技術革新と資源ナショナリズム

松下電器、103インチ・プラズマテレビを発表 - 千葉

【千葉 3日 AFP】松下電器は3日、幕張メッセで開催中のIT&エレクトロニクス国際展示会「シーテック・ジャパン(CEATEC Japan)」で、103インチのプラズマテレビを発表した。写真は、同社ブーに展示された103インチプラズマテレビ。(c)AFP/TOSHIFUMI KITAMURA

AFPBB News


ついに『103インチのテレビ』が登場した。
もちろん、ディスプレイの大きさは世界最大だ。
30数インチくらいまでなら、だいたいの大きさは想像がつく。
しかし、103インチとなると、どれくらい大きいかなど、まったくピンとこない…。

これはクセなのだが、標準値からあまりにもかけ離れた数字を示された場合、とりあえず自分の身近にあるもの○個分、と計算してしまう。
『Hikki式』測定法に従うと、103インチのテレビは現在我が家にある11年前に買った14インチのテレビの約10倍。
だいたいなのだが、幅は押し入れのふすま、約一軒半、高さはミニチュアダックスのオスを2本足で立たせたとき、約1.5匹分に相当する。
残念ながら、大画面で観る堤真一が、どれくらいセクシーに映るのかまでは想像できない……・。

この103インチ、プラズマテレビを正確な数字で表現すると、対角261cm、表示領域は幅277×高さ127.7cm。
表示解像度1920×1080ドット、コントラスト3000:1、2048段階のグラデーション表現が可能だという。



●ザ・ハイテク「日本」

一方、ここ数年でさらに注目度を浴びているのが液晶テレビ。
世界最大の液晶テレビは、ソニー製の82インチのもの。
松下電気の「103インチ」の後に「82インチ」と聞けば驚きも少ないだろうが、液晶画面でこの大きさのテレビを製造する技術は、実は、日本にしかない特別な技術だという。
日本の技術レベルはとにかくスゴイ。
海外でも日本製は値が高い。
それに対するユーザー側の文句もない。
「良い物を買いたかったら日本製」と、日本国内より日本の製品は高く評価され、受け入れられているからだ。
さすがは我が国、日本!

しかし、自国のハイテクを喜んでばかりはいられないのだ。
少し前は「液晶=うわぁ、スゴイ!」という感じだったが、現在は「液晶=あたりまえ」。この液晶を作るには、希少金属(レアメタル)である「インジウム」という鉱物が必要不可欠。
そして、資源のない日本ではこのインジウムを主に、中国から輸入している。
世界でのシェアも最大。
それがまずいのだ……。



●技術、資源、どっち?

資源国の寡占化や世界中でのハイテクブームでレアメタルの価格は高騰、しかも中国の急速な経済成長に伴い中国国内でのインジウムの需要は高まる傾向にあり、世界で最も消費量の多い日本にとって、将来的なレアメタルの供給が危ぶまれる。
資源はないが高い技術開発で産業を盛り上げてきた日本だが、素材の供給が経るということは、自国の産業が衰退することにつながる。
もちろん、憂慮している鉱物はインジウムだけではない。
MRIなどの医療機器から自動車、さらにはロボットまで、日本が得意とする分野にはすべてレアメタルの存在が必須である。

中央アジアや中東などの発展途上国には、たくさんの資源が眠っている。
しかし、世界第2の経済大国日本には、すばらしい技術はあっても、それに必要な資源がない。
金を掘り出す金はあっても、金の存在自体がないのだ。
銅を抽出する技術はあっても、土の中には銅はないのだ。
つまり、多くの資源を輸入に依存している、いや、“せざるをえない”日本は、高い技術があっても、ハイテク産業は常に、第3国家からの影響を大きく受けることになるのだ。

将来的このような状況になることを憂慮して、現在では国をあげたさまざまな対策が講じられている。
果たして、どれほどの効果が上がるのかはわからないが、それでも国内の基盤をしっかり固めていこうという動きは、20世紀のバブルなスタイルに比べると、大きな進歩といえるのではないだろうか。
「あたりまえ」「国際社会への体裁」「遅すぎる」など、意地悪な見方をすればきりがないが、それでも、他国に頼らず自国内でなんとかしようという風潮にあるのは、日本人として誇らしいことではないかと思う。

世界最大のテレビや高性能の自動車を製造する技術もすごいだろう。
しかし、爆弾を落として国を侵略し、資源を確保してしまおうとするどっかの国とは違い、華やかな部分に相反する内面的な要素も地道に強化していこうという姿は、なんとも日本らしいではないか。

