こんなコンセプトが閃いた
人間とりとめもないことをぼ~っと考えていると何か思いつくものだ。
先日、こんな思考の流れからひとつのコンセプトが閃いた。
1.生涯学習審議会でワーキングプア、フリーター、若年失業対策を教育で何とかしなければならないことになったが、どうやってやるかな~。
2.弊社のある事業部のマネージャーと話していたら、「30~32歳を技能系の幹部候補(生産現場の将来の工長、職長)としてたくさんとりたいので紹介予定派遣を頼んでいるのだが、来るのは20代前半ばかりで20代後半~30代前半がなかなか来ない。なんとかならないかな」とこぼしていたな~。
3.行政経営フォーラムでのMLで議論されていたのが、企業誘致は自治体のインセンティブや首長のトップセールスで決まっているのではなく、企業側の事情によって決まっている。シャープが亀山に進出するとき、亀山しか想定していなかった。三重県のインセンティブといっても90億の補助金のうち現金は30億で残りは免税額。インセンティブというには低すぎて、進出の可否には関係ない。それよりも進出したときの一番の悩みは人材確保だった、とのこと。そういえば、スズキが牧の原市に新工場をつくり、3000人の新規雇用が発生するが、果たして確保できるかが問題になっている。そりゃそうだよな~。
4.そういえば、アメリカの各州の企業誘致の最大のの売り物は優秀な人材の供給だったな。進出が決まったら企業の代わりに州が人材を募集して、職業訓練をほどこし(潜在的労働者人材に対する雇用前教育)、工場が出来上がるころには優秀な人材が準備万端お待ちしています、という話。これを Quick Start 制度という。なるほど、企業がすぐ操業をはじめられる、というのはメリットだよな~。
こんなことを考えながらテレビを見ていたら、北朝鮮のマネーロンダリングのことをやっている。そこで閃いたのが、「人材ロンダリング」というコンセプト。
自治体がワーキングプア、フリーター、若年失業者に対して工場労働者として必要な資質を身につける教育・訓練をほどこして、企業誘致の目玉にする。これからの企業誘致は、インセンティブやトップセールスよりも、若くて、優秀で、元気のいい人材がいくらでもアヴェイラブルでっせ!と言う方が効く。これなら地方に若者が働く場所ができる。
一方で若者にとっては大手中堅製造業の方が牛丼屋やレンタルビデオ屋のバイトよりもはるかに高賃金で安定している。ワーキングプアになっている歩合制営業マンよりもいいだろう。
アメリカではこのような教育はテクニカルカレッジが受け持っているが、日本なら工業高校、高専、専門学校、工業短大などに委託すればよい。
現代の工場で働くためには、NCのプログラミングができたり、CADで図面が書けたりしなければならないので、かなり教育が大変だが(だから弊社も高卒技能系は工業高校の優秀な人しかとらない)、年収150万円から脱出しようと思えばがんばれるだろう。
文系大卒だろうがリストラされた営業マンだろうが、教育訓練を受けてそれまでの学歴や職歴をリセットし、工場労働者に変身する。
だから人材ロンダリングというわけだが、このアイディアはいかがだろうか?
