自民大敗と日本とロシアのマスコミ
【7月30日 AFP】安倍晋三(Shinzo Abe)首相は29日、参議院選挙後も政権を担っていくとの意向を示した。
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(c)AFP
予想通り参院選では自民党が大敗し、いまのところ自民党の弱体化が進んでいる。それにしても小泉・安倍政権を全面的に支持し国民・士民に敵対してきた日本のマスコミの人たちは今なにを考えているんだろう。そう思ったときに「ロシアン・ダイアリー」(NHK出版、アンナ・ポリトコフスカヤ著)の一節を思い出した。
◇マスメディアの統制と自己検閲はとどまることをしらない
「ロシアン・ダイアリー」の著者、アンナ・ポリトコフスカヤは、チェチェン戦争などを取材し、プーチン政権を厳しく批判していて06年10月7日に暗殺された人物だ。その取材手帳のような本である。そこに次のようなカ所がある。
『今や自己検閲は、沈没しないで泳ぎつづけるためには何を言うべきか、何を言ってはいけないかを判断する能力となった。目的は高い給料、ほかでもなく高給をもらうことだ。職にありつけるか否かではなく、とんでもない高給にありつくか、薄給に甘んずるかの選択なのだ。ジャーナリストなら誰でもインターネット出版に転じれば、かなり自由にものを言える。また自分の考えを比較的自由に述べられる新聞社もまだ二社ほどあるにはある。しかし、自由のあるところには、低額で不安定な給料が待っている。トップレベルを行くのはクレムリンべったりのマスメディアだ。』
もうひとつ思い出した。チェチェンとロシアの真実を追究していたポリトコフスカヤがチェチェンを取材するときの取材費は、1回200米ドルだったと別のジャーナリスから聞いたことがある。日数にもよるが、現地の物価を考えれば笑ってしまいたくなるような低額だ。
そして上に引用した内容は、まったく日本と同じではないか。
◇日本が変革されると大マスコミの社員は困る
ここ十数年、日本のマスコミは大きく変わってきた。ここで言うマスコミとは主に大新聞とテレビ局のことである。まず、細川政権のときに下野した自民党がマスコミへの圧力を強化した。いまでも放送法改悪などをたくらんでいる。
これ以降、マスコミは負け続け、小泉政権誕生の2001年以降は、まったくジャーナリズムとしての機能を失った。政権の宣伝機関と化したからである。同時に、国民・士民のための真の利益など考えることもなく、ひたすら政府与党のPR会社としての役割を果たしてきた。
たったいま私は、マスコミが「負け続けてきた」と書いた。だが、そもそも「負けた」と認識する大手新聞社幹部・中堅幹部およびテレビ局社員はどれだけいるだろうか。全然、そんな自覚はないのではないか。
◇お金持ちのマスコミ人と小泉・安倍おぼっちゃまとは同レベル
自覚がなぜないか。大手マスコミは、純ちゃんや安倍ちゃんと自分たちが同列だと思っているからだ。お友達だと思っているからである。それだから、市場原理主義、官から民へ、規制緩和などを礼賛してきた。
自民党の二世・三世議員と同じく、大手マスコミの人たちも似たような人が多い。つまり出身階層が純ちゃんや安倍ちゃんに近い人がけっこう多いのだ(もちろん、例外はいます)。ほんとうに庶民感覚がないなあ、と感じることが何度もあった。とても困っている人のことに想像力が及ばない。
27歳で年収1200万円で経費使い放題の大手出版社社員、年収1800万円のテレビディレクター、2000万円超の社員もかなりいる。給料以外に取材費や福利厚生などいろいろな特典がある。社員でなくてもキャスターなどは、破格の待遇だ。常連コメンテーターの御用学者もおなじ。
まさか、貧乏人にも日の光を当てる政治改革が起きれば、マスコミを含む支配層にとっては脅威になるから自民党やその政策を宣伝してきたのではないだろうが・・・。
◇エリート教育の不在は怖い
しかしよく考えてみれば、自国の暗部を批判して非業の死をとげたロシアのアンナ・ポリトコフスカヤも外交官の家庭に生まれ、最高学府を出たエリートである。(ただ、日本のマスコミの人たちにくらべれば貧乏)。
また欧米のジャーナリストも平均給与より高い給料をもらっているし、高学歴で出身階層も高いエリートが多い。しかし、日本のジャーナリズムのより健全だと思う。その違いはどこからくるのか。
