フリーターが増えたのは誰のせい?その2

先日、ある会議で東京大学社会科学研究所の本田由紀先生のお話しを聞く機会があった。弊社の事例は先生のかねてからの主張を裏付けていると思う。
しかしいまさら大企業に正規雇用を増やせといってもはじまらない。
グローバルな競争は企業の間だけでなく、人材の間にも起きてしまっているのだから。

では、どうするか?それについてこんな話しをした。

3.世界職業市場での日本人の優位性はあるか?

□先進国で生活しているメリットを優位性に転換→英国に先例。
□芸術、音楽、ファッション、料理、建築、デザイン、映像、大衆文化、新たなサービスの起業等。
□先進国にいるからこそ、生活に余裕があるからこそ、身につく感性、特殊な知識、情報リテラシーを活かす。身の回りにすぐにパソコンがある国など、世界の中では少数派だ。
□日本では「普通の人」でも、グローバルに見ればあらたな価値を創造できる。

□日本人が世界で競争力を発揮する仕事分野。例えば、
(1)ポップカルチャーに関する分野
「今や日本は歴史始まって以来はじめてカッコいい国という評価を受けている。ポケモンやドラゴンボールZやセーラームーンのおかげで、世界のこどもたちは日本に憧れを抱いている。昨今、国際的な賞を受けている邦画はみな現代ニッポンを映像化したもので、土着で生身の日本が評価されているところでもある。」 (中村伊知哉:スタンフォード日本センター研究所長)
(2)料理
日本料理だけではない。調理法、素材、調味料、道具なども。
(3)ファッションに関する分野
デザインだけでなく、素材、スタイリスト、メイクアップ、ヘアメイク、アクセサリーなども。

4.まとめ~キャリア教育への期待

□キャリア教育は日本人の競争力を左右する。
□「普通の人」にとって、これからの社会は収入の低下は避けられないが、企業に就職することが唯一の道ではない。多様な選択肢がある。
□組織依存でなく、個を確立することが大切。(チームワークより前に)
□人を楽しませることができれば収入を得ることができる。(職業観=君はどうやって人を楽しませますか?)→自分が楽しむのはお金を使うこと。

□就職より、起業・独立・フリーエージェント
そのために必要なリテラシー
(1)お金のリテラシー~投資と回収、金利
(2)商売のリテラシー~商道徳、信頼、約束、損して得取れ 
(3)情報リテラシー=論理のリテラシー~仮説・調査(調査手段)・検証
(4)人間理解
(5)国際理解

ここまで話したところで、中学校の先生から質問がでた。それは・・・・

質問「このような現実に対して、中学校でどのような教育を行ったらよいのか?どのような生徒を育てたらよいのか?」

回答「三つある。ひとつは、管理教育をやめ、生徒を大人として扱い、自由を与え、そのかわり責任を問う。つまり個の確立だ。部活強制加入などもってのほかだ。組織の和を大切にするあまり、個をどう確立するかやってこなかった。それでは世界で通用しない。チームワークは大切だが、その前に自分で判断する個人をつくることだ。」

「二つ目は、ノブレスオブリージュ。日本で大学進学率は高いが、世界60億人でいったい何人が大学にいけるのか。日本にいては実感がないかもしれないが、大学にいける人は世界のエリートだ。エリートにはエリートとしての義務がある。自分達はめぐまれているのだから、世界の人々のために尽くす義務がある、という意識を育てるべきだ。日本国内で負け犬根性に浸っている場合ではない。」

「三つ目は、教養を身につけること。日本人がビジネスマンとして海外へ出た時、一番恥をかくのは大卒のくせに教養がないことだ。世界と日本の歴史、文化・芸術、宗教と政治、こういう内容をまったく語れない。自分の意見を表明できない。相手のほうが歌舞伎や能に詳しかった、などと言う話しは推挙に暇がない。これでは対等な相手として知的能力を評価されない。なによりも、教養があるほうが人生を楽しめる。」