地方から出てきた若者が都会の大学を出てワーキングプアになったり就職できずにフリーターになっている。企業は地方に進出しようにも人材確保のめどがなかなか立たない。自治体は金かけて工業団地を造成し、インセンティブをつけたりトップセールスしてもちっとも企業がきてくれない。
この3者のミスマッチを解消するのが人材ロンダリングというコンセプトなのだが、果たしてうまくいくだろうか。
(ご意見をお聞かせください。)
カテゴリー[ キャリア教育・生涯教育 ], コメント[9], トラックバック[0]
登録日:2006年 11月 01日 18:00:10
コメント
こんばんは。多田@群馬県です。
桧森さんのイメージする職業訓練は、職業能力開発促進法に基づき設置されている県立の職業訓練校が一番近いように思います。卒業生の就職率は学科にもよりますが、かなり100%に近いです。人気がない学科は生徒の入学も就職率も低いようですが。
近年の職業訓練校の目玉は、日本版デュアルシステムです。厚生労働省の説明によれば・・「企業における実習訓練と教育訓練機関における座学とを一体的に組み合わせた教育訓練を行うことにより、若年者を一人前の職業人に育てることを目的とする新たな人材育成システム 」です。
職能法では、県立などの公立職業訓練校のほかに、民間の職業訓練校も定めてます。同業者組合が設置したり、大手の企業が従業員用に社内に設置するケースもあります。
ご参考まで。
多田稔 @ 2006年 11月 01日 22:35:11
多田さん、ありがとうございます。
職能法の職業訓練校はイメージに近いですね。学科により就職100%というのは企業のニーズに合っているわけですから、問題はフリーターやワーキングプアがなぜ職業訓練校に入らないのか、ということになってきますね。これはなぜなのだろう。
それから、私の友人(シングルマザー)は職業訓練校でホームヘルパーの資格を取りましたが、ホームヘルパーについて言えば、教育内容や教員の質にやや問題があるかな、と思いました。
いずれにしろ、牛丼屋の店員はなぜ職業訓練校に行かないのか?
himori @ 2006年 11月 01日 22:52:41
職業訓練校の門を叩く若者はまだまだ救いようがあります。具体的なイメージ(目標とまでは言わない)もなく、ただビッグになってやる、でも何したらいいかわからん、だからとりあえず縛られるのは嫌だなあ、というフリーターやひきこもり君が圧倒的に多いのではないでしょうか?雇用の需給のギャップを埋めるためには有効なのでしょうが、それ以前の問題という気がしますがいかがでしょうか?いやー高校生に対しては大変ですな、未履修の教科埋めさせたり、何で働くのか考えさせたり。
BDPマスター @ 2006年 11月 02日 01:30:51
北朝鮮ののりで考えるなら、人材ロンダーリングとともに拉致も考えなければと付け加えます。、、、訓練校の開設して基盤を整備するのは大事ですが失業者だとは限らないフリーターやワーキングプアをどのようにつれてくるかです。
税金や保険料の滞納者に対する督促に税金をつぎ込むなら、いっそ督促するときになぜ払わないかという調査、そして拉致・人材ロンダーリングまでしてしまってはいかがでしょう。良い職業につければ税金も払ってくれるでしょう。税収アップのためなら大義名分もたちます。
滞納者のフリーターやワーキングプアには自己投資をする余裕はなく、確実にキャッシュになるもの以外には手は出せないと思います。それを確信させるコンセプトである必要があります。彼らは学校までの交通費すら心配でしょう。
話を戻して、人材ロンダリングというコンセプトは洗脳ですから、洗脳者がどのようなに被洗脳者を洗脳するかを[あらかじめ]決めておかなければ実行不可能です。被洗脳者の希望に従うようでは洗脳になりません。
桧森さんのいわれる3者のミスマッチを解消するためにどのような実行プランが展開できるか大変興味があります。これは職業訓練校の設置とは桁違いの創造力が必要なコンセプトだと思います。桧森さんが閃いたといわれるのはこんなことでしょうか?
カモ六 @ 2006年 11月 02日 09:18:34
BDPマスターさん、カモ六さん、コメントありがとうございます。
なるほど洗脳というのは考えませんでした。お二人とも、どうやって連れてくるかが問題とお考えですが、私は単純に、今よりもっといい生活がしたい、これではいつまでも結婚できない、と思っている人たちは、大手企業への就職というはっきりした道が示されれば来るのではないかと思います。
その上で、本田由紀先生が、職業高校の生徒たちは実践的な教育を通して普通高校よりも職業意識が高い、とおっしゃっていたのを敷衍すれば、職業訓練・教育を通して「洗脳」できるのではