腹をくくって公共のために生きる

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以前に書いたように筆者は「団塊世代の生き方」のたぐいの講演は引き受けないようにしているのだが、今回は地元のNPOと社会福祉協議会のたっての依頼で「定年後の豊かな人生づくりと楽しみ方」と題するフォーラムの基調講演とパネラーを引き受けた。

基調講演の題は「腹をくくって公共のために生きる」とした。筆者は同世代を相手にするとどうしても辛口になってしまう。それは自分も含めて今の社会の在り様に世代としての責任を感じるからだ。だから、これからは自分中心ではなく世のため人のために一肌脱いでもらおう、というのを話の趣旨にする。

最初に話したのが、主催者のテーマへの疑問。①団塊の世代は定年のある職業ばかりではなく、定年のない職業、自営業者、職人などもたくさんいますよ。定年のある人だけ相手にしていいんですか?②人口の半分は女性ですよ。女性の定年はどう考えるのですか?だんなさんに定年があっても主婦にはないんですか?

そんな前置きをした上で、話した項目は以下の通り。

1. はじめに~長めの自己紹介

・なぜ会社員から大学の先生になったのか?
・40代後半の企業人としての自己認識からスタート
・決めたのは専門家になる、社会貢献をする、の二つ
・あとは「わらしべ長者」のようにいろいろな出会いを経て現在に至る


2. 団塊の世代の実像

・世間のステレオタイプのイメージに惑わされない
・世代の共通性より性別、職業、教育、地域性、資産などによる相違の方が大きい
・親の介護、子どものパラサイト、そして自分の老後など新たな社会的課題に向きあわなければならない世代

3. 定年後の2つの生き方モデル

・私の二人の先輩の定年後の生き方

・仕事に生きるMさん
 悠々自適畑と庭仕事に生きるといいながら2カ月ももたずに飽き、頼まれて小さな会社の 社長をやる

・趣味に生きるNさん
 親の介護を抱えながらも、自分の手で家を造るという壮大な趣味に生きる

・どちらも素晴らしい。でも私が提案するのは「公共のために生きる」

4. 腹をくくって公共のために生きる

・こんな世の中に誰がした
 平成22年度国家予算の解説→国にも自治体にももうお金はない
 でも高齢化、生産年齢人口の低下で解決すべき社会的課題は増える
 こんな世の中にした私たち。お任せ民主主義、過剰な要求が招いた行政の肥大化
 本来はお互い助け合って自分達でできることは自分達でやるのが民主主義

・マネジメントの出番
 ドラッカー「自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献する。
 マネジメントには、自らの組織が社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題の解 決に貢献する役割がある」

・公共の課題解決にマネジメントの出番=企業でマネジメントの訓練を受けた人材の出番

・公共のために生きる
 公共サービスを供給する企業・団体で働く(指定管理者・市場化テストなど)
 社会的起業
 コミュニティビジネスに携わる
 その他→選挙に出る(給与所得者収入捕捉率100%の人が納税者代表として出るべき)

・公共のために生きるコツ
 収入+責任、かっこつけない、能書き垂れない、頭より体を動かす・行動力が大切、文献 よりヒアリング・100人から話を」聞け、自分の経験から得た知識はそのままでは役に立  たない。ロンダリングして普遍化せよ

5. 大学院で知識のロンダリング

・生涯にわたる学び~知識・経験の普遍化

・大学院で学ぶということ

6. おわりに

・これから新たな社会を築くための(高齢者の入り口に立つ)私たちの挑戦が始まる。

以上で第一部基調講演終わり。

第二部は熟年いきいき会代表田口誠弘さんの司会でNPO法人東京どんぐり自然学校理事長山田眞久さん、NPO法人Mystyle@こだいら代表理事竹内千寿恵さんと私によるパネルディスカッション。

みなさん実践活動家なので話がおもしろい。田口さんと山田さんは大手企業OB、竹内さんは専業主婦からの起業。

会場からの質問「企業で品質管理をやっていてもうすぐ定年。自分の技術を地元の中小企業のために生かしたいが、どこへどうアクセスすればよいか?ボランティアでよいのだが」

山田さんの回答「自分ひとりでなく、地域で仲間を見つける。それから、自分も最初は同じように考えたが間違っていた。まず地域のニーズありきだ」
竹内さんの回答「まず情報発信。自分ができることを知ってもらう」
私の回答「あなたの技術はそのままでは役に立たない。地域のニーズを知りその上で自分がどう役に立つかを考える」
田口さんのアドバイス「教えてやるというスタンスを変えること。一度自分をゼロにする。そこからスタート」

一番最後の私の一言。「自分の知識や趣味を生かしたい、と考えない。地域にはどのような課題があるか。自分はどのような課題を解決したいかをまず考える。その上で、自分がそれにどのように役に立てるかを考える。順番を間違えてはいけない」田口さん、山田さん、竹内さんからも同じような趣旨の発言。

少しは、様々な動機を持って来場した皆さんのお役に立つことができただろうか。

カテゴリー[ 団塊世代 ], コメント[2], トラックバック[0]
登録日:2010年 03月 06日 22:31:30

コメント

相変わらず、いやますます精力的に活動してますね。感心です。
地元や関わりのある公共機関からの依頼とはいえ、Himorinよく「定年後の豊かな人生づくりと楽しみ方」のフォーラムを引き受けましたね。(ちょっと皮肉)
まあ、基調講演だから世の中の傾向を分析して、自分なりの結論(問題提起)を出さなければならない辛い?立場もあったでしょう。

責任のない生き方に徹している私としては、世の中の大半の定年後の生活者はもっと気楽に変幻自在の生き方をしているのではないかと想像します。
食事作りや身の回りの事全般のDIYから娯楽・趣味、介護や地域交流貢献に至るまで、周囲を見渡してもその時の事情によりそれぞれに配分している時間は変化していきます。

そういう意味で子育てや家族の面倒見の労力変化に合わせて、定年のない女性たちの方が上手に「豊かな人生づくりと楽しみ方」を実践していると痛感していますよ。

Macchan @ 2010年 03月 09日 11:01:10

Macchanさん、コメントいただけると思ってました!話の中でもステレオタイプではなく実際は皆さん多様ですよ、という話をしていますが、主催者が主催者だけに、地域社会のために何かしたい、という人たちが主な聴衆なのでその方々のご期待に沿った話をしたのですが、さてどうだったか。女性の方が上手というのはうちの奥さんなんか見ていてもその通りだと思います。今回も85人のうち20人くらいが女性でしたがすでにボランティアなどいろいろやっている方が多いようでした。

himori @ 2010年 03月 09日 23:50:47

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Ryuichi Himori
(男)
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団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教授に転職しました。肩書きは日本文化政策学会理事、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事、(社)指定管理者協会理事長などいろいろ。公共経営・行政経営(NPM)、文化政策、アートマネージメント、NPO論などを研究しています。
というような立場を離れて、勝手なことを書かせていただきます。
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