生音(なまおと)の危機

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土曜日は第19回ハママツ・ジャズ・ウィークのジャズワークショップを覗いてみた。

ハママツ・ジャズ・ウィークは筆者が会社員時代に総責任者をやっていたイベントで、久しぶりに会ったスタッフの皆さんが声をかけてくれてうれしかった。

ワークショップは筆者が現役のときにはなかった企画だ。

まず、ボーカル(チャリート)、トランペット(奥村晶)、トロンボーン(中路英明)、ベース(坂井紅介)、ドラムス(加納樹麻)、ピアノ(ユキ・アリマサ)という豪華メンバーが、それぞれのパートで8人くらいのアマチュアをパート別に教える。

一通り教えたところでアマチュア参加者で仮のコンボバンドを組み、要所にプロも入って演奏する。そしてバンドごとにプロが講評する、というても大胆な企画。曲は事前に各自練習してくるが、バンドは当日初めて組む、というのもジャズらしい(なお、ボーカルだけは全員プロをバックにひとりづつ歌う)。

写真は筆者が見学したドラムスのパート練習。アメリカで鳴らした名ドラマー、加納のレッスンはひたすら左足でハイハットを踏みながら右手でシンバルを様々なリズムでたたく、というもの。「ドラムがうまくなりたい思うたら、おもろないけど、ひたすら基礎をやるんや」というアマチュアには耳の痛いアドバイス。基礎をやってこそ自由にたたけるようになり、自在な表現ができるようになる、と言う。

これはレッスンプロではなく第一線の演奏家ならではのアドバイスだ。音楽教室で講師がこれをやったらお客の生徒が逃げてしまう。一見カッコがつくように教えなければならないのがつらいところだ。

さて、いまジャズのチケットが売れていないという。ハママツ・ジャズ・ウィークも苦戦したようだが、東京でも来日大物ミュージシャンのコンサートやライブの売れ行きが悪い。

これはもしかしたら最近の音楽(Jpopなど)がほとんど電子的にリズムを刻んでいることと関係があるのではないだろうか。もし聴衆がそれにならされてしまっているとしたら、それは生音、生演奏の危機である。

つまり、スピーカーを通した音であっても、加納さんのように修練を積んだ演奏でその場で音を出す、正確にリズムを刻んでいるようでそこにゆらぎがある、そのゆらぎは他の楽器との協奏によって生まれるもので、その場限りのものだ。ジャズライブはそのスリルを楽しむものでそれがCDであっても同様だ。

もし人々があらかじめ打ち込まれた音による破たんのない音を良しとし、生音、生演奏のスリルを感じなくなっているとしたら、これは音楽そのものの危機であるといえよう。この危機は、クラシックと違ってビートを刻むジャズ以降の音楽すべてに言えるのではないだろうか。というのが音楽の素人である筆者のジャズのチケットが売れないことへの感想である。

ジャズは危機に陥っている。ロックはどうか?

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登録日:2010年 06月 01日 01:02:34

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Ryuichi Himori
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団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教授に転職しました。肩書きは日本文化政策学会理事、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事、(社)指定管理者協会理事長などいろいろ。公共経営・行政経営(NPM)、文化政策、アートマネージメント、NPO論などを研究しています。
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