遠野物語を読む

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岩波文庫で柳田國男の東野物語・山の人生読了。

本文の内容もすごいが、桑原武夫の解説もすごい。桑原の解説の手を借りながら、筆者なりに感想を述べる。

一つは、柳田の洗練の極致とも言える文章によって、西洋的な理性から見れば荒唐無稽な話が、事実としての客観性を帯びていることである。方言や昔語りではなく文語体で書くことにより、事実が凝縮されて表現されているように思わされる。見事な文章だ。科学的な証明がなくても何かが「そこにあるとわかる」ように書かれている。

二つ目は、神話のように政治や権力の影響を受けていない、普通の(一般の)人々(柳田の言う常民)の話は、単に人々の心象風景や価値観を表しているだけではなく、そこには話の基になる事実があったのだと思わせる。柳田の説によれば、それは山中深く住む日本原住民と後から入ってきた農耕民族の交流である。それが最近まで(江戸後期から明治初期まで)あったというのだ。

遠野物語で取り上げられている話は大昔の伝説ではなく、ほんの数世代前から親世代にあったことが語り継がれている話や、現に行われている信仰やタブーに関することである。そのころは、例えば座敷わらしは本当にいたのだと思うほうが自然である。

柳田の本職は東京帝大出の官僚であり、貴族院書記官長という高位にのぼって退職している。にもかかわらず日本に民俗学という学問分野を打ち立てたプロフェッショナルだ。昔の人はえらいものだが、それは(現代の官僚にはない)深い教養があるからだろう。

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登録日:2012年 02月 07日 01:15:50

三丁目の冬日

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昭和三十年代、東京都大田区田園調布三丁目(旧表示)に住んでいた筆者がランドセルを背負って通う道。母校である大田区立雪谷調布大塚小学校と我が家の間には、まだ環状八号線は通っていなかった。冬は必ず霜柱が立っていた。ざくざくと音をさせるのがおもしろくて、わざわざ立っているところを踏んで歩いたものだ。昼間になると霜が解けて泥んこ道になった。

最近東京23区で霜柱を見ることはほとんどなくなっていた。しかし今年は見事な霜柱が立っている。昔はこれぐらいの寒さが普通だったのだろうか。

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登録日:2012年 02月 01日 08:36:00

何が何でもNPOには測定可能な成果を

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土曜日は浜松の静岡県西部地域交流プラザパレットで行われた「NPOスキルアップ講座~NPOの組織とマネジメント」の2回目。

この回の講座の内容は、何が何でも自らのNPOの成果を測定可能な指標にしてもらう、ということ。かのドラッカーも非営利組織のマネジメントについて「測定できない成果は成果ではない」と言っている。

「私が言っているんじゃないんですよ。ドラッカー大先生が言っているのですから、皆さん素直に取り組んでください」と言って皆さんにとって一番苦手な事を無理やりやらせるのである。

内容は以下の通り

1.前回の復習(事業の定義)
2.NPOの成果の重要性
3.NPOの成果とは何か
4.自分の組織の成果を定義する
5.成果を測定する方法
6.成果を上げるためのマネジメント
グループワーク及び発表

いくらマネジメントだPDCAサイクルだと言ったところで、成果が測定できなければ絵に描いた餅である。成果が明確だからこそマネジメントが可能になるし、いくら寄付の時代だと言っても、人々は自分のお金で明確な成果が上がるとわかるからこそ寄付をするのである。NPOは成果を上げる能力があることを証明できてはじめて経営資源を集めることができるのだ。

測定可能な成果は基本的にはアウトカム指標だが、アウトプットが直接アウトカムにつながるのであればアウトプット指標でも構わない。例えばポリオの発症をどれだけ抑えられたかはアウトカムだが、ポリオワクチンの投与数というアウトプットでもいい、ということだ。

よく、講座をやってアンケートをとり、受講者の満足度を測る、というのがあるが、受講者の満足度は成果ではない。受講者が講座をきっかけにどれだけ行動変容したかが成果だ。例えば、この講座の成果を知るには、受講者のうち何人が成果を明確にしてマネジメントを改善したか、ということを測定する必要がある。

