科の病院にいた人たちで最小単位となり、それは収容所でも同じだ。収容所に送られてくる人は増え、さらに外の世界では病気が広がる。つまり「小」で始まったものが「大」になり、「小」の人たちには手におえなくなってくるという構造になっている。しかしフェルナンド・メイレレスが得意なのは大きな事件や社会の中で奮闘する個人や小グループを描く方ではないだろうか。個人的な感覚で言えば収容所を脱出したときには外の世界はもっと酷い世界であるはずなのだ。この監督はハッタリをかますのがあまりうまくなく、大局的な戦争映画などは向いていないのかもしれない。

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登録日:2008年 11月 28日 21:58:03

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