以上の三つを身につけ、そのうえで、先進国に育ち、感性豊な日本人の優位性を押し出せば、世界の人材競争は何も怖くない。

カテゴリー[ キャリア教育・生涯教育 ], コメント[4], トラックバック[0]
登録日:2006年 08月 22日 12:45:37

コメント

3つともできない人が多すぎるし、トライもしていない
結局だらだらしているので、フリーターになる
世界的給与水準で考えれば、フリーターでも十分な給与

本当に勉強したい人向けに、図書館を再考するのはどうだろう?

kiyota @ 2006年 08月 28日 14:48:33

kiyotaさん、3つは日本全体できていないので、これからなんとかしよう、ということです。フリーターはだらだらしているから、という側面もあるが、産業構造の変化の方が大きい。給与水準はおっしゃるとおりですね。だから世界標準から見てもっと付加価値の高い仕事はないものか、と考えています。世界標準の仕事は世界標準の給与にやがってそろってしまうので、将来はマックのバイト時給850円というのはあり得なくなります。

himori @ 2006年 08月 29日 10:17:41

この間報告させて頂きましたが、
このブログを参考に、mixi で議論を続けています。

その議論の中で、
大和総研チーフエコノミストの原田泰氏の講演の存在
http://www.mof.go.jp/jouhou/soken/kenkyu/zk073/zk073_06.htm
を教えて貰いました。

そこでは、

− ニート、フリーターの増加は構造的問題であるとされているが、本当は大部分がマクロ経済的な環境を反映したものではないかと考えている。構造的失業についても白書などで言われていた4%よりも、実際は低いのではないか。
− 完全失業率は消費者物価指数や全産業活動指数ときれいに逆相関しており、失業率のかなりの部分が景気を反映したものだと言える。また、若年失業についても、全年齢の失業率と若年層の失業率や、全年齢の就業率と若年層の就業率の相関が高い事から、若年層固有の問題は少ないのではないか。
− 就業率に関しては25-34歳の女性だけ、全体の動きと違い大きく上昇しており、フリーターやニートの増加の問題よりも、この女性の就業率が上昇しているという日本社会の変化の方が重要なのではないか。
− 都道府県別のデータで見ると、各県で若年層に占めるフリーターの割合は県の失業率と相関が高い。また、各県の若年層に占めるニートの割合も県の失業率と相関が高い。つまり、景気情勢の悪い県でフリーターやニートが増えており、これは構造的問題ではなく、県のマクロ経済を反映した結果である。
− 1990年に何か大きな構造的変化があったわけではないのに、構造的問題と言うのはそもそもおかしい。景気の低迷がフリーターを増やし、また就職出来ずニートとなる人を増やしたのではないか。

と論じられています。
「構造的問題ではなく、県のマクロ経済を反映した結果」と
いうことを言い切っておられるわけです。

僕などは、それは違うのではないか、マクロにみるからそう
なるのであって、その考え方では、原田氏自身の言及の中に
ある「若年層に占める」という但し書き部分の説明ができな
くなってしまっていると思いました。

産業構造の変化ということを、簡潔かつ少し具体的に、説得
力を持って言うとしたら、どのような説明をすればいいので
しょうね。

Hiro (上田博唯) @ 2006年 09月 06日 08:55:11

Hiroさん、ご質問へのお答えはあらたなエントリーを立てて書かせていただきます。

himori @ 2006年 09月 06日 11:22:13

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プロフィール
Ryuichi Himori
(男)
ryuichi.himori@gmail.com
団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教授に転職しました。肩書きは日本文化政策学会理事、行政経営フォーラム副代表、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事などいろいろ。行政経営(NPM)、文化政策、アートマネージメント、NPO論、都市政策などを研究しています。
というような立場を離れて、勝手なことを書かせていただきます。
(なお、mixiもやってます。)
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