ひとつは、エリート教育の有無かもしれない。もちろん様々な原因はあるだろうが、これは見逃せないと思う。
ジャーナリストだろうが、政治家だろうが、人々に与える影響は大きい。極端に言えば、戦争になったら庶民を死なせずに自分たちが死ぬのがエリートだ。あるいは、戦争の危機に直面して反戦の論陣をはったり、戦争回避のために全力をつくし一般人を守るのがエリートだろう。
戦意高揚を前にして反戦を唱えれば、国家権力と一般庶民の両方から挟み撃ちの袋叩きにあうだろう。
とにかく、試練をくぐり抜けたことのないエリートの存在ほど恐ろしいものはない。その典型が安倍普三とその閣僚たちである。
◇小泉構造改悪と小泉・安倍の軍国化路線を支持
象徴的なのは、05年9月の郵政詐欺総選挙の前後だった。朝日新聞も産経新聞も小泉「構造改革」を支持していたのがその証拠だ。朝日と産経がおなじなのだから、国会だけでなくマスコミも翼賛体制だった。
あらためて言うまでもないが、小泉構造改悪とは、アメリカの命令にしたがって日本の制度をアメリカ好みに変えることである。毎年アメリカから出される命令書(年次改革報告書)を実行してきたにすぎない。
こうして庶民いじめの進行と同時に、イラクへの自衛隊派兵、米軍再編(アメリカ軍と自衛隊の一体化)、大幅な自衛隊制服組(軍人)の権限拡大などを実行してきたが、テレビ局と読売新聞や産経新聞がそれに荷担した。やや距離をとる朝日や毎日も有効な批判はなかった。
◇「やばい!」と彼らは思ったのではないか。
しかし、安倍政権に変わってしばらくしてから、小泉時代ほどの提灯記事や提灯番組は減ってきている。なかには批判的なものも出始めてきた。一般庶民のなかでは、小泉・安倍路線への反発はとっくの昔からおきていた。そもそも自民・公明が圧勝した05年の総選挙にしてもちょうと50%の有権者が反対票を投じていた。
ところが庶民の怒りを肌で感じることのない大新聞とテレビは、一方的に政権にすり寄って、頭の中身は自民党政治かとほとんど変わりないことをしてきたのだ。つまり、永田町&マスコミ連合軍と一般庶民からなる士民連合軍の感覚は全くずれているのである。
しかし、あまりにも”一般ピープル”の怒りのすごさを、さすがにマスコミも感じ、いままでのように政府自民党べったりだと、いつか読者や視聴者に大反撃をくらうのではないか「やばい!」とでも思ったのだろうか。
そうだったら今後ジャーナリズム変革の芽はあるが、ただなんとなく、だったかもしれない。いずれにせよ、民主党が勝ったからと言って政治情勢は楽観できないし、ジャーナリズムの変革への過大な期待は禁物だ。
希望はあるにはあるが、あまり楽観的なことばかりも言っていられない。「ロシアン・ダイアリー」の締めくくりの言葉を紹介しよう。
『「楽観的な予測」を喜ぶことができる人がいるなら、そうすればいい。そのほうが楽だから。でもそれは自分の孫への死刑宣告になる』
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チェチェンの入門書
「チェチェンで何が起こっているのか」(高文研 大富亮・林克明共著)
http://www.koubunken.co.jp/0325/0320.html
カテゴリー[ 日本 ], コメント[1], トラックバック[0]
登録日:2007年 08月 07日 18:23:45
コメント
AMLを読んでいたら、参院選自民惨敗の翌日、全国紙の社長クラスが読売も朝日も、大手町のレストランで安倍首相と昼食会をしていたそうです。こらあかんわ。
http://list.jca.apc.org/public/aml/2007-August/014655.html
http://list.jca.apc.org/public/aml/2007-August/014671.html
http://list.jca.apc.org/public/aml/2007-August/014675.html
富井 @ 2007年 08月 07日 22:49:44
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