そして成果と期限を設ける、これが目標だ。そして目標を共有する。そして「自らの成果についてフィードバックを行う」、これがマネジメントだ(と、私ではなくドラッカーが言っている)。

中には趣味のボランティアサークル(例えばボランティアの観光ガイド)の人など「私たちの活動に費用対効果の考えはなじまない」と言いだす人もいる。
それは誤解だ。まず第一に費用対効果と言っているのではない。成果をあげるつもりがあるかどうかということを言っているのだ。成果が上がれば費用は後からついてくる。成果が最大限あがるように、できる限りいくらでも費用をかければよい。
第二に、「もっとやりたいなら成果を求めなさい」ということだ。今のままでよければ自分達の趣味として皆でお金と労力を出し合ってやっていればよい。ただし、成果を求めないなら、人の趣味に税金を出す理由は無いし、寄付する理由もない。「いいことをやっているのだから」というだけでは資源は集まらないのだ。

さて、ワークで皆さんなんとか数値を考えていただいたが、果たしてこの講座の成果はあがったのだろうか。それはこれから測定しなければならない。受講者の皆さん、私にメールくださいね。

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登録日:2012年 01月 29日 16:52:49

今年もゼミの制作発表

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今年もゼミの制作発表の季節がやってきた。

昨年と同じくイベントを企画し、プロのプロデューサーの前でプレゼンテーションをして講評を受ける、というもの。今年は卒業制作の四年生だけでなく、三年生もプレ卒業制作として発表。

講評者には昨年と同じく元広告代理店イベントプロデューサーの神田さんと、新たに元公立文化ホールの事業企画担当者前田さんに来ていただいた。お二人とも筆者と仕事をしてきたお仲間である。お二人には学生に的確かつ温かいご指摘をいただいて本当に感謝している。終了後のお二人を交えた飲み会も学生にはいい刺激になったことだろう。

今年の発表を聞いていて、学生にはもっと三現主義を徹底的に教え込まなければ、と気づいた。三現主義とは現場・現物・現実に立脚して考えることに徹しよう、という意味で元はホンダの社内で言われていたのが、日本のメーカー各社に広まったもの。今回の企画は上滑りのものが多かったということであり、それでは社会では通用しない。

さて、学生たちは大学で何を学ぶのか。「考える力」などは高校までにつけてきてもらいたい。暗記しなければならない基礎知識や読み書き計算の基礎もやってきてほしい。

本学では学生は将来研究者への道を進むことはほとんどなく、大多数は企業に就職する。そこで、筆者は大学で身につけたてほしいことは二つあると考える。

一つは物事の原理原則本質だ。筆者が授業で古典を取りげる事が多いのもそれが理由だ。サンデル教授のようなのとか、教養と言い換えてもいい。古今東西の知恵と知識の蓄積にもとづく、自分で考える上でのベースになるものだ。教養なしで自分で考えろと言っても、それは「下手な考え休むに似たり」だ。

二つ目は論理的に考える方法だ。これは様々な学問を通してその学問だけでなくその方法を身につけることができる。つまり仮説を立て、それを検証し、コンセプトを打ち立てる。さらにそれを検証し、修正する。これは学問の方法であると同時に社会に出た時の仕事のやり方でもある。

基本的には筆者の授業はこの二つをもとに考えているのだが、果たして学生に通じているかどうかはいささか心もとない。何しろ経験年数4年の新米教員なので。

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登録日:2012年 01月 29日 11:23:47

地方公務員の仕事

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秋学期最後の行政経営論の授業は昨年に引き続き横浜市役所の女性係長Oさんをお迎えして1時間半たっぷり話をしていただく。

なぜOさんにお願いするかと言うと、地方公務員の仕事や生活を本音の部分まで含めて話していただけるから。往々にして地方公務員は建前の話しかしないものだが、Oさんは給料や昇進、日ごろの残業や仕事ぶり、生活設計に至るまで根こそぎ話していただけるので、社会経験のない学生にもとてもイメージがわく。

