ロシアにはテロが必要なのか?

ロシアで列車脱線し約60人が負傷、爆発物による可能性

【8月14日 AFP】モスクワ発サンクトペテルブルク(Saint Petersburg)行きの旅客列車が13日、ノブゴロド(Novgorod)州で脱線、約60人が負傷した。
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(c)AFP

AFPBB News


 ロシアの鉄道が脱線事故を起こし、テロの可能性も指摘されている。ロシアでは、政治的なイベントを間近に控えると、必ずといっていいほどテロリズムが発生する。それは、ロシアという国家あるいはロシア政権が、それを必要としているからではないのか。

■12月下院選挙、来年4月大統領選挙

 今回の列車事故は、テロなのか事故なのか、まだ詳細は分かっていない。が、調査が進んでロシア当局が「テロだ」と正式発表した場合、次のようなことを考えxざるを得ない。

 12月に控えた下院議員選挙で与党=統一ロシアを圧勝させなければならない。また、来年08年4月の大統領選挙で、プーチン大統領の後継者を当選させなければならない。これがロシア権力が考えていることだ。

 そのためには、テロ事件が起こり、大衆が不安に陥る。そして「テロと戦う」と宣言する大統領や政府与党に圧倒的な支持が集まるようにしなければならない。危機を煽り、政権を強化するという古今東西どこでも行なわれてきたことを、この間のロシアは確実に実行してきた。

■前回選挙の不正と暗殺

 前回の大統領選(2004年4月)のときもそうだった。まず野党系の重要な立候補予定者であったイワン・ルィプキンが同年2月に突然失踪した。その時点では、プーチン大統領にとって最大の大統領選ライバルだった。
 
 そして数日後、ルィプキンはウクライナの首都キエフで突然見つかった。「誰に拘束されたのか」という質問に彼は答えなかった。

 そしてこの月に、モスクワの地下鉄で爆弾テロが起こり、大量の死傷者が出た。捜査もしていない段階でプーチン大統領は、「チェチェン独立派のマスハードフ(大統領)の仕業」と発表し、チェチェン攻撃を強化して国民の支持を得た。

 同時に地下鉄爆弾テロの二日後、中東のカタールに亡命していたヤンダルビーエフ元チェチェン独立派大統領代行が、ロシア軍諜報機関2名により爆殺された。犯人二人は逮捕された。

 もちろん、選挙には圧勝し、プーチン氏は二期目の大統領の椅子に座った。

■最大の謀略テロはアパート連続爆弾テロ

 なんといっても政治目的を達成するためのテロは、1999年8月から9月にかけて起きたアパート連続爆弾テロ事件だろう。300人の住民hが殺されたのである。

 同年8月にプーチン氏は首相に就任。実質的に権力を奪取したばかりだった。これらの一連のテロは、ロシア当局の自作自演というのが今や世界の常識になりつつある。このときの「政治目的」とは、第二次チェチェン戦争の開戦である。例によって捜査開始どころか現場から犠牲者救出も終わらないうちに、爆弾テロはチェチェン独立派の犯行と断定し、戦争を開始した。

 やはり、プーチン政権にとってテロリズムは必要不可欠なのである。テロの発生→社会不安と混乱→大衆の政権支持というパターンがいつまでつづくのだろうか。

 ロシア国民に学習能力があるか否かが問われている。

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登録日:2007年 08月 20日 11:47:29

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プロフィール
林 克明
(男)
チェチェン総合情報
平成暗黒日記
■ジャーナリスト
■16回チェチェン入り。露店のおばちゃんから指名手配のゲリラ司令官、大統領まで知人 多数。チェチェンを入り口に、ロシア・世界・日本・政治・文化から人間の未来まで縦横無 尽に語る。
■著書「チェチェンで何が起こっているのか」(大富亮氏と共著)など
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