大きなお世話の団塊政策
先日、市の職員4名が研修の一環としてインタビューにみえた。
テーマは「団塊の世代に対する諸施策について」
彼らが持ってきた文書にこうある。
「昭和22年から24年までの3か年に生まれた「団塊の世代」は、全国で約700万人と言われ、2007年から順次60歳の定年を迎え、現役世代を引退することになる。
このため、本格的な高齢社会の到来による様々な社会問題が危惧されており、当市としても、約3万人と言われる、この「団塊の世代」の社会参加の促進等、新たな取組みが求められている。
また、都市の活力の源となる交流人口や定住人口拡大を目指すシティプロモーション事業においても、こうした「団塊の世代」をいかに本市に呼び込むか、そしてどのように定住させるか、といったことが課題となっており、これらの対策について研究する。」
「ほんとに課題か?」というのがこれを読んだ時の率直な感想だ。
私が彼らに話したのは以下の4点。
1.団塊の世代のライフスタイルや価値観は、世代の共通性よりも職業や教育、地域性によって異なり、一概にはくくれない。
女性か男性か、ホワイトカラーか、ブルーカラーか、自営業か、地元出身か否か、
土地・資産を持っているかなどによってまったく違う。むしろ世代以外の要素による共通性の方が大きい。(当たり前。但しライフステージの共通性はあるが)
2.団塊の世代の本当の問題は、今まさに発生している社会問題である。
つまり、まず第一に団塊世代は親の介護問題を抱えている。ふるさとに残した老親が要介護状態になり、進退窮まっている。やっと少しずつ鬼籍に入りつつあるが。
第二に、90年代中ごろから後半の就職氷河期に社会人になった団塊ジュニアは皆パラサイトのフリーターになった。30になってもまだ家にいてバイト生活を送っている息子娘がたくさんいる。
このふたつの問題がはやく片付かなければ、団塊は自分たちのことなどのんきに考え られない。
3.都市の活力は、いかに若い人がたくさん集まるか、にある。最重要活力源である若者 に目を向けずに、老齢化する団塊世代を呼び込もうなど本末転倒だ。団塊世代はあっというまに厄介者の高齢者になる。医療や福祉のお荷物を、わざわざ呼び込むことはない。今のうちから追い出すことを考えた方がいい。
4.団塊世代の社会参加や地域社会デビューなど、大きなお世話だ。やりたければ 勝手にやるだろう。そもそも元気な奥さん方が牛耳る地域社会は居心地のいいものではない。退職団塊世代はそんなところへ行きたいとは思っていない。
自分の居場所は自分で見つけるからほっといてくれ、というのが本音だ。
そんなことより、自分たちの老後の医療や福祉が大変なことになるとわかっている。
それを自分たちで考え、解決しなければならないと思っているのだ。
団塊世代退職者を社会参加させたり田舎暮らしに呼び込んだり、という政策は、団塊世代自身が企画立案しているわけでもなければ、発言しているわけでもない。
まったく大きなお世話でピントがずれているといわざるを得ない。
親の介護をしていてつくづく思うのは、「老後はカネだ」ということだ。
認知症で要介護度3の義父が、人間らしく生きるためには介護保険ではとても足りない。そこそこの財産があるので、ヘルパーでカバーできない分を家政婦で埋めることができるし、高額の入居一時金が必要な介護付有料老人ホームに入ることもできる。
親が片付いたらすぐ自分の番だ。
団塊世代の消費をあおるマーケティングが盛んだが、そんなものに乗せられる余裕はない。退職金目当ての高齢者マーケットはあきらめたほうがいい。
むしろ、団塊世代はこれから新たに起業し、付加価値を生み出して医療福祉の穴を埋めなければならないだろう。
その有力な分野は、新たな社会サービスの創出や、行政の民営化の受け皿づくりだろう、
というのが私の仮説だが、皆さんはどう思われるだろうか?
カテゴリー[ 団塊世代 ], コメント[1], トラックバック[0]
登録日:2006年 08月 16日 16:12:56
コメント
私も団塊世代ですが共感する部分が多いですね。
団塊世代の退職金をあてにしている向きも見受けますが、退職金は一時のもの。
その後は所得がガタ減りになるので、大消費不況が訪れるのではないかと想像しています。
パラサイトについては、今のような賃下げ時代にあってはそれなりの「合理的な」行動のように思います。
カフカ @ 2006年 08月 23日 21:25:29
コメントを追加
Trackback
この記事に対するトラックバックURL:
- プロフィール
- Ryuichi Himori
- (男)
- ryuichi.himori@gmail.com
- 団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教授に転職しました。肩書きは日本文化政策学会理事、行政経営フォーラム副代表、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事などいろいろ。行政経営(NPM)、文化政策、アートマネージメント、NPO論、都市政策などを研究しています。
というような立場を離れて、勝手なことを書かせていただきます。
(なお、mixiもやってます。)
- 最近のエントリー
- [10/14] 季節はめぐる
- [10/09] ストレンジャーズ・イン・ザ・ナイト
- [10/05] 秋学期の授業
- [10/05] 本日のディナー
- [10/04] 何にもしない日
- [10/01] 景気対策?はぁ?
- [09/30] いや~困りましたな
- [09/29] キムタクも・・・
- [09/29] イケアに見る日本社会の成熟3
- [09/25] 改革の方法
- 最近のコメント
- [10/14] 団塊の世代への誤解を解くシリーズ第一弾「学生運動」 革命21事務局
- [10/14] ストレンジャーズ・イン・ザ・ナイト himori
- [10/14] 秋学期の授業 himori
- [10/10] ストレンジャーズ・イン・ザ・ナイト Macchan
- [10/10] 琉球王国復活! 革命21事務局
- [10/10] 秋学期の授業 handa
- [10/09] 改心は本物か? 革命21事務局
- [10/01] 行政の解体と再生 himori
- [10/01] 行政の解体と再生 nebu
- [10/01] 行政の解体と再生 himori
- 最近のトラックバック
- 月別アーカイブ
- 2008年 10月 [6]
- 2008年 09月 [15]
- 2008年 08月 [15]
- 2008年 07月 [14]
- 2008年 06月 [14]
- 2008年 05月 [10]
- 2008年 04月 [13]
- 2008年 03月 [18]
- 2008年 02月 [19]
- 2008年 01月 [19]
- 2007年 12月 [22]
- 2007年 11月 [25]
- 2007年 10月 [18]
- 2007年 09月 [17]
- 2007年 08月 [15]
- 2007年 07月 [18]
- 2007年 06月 [14]
- 2007年 05月 [20]
- 2007年 04月 [12]
- 2007年 03月 [16]
- 2007年 02月 [16]
- 2007年 01月 [18]
- 2006年 12月 [16]
- 2006年 11月 [16]
- 2006年 10月 [16]
- 2006年 09月 [23]
- 2006年 08月 [19]
- お気に入りリンク
- 検索