地方公務員が外部で話をする時は、ぜひ本音で話をしてもらいたい。

Oさんの話は具体的な仕事の話に及ぶが、今している老人福祉の仕事、特に虐待や悪徳商法の被害者となる老人をどのようにして守るか、という話はきれいごとではすまないだけに迫力がある。Oさんの真摯な仕事ぶりが伝わり、学生はステレオタイプな公務員のイメージを改めるのである。

Oさんの言う「地方公務員は地道に仕事をして上司や周囲の信頼を得られれば、本当にやりたいことができる」という話はどの仕事にも共通するものがある。Oさんの話に触発されて地方公務員を目指す学生が出るのはほんとうにありがたい。

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登録日:2012年 01月 24日 00:04:00

区民プロデュース企画は民間企業の指定管理者

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神奈川区民文化センターかなっくホールのかなっくアートラボは昨年12月で講座編が終わり、今年から実践編。実践編というのは、講座受講者が実行委員会になり、区民プロデュース企画を企画・制作・運営をする、ということ。企画の実施は11月。私の立場も講師ではなくアドバイザーに切り替わる。

この区民プロデュース企画は指定管理者の民間企業が実施するホールの自主企事業の一環だ。ホールの自主事業としてのホールのミッションの達成と、実施を通した文化創造の担い手としての区民の育成という二重の意味を持つが、これは民間企業の指定管理者が2期目に当たって提案した事業である。

文化の担い手の育成が民間企業にできるのか、という疑問があるが、筆者は民間企業だからこそできるのではないかと考える。それは、この日実施されたキックオフミーティングで配られ、担当者(民間企業社員)から説明された資料に表れている。その一節を引用しよう。

「かなっくホールが施設として与えられたこのミッションを具現化するためのひとつの方策として、私たちは自主事業である「かなっくアートラボ」の実践編として「区民プロデュース企画」を位置付けました。これは、「かなっくホールが単に芸術文化の鑑賞の場に留まるのではなく、ホールと地域が相互に連携して、かつ区民自らが担い手となって文化活動を創造する拠点として活用されるようにとの強い思い」(提案書より)を自主事業の形で表現したものです。

とはいえ、「区民プロデュース企画」を企画・制作、そして運営していただくにあたっては、みなさまにはもはや講座の受講者ではなく、公共施設の一事業担当者の立場に立った判断基準と視点を持って活動に臨んでいただきたいと思っております。
みなさまの手による「区民プロデュース企画」は、かなっくホールの自主事業として市民の税金を投入して実施されるものであり、それはすなわちみなさまが横浜市の文化政策を担うことの他ならないからです。」

応募した市民にこれだけ強く自覚を促す行政担当者がいるだろうか。そして自主事業の原資が市民の税金であることをこれだけ強く意識する直営の公共ホールの職員はいるだろうか?

繰り返すが、この文章は指定管理者の民間企業の社員が書いた文章である。

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登録日:2012年 01月 23日 22:56:55

すごいツーショット

メッシと澤がならんでのツーショットはすごいことだ。澤選手、佐々木監督、おめでとう。

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登録日:2012年 01月 10日 10:29:07

今年初講師はNPOスキルアップ講座~組織のマネジメント

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今年の初講師は静岡県西部地域交流プラザパレットでのNPOスキルアップ講座~組織のマネジメント。2回連続で今日の第1回は「新しい公共」とNPOの人材育成。

内容は以下の通り。

第1部
1.自己紹介
2.「新しい公共」とは
3.寄付税制・NPO法改正の意味
4.「新しい公共」の背景とNPOへの期待
5.求められるNPOの人材
6.人材育成の前提となる組織の理念
7.理念を達成するためのNPOの事業とは何か
第2部
1.ワーク:事業を定義する
2.グループワークの発表

話の流れとしてはおおまかには、

「新しい公共」のもとでNPOに社会的課題を解決し公共を支えることが期待されていて、そのためにはNPOは成果を求める必要があり、成果をあげるためにはマネジメントが必須であり、マネジメントができる(活動に参加する人材ではなく)人材が必要である。

マネジメント人材育成の三つのステップは1.理念・ミッションの共有2.その実現のための事業の定義3.マネジメントへの覚悟。

といった内容。

後半のグループワークは以下のようなワークシートをまず一人で埋め、グループ内で発表し、グループの代表を一人選び、グループごとに全体に発表する(今回は6グループできたので6人が全体発表)。

ワークシート:事業を定義してみる
1.あなたの団体の活動の顧客を定義してみましょう。
(1)サービスを受ける人(対象者)は誰ですか?
(2)間接的な受益者は誰ですか?
(3)共感者・賛同者は誰ですか?(どのような人がどのような立場で?)
2.あなたの団体が提供するサービスを定義してくいださい。
3.サービスの費用負担者は誰ですか?
・サービスを受ける人
・間接的な受益者(委託、補助金、協賛など)
・共感者・賛同者(会費、寄附、助成、ボランティアによる労力提供など)
4.事業を実施するための体制・組織を書いてください。
(マネジメントの役割を果たす人と実施に参加する人)
5.事業を実施する団体の理念・目的を書いてください。

日ごろの活動を見直し、提供者と受益者のいるサービス事業として定義してみる、というのがワークの目的(それが明確になってはじめてマネジメントを考えられる)だが、皆さんワークシートはよく書けていた。

まあ、こういう内容がフィットする人としない人がいるが、全体として講座参加者の満足度は75%くらいだろうか?

次回の講座ではNPOの「成果」について徹底的に考えるつもりだ。

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登録日:2012年 01月 07日 18:10:08

新年の抱負は万物流転

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今年の抱負としては、何があってもこの富士山のごとく泰然自若としていたいものだ。

だいたい、二極対立は物事の本質を覆い隠す。消費税増税か経済成長か、TPP加盟か国内産業保護か、民主党か自民党か、地方分権か霞が関温存か、橋本市長支持か反対か、このような二極対立にはなんの意味もない。
本質は古代ギリシャの哲学者ヘラクレイトスが言うように「万物は流転する」である。つまり変化が本質なのだ。

今年は泰然自若として変化を起こし、あるいは変化を受け入れる年にしたい。富士山の表情は刻一刻と変化し同じ所にとどまることはない。私たちが暮らす社会も同じことだ(ただし生物としての人間は富士山塊のごとくそう簡単には変わらないが気にすることはない)。

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登録日:2012年 01月 06日 23:34:26

お正月に飲むお酒

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あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

朝、お雑煮とおせちに合わせておとそ代わりに開けたのが、秋田県山本郡三種町の桧森酒店オリジナル、「大吟醸生原酒 袋吊り 斗瓶取りおりがらみ 山田錦 四十%精米」というお酒。

ついていた説明書には以下のようにある。

「このお酒は一般に市販されていない当店だけのオリジナル商品です。
白瀑の杜氏さんに今年もお願いし、生まれたての味を、それも贅沢にも袋吊りの雫
を瓶詰めしていただきました。
しぼろたての新鮮な風味とおりの旨さをどうぞご賞味ください。」

大吟醸らしく軽くすっきりした飲み口の中にもしっかりした味とコクのある旨さ感じる。すこし濁っているのがいかにもそれらしい。なお、ラベルは店主の兄の画家、故桧森隆一郎氏の作品とのこと。

元旦の朝からいいお酒を飲んでHAPPYな気分になっている。

今年一年の皆様のご多幸をお祈りいたします。

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登録日:2012年 01月 01日 14:08:13

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プロフィール
Ryuichi Himori
(男)
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団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教授に転職しました。肩書きは日本文化政策学会理事、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事、(社)指定管理者協会理事長などいろいろ。公共経営・行政経営(NPM)、文化政策、アートマネージメント、NPO論などを研究しています。
というような立場を離れて、勝手なことを書かせていただきます。
(なお、mixi Twitter facebookもやってます。)
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