これまで西側資本主義国家にいろいろいと振り回されてきたが、ようやく自国の進むべき姿を見つけた、そんな日本を、最近ちょっとだけ好きになってきた。

コメント[6], トラックバック[0]
登録日:2006年 10月 07日 15:23:58

コメント

身近なモノとの比較と言えば、
昨日行った東京競馬場で、
ギネスに載ったという巨大ターフビジョンに
映し出された文字を見て、
本の編集をやっている友だちが
「うわ!でかっ!この字“30万級”ぐらいある」
と言ってて、かなり笑えました。

くぼ@赤ウサギ @ 2006年 10月 09日 11:47:43

【国をあげたさまざま対策】を取ったときに、民間企業・国民もついてくるあたりが、中東あたりではものすごい不思議(不気味?)に思えるようです。

中東三昧 @ 2006年 10月 09日 16:03:14

大きけりゃいいのか?
そんな大きな画面、かけるだけの壁の余白(笑)のある家がどれだけあるのだ!?

すずか @ 2006年 10月 09日 20:44:39

>くぼ様
ギネスに載るって……。
なんか、ビジネスというより、チャレンジ精神の方が旺盛なんでしょうか?
そんな余裕あったっけ?


>中東三昧様
そうなんです。
日本人は特に「ナショナリスト」の傾向にあるとは、決して言えないのですが、官民一体となると、かなり強いんですね、これが。
で、また、官民一体となれちゃうのも、きっと、特別な宗教を持たない国民だからこそできちゃうんじゃないでしょうかね。
要は、富と地位と名声ですよ、目指すモノは。
それが決して悪いとかいうことではなく、まぁ、資本主義のあるべき姿なのではないでしょうか。


>すずか様
たぶん、新庄なら買えちゃいますよ(笑)

藤原Hikki @ 2006年 10月 10日 00:39:45

うちのテレビも14インチです。
購入してから丸10年が経過しましたが、たまに気紛れで電源が落ちる以外
は、故障らしい故障も無く元気です。
(最初、電源が突然切れた時は、心霊現象かと肝を冷やしました。今はもう
慣れました)
おそらく、アナログ放送廃止までは、現役を務める事になると思われます。

東京競馬場のターフビジョンは、いかにもJRAらしい代物ですね。
そう言えば、「折角競馬場に来ているのに、ライヴのレースを観ず、大型画
面だけでレースを観るという行為は、わざわざ運を逃しているようなもの」と
指摘している人が居ました。
馬主でもある、小林祥晃氏……そう、Dr.コパです。
 

高瀬 @ 2006年 10月 10日 14:17:18

>高瀬様
そうですね。
最近ではプロジェクターも安く買えちゃうので、家庭で映画鑑賞も可能であれば、競馬場に双眼鏡なんか持参する必要もないし・・・・・・。
技術が進歩し、どんどん便利になるのはいいのですが、なんか風情がない気がしますよね。
競馬といえば、「ちっこい双眼鏡はポケットに、そして競馬新聞片手に赤鉛筆を耳に挟む」というスタイルが、私個人としては「らしい!」という感じで好きですね。
画面にむかって叫ぶのではなく、馬にむかって奇声を上げるのって、競馬の1つの楽しみじゃないですかぁ。

藤原Hikki @ 2006年 10月 10日 23:35:17

Trackback

この記事に対するトラックバックURL:

カレンダー
< 2006年 10月 >
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31



プロフィール
藤原ヒカル
藤原ヒカル
(女)
カンガルーの国、オーストラリアでジャーナリズムを学び、その後は現地で新聞記者に・・・・・・。業界へのデビューを果たすが、目指すところは”イラク”ではなく、”ミュージックシーン”だったりする。10歳の時にテレビで聖飢魔IIのライブを見て、デーモン閣下に一目惚れ。後にKISSなどの大御所を知って(普通は、逆!)、「話してみたい♪」とミーハー的な理由で英語を猛勉強。HR/HM歴20数年。現在は日本在住。企業や国家の政策などのコアな記事から外国人クリエーター、芸術家たちにインタビューして記事を書くのがお仕事。
最近のコメント
[12/01] 人の好き嫌い まげフ
[11/22] 人の好き嫌い 普通s
[11/14] 人の好き嫌い 吉田
[11/03] 人の好き嫌い きんぶ
[02/21] 人の好き嫌い 中東三昧
[01/16] ちょっとの居眠りがっ!―スカンクの災難 藤原Hikki
[01/15] ちょっとの居眠りがっ!―スカンクの災難 すずか
[01/15] ちょっとの居眠りがっ!―スカンクの災難 高瀬
[01/14] 霊力 藤原Hikki
[01/14] 霊力 ハルコ
カテゴリー
検索