2007年 10月 31日

不倫と性同一性障害

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
性同一性障害 (せいどういつせいしょうがい; Gender Identity Disorder) とは、精神疾患の一つであり、精神的には身体的性とは反対の性に属するとした方が自然であるような状態である。身体的には男性か女性のいずれかに正常に属し、身体的・精神的にも正常であるにも関わらず、自分の身体的な性別を受容できず、更に身体的性別とは反対の性であることを、もしくは自分の身体の性と社会的に一致すると見做されている(特に服飾を中心とした)性的文化を受容できず、更にはそれと反対の性的文化に属することを、自然と考える人がいる(トランスジェンダー)。彼らの状態を一種の精神疾患ととらえた場合の呼称として、性同一性障害と呼ぶことがある。

しばしば簡潔に「心の性と身体の性が食い違った状態」と記述される。ただし、「心の性」という表現はジェンダーパターンや性役割・性指向の概念を暗黙に含んでしまいがちであるため、同性愛と混同するなどの誤解を生じやすい。より正確には「性自認と身体の性が食い違った状態」と呼ぶべきである。人間は、自分の性が何であるかを認識している。男性なら男性、女性なら女性として多くの場合は確信している。その確信のことを性自認と呼ぶ。通常は身体の性と完全に一致しているが、半陰陽 (intersexual) のケースなどを研究する中で、この確信は身体的な性別や遺伝子的な性別とは別個に考えるべきであると言うことが判明してきた。

そしてまた、ジェンダーパターン、性役割・性指向のいずれからも独立していることが観察される。

詳細は性自認の記事を参照。性自認の概念をもって改めて人類を観察してみると、半陰陽とは異なり生物学的概念としての男女のいずれかの身体形状に(少なくとも脳の構造を除いて*)正常に属す身体をもっているにも関わらず、性自認がそれと食い違っているとしか考えられない症例が発見され、その状態は性同一性障害と名付けられた。

* 性同一性障害者の脳の形状や微細な構造等が、非=性同一性障害者(いわゆる健常者)のそれと異なるか否か、また仮にその差異が存在するとしてその差異が先天的か後天的か、については現在のところ論争中である。 ただし、死者の脳の解剖から、両者間での脳内の特定部位の形状の差異が報告された例は複数存在する。
後天的要因が元となり、例えば性的虐待の結果として自己の性を否認する例は存在する。また、専ら職業的・社会的利得を得るため・逆に不利益を逃れるために反対の性に近づくケースもある。

しかしながら、このようなケースは性同一性障害とは呼ばない。一般には、性同一性障害者は何か性に関する辛い出来事から自己の性を否認しているわけではなく、妄想症状の一形態としてそのような主張をしているわけでもなく、利得を求めての詐称でもなく、(代表的な症例では出生時から)自己の性別に違和感を抱き続けているのである。

なお現在、性的虐待と性自認の揺らぎの相関に否定的な考え方も出てきている。というのは、「性に関する何かの辛いできごと」があっても、実際には性自認が揺らいでいる人は決して多くはなく、性同一性障害当事者の多くは「性に関する何かの辛いできごと」がまったくなかったと認識していることが圧倒的に多いからだ。現在、「性別違和を持った当事者が、何らかの性的虐待を受けた」という考え方に変更されてきている。フェミニズムカウンセリングの場では、この考え方が支持されている。

性同一性障害においても性自認は男性と女性を基本とされている。しかし実際の診療の場では、性自認が中性や無性、それ以外の者も存在する。ただし、現在の社会で中性として生きることは絶えず他者の「男性か?女性か?」という目にさらされることになるため、男性もしくは女性としての性役割を演じることとなる。また、無性としての肉体や性役割は想定が難しく、対応が難しいのが実情である。性同一性障害者も一般の男女と同じく、「自分の心理的性別に相応しい服装を好み」(非・異性装)、「自分の心理的性別と反対の性を恋愛対象とする」(異性愛)ケースが多い。そのため、身体的性別を基準にして観察すると「異性装を好み」「同性を恋愛対象とする」ように見える。

しかしながら、性同一性障害者の中にも一般の男女と同じく異性装者や同性愛者が存在するので、必ずしも上記の限りではない。

混同されがちであるが、性同一性障害と同性愛や異性装とは、それ自体は全く独立した別個の現象である。

性同一性障害に関連する重要な用語を挙げる

MtF
Male to Femaleの略。身体的には男性であるが性自認が女性であるケースをMtF-GIDと呼ぶ。
FtM
Female to Maleの略。身体的には女性であるが性自認が男性であるケースをFtM-GIDと呼ぶ。
性別適合手術(性別再判定手術)
Sex Reassignment Surgery(SRS)、または、Gender Reassignment Surgery(GRS)の訳語であり、性別再割当手術とも訳される。性自認に合わせて、外科的手法により外性器などの形態を変更することを意味する。一般的には性転換手術(sex-change operation)と言われているが、下等動物にみられるように、反対性の生殖能力を持つことはできないので、日本精神神経学会の正式訳語としては「性別適合手術」を用いるようになっている。
性転換症
Transsexualismの訳語。 性同一性障害のうち、特に身体的性別に対する違和感・嫌悪感が強く性別適合手術までを望む症例を指す。
リアルライフ・エクスペリエンス (RLE)
実際に望む性別として社会的に生活してみること。24時間継続的に行う場合をフルタイムRLEと言い、何らかの事情でそれができない場合に生活時間の一部をRLEにあてる場合をパートタイムRLEと言う。過去にはリアルライフ・テストと呼ばれた。
ガイドライン
日本精神神経学会「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン」。日本国内における性同一性障害の診療の基準として参照されている文書である。ブルーボーイ事件を踏まえて策定されており、この文書に従った医療的処置は母体保護法に抵触しないものとみなされている。(ただし、具体的にそれを示す判例は存在しない)
性同一性障害者のジェンダーのあり方は様々である。

一般に身体的性別に応じて躾られるので、その性に応じたジェンダーを身につける部分もある。
一般の男女と同じく生活の中で見聞きする男女のジェンダーパターンを、意識的・無意識的に学習する部分もあるが、その場合、自分の性自認に応じたものを取り入れる部分もある。
先天的に定まっている性自認はそれだけでは不安定であり、それを維持するには性自認に合った身体的・社会的経験が必要となる。性同一性障害者の場合その機会は限られているので、過剰に社会的・文化的な性差に拘り、性自認に応じた行動様式を取ろうとする場合もある。
逆に、社会適応を容易にするために性自認とそれに伴う性の意識を押さえ込み、過剰に身体の性に適合した行動様式を取ろうとする場合もある。
これらの間の、無数のパターンがあり得る。

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