欧州評議会議員総会がロシアを非難

チェチェンの男性、サンタクロースの衣装を纏う - チェチェン

【グロズヌイ/チェチェン】ロシア軍は、ロシア政府主導の紛争の「政治的安定」を目指す努力にも拘らず、チェチェン(Chechnya)での分離過激派との止まないゲリラ戦で引き続き日々犠牲者を出している。写真はチェチェンの首都グロズヌイ(Grozny)で20日、子供たちに囲まれたロシア版サンタクロース(Santa Claus)、「霜爺(しもじじい)」(Father Frost)の衣装を纏ったチェチェン人男性。(c)AFP/HASAN KAZIEV

AFPBB News


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<写真:チェチェン共和国サマーシキ村近郊に展開したロシア軍特殊部隊。撮影後11日目、特殊部隊は村民約300人を虐殺した。1995年3月 撮影 林克明>


<人間が消えている>
ロシア連邦チェチェン共和国の首都グローズヌイ。イスラム教が主要宗教の地域で、特大のクリスマスツリーが街頭に飾られ、サンタクロースが町の中心を闊歩している。実に象徴的で皮肉な光景だ。ロシア(ロシア正教会)がイスラム教のチェチェンを占領するシンボル的存在である。しかし、それだけではない。「チェチェン人のいないチェチェン」の象徴という意味でもあるのだ。

<100万人の国で20万人が死亡>
ロシアからの独立を求めるチェチェン共和国にロシア軍が侵攻してから11年が過ぎた。主としてロシア軍の攻撃により、戦争勃発直前の推定人口100万人強のチェチェンで、約20万人が犠牲になっている(04年12月時点)。2000年2月にロシア軍がチェチェン全土を占領し、現在に至っている。この数字は、空爆や市街戦、あるいはロシア当局のいう「掃討作戦」によって殺された市民に加え、ロシア占領軍や治安警察に連行されて行方不明になっている人びと(ヒューマンライツ・ウォッチモスクワ支部によれば2000年~2004年末までに約1万8000人)によって占められている。つまり、地上から人間が、どんどん消えているのだ。

<見て見ぬふりの国際社会>
人間が地上から抹殺されている実情は、今後少しずつ報告するとして、これだけの大規模な少数民族弾圧を国際社会は手をこまねいて、ほとんど何もしてこなかった。かつては欧州諸国やアメリカは、ロシア軍・治安部隊による人権侵害を一応は批判していた。ところが2001年9月11日のアメリカ各地で起きたテロ事件以降、その批判のトーンが極端に落ちていたのである。テロ事件直後、ロシアのプーチン大統領はアメリカに接近し、「ともに戦おう」と「反テロ戦争」での共闘を呼びかけた。アフガニスタンやイラクを攻撃したかったアメリカの主張も、チェチェンを攻撃するロシアの主張も、ともに「反テロ」である。お互いに力強い味方と感じたのであろう。この動きに欧州諸国や日本も加わり、事実上の「反テロ仲良しクラブ」が結成され、チェチェン、イラク、アフガニスタン、パレスチナの各地で軍事作戦が実施された。その結果、逆にテロが横行するようになってしまった。とくにチェチェン絡みで、それははっきりしている。

<欧州評議会議員総会がロシアを非難>
こうした中で1月25日、欧州議会は、チェチェンでの大規模な人権侵害を続けるロシアを非難する決議案を採択した。アメリカ政府系のラジオ「ラジオ・リバティ」の報道では、欧州評議会議員総会が「ロシア治安部隊によるすさまじい蛮行と数え切れぬほどの人権侵害や犯罪が野放しになっている」と非難している。この決議に付された67ページの報告書によれば、「殺人・誘拐・拷問・人質・拘留には全く際限がなく」、「こうした権力の濫用は(チェチェンばかりか)北コーカサスの他の地域にも及んでいる」という。

<ロシア連邦は無法地帯?>
さらに同報告書は、権力の濫用がチェチェンから周辺地域に拡大していることに関して、「ロシア連邦全土の法の支配を脅かしている」と指摘。言葉はていねいだが、平たく言えば、ロシアは無法地帯になりかけているということである。その無法地帯と化したロシアとチェチェンで何が実際に起きているのか。報道されるテロの裏側には何があるのか。チェチェン人とはどんな人たちで、何を考えているのか。日本とは全く関係ないのか・・・。そんなことを、これから伝えて行きたい。

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登録日:2006年 02月 04日 17:39:08

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プロフィール
林 克明
(男)
チェチェン総合情報
平成暗黒日記
■ジャーナリスト
■16回チェチェン入り。露店のおばちゃんから指名手配のゲリラ司令官、大統領まで知人 多数。チェチェンを入り口に、ロシア・世界・日本・政治・文化から人間の未来まで縦横無 尽に語る。
■著書「チェチェンで何が起こっているのか」(大富亮氏と共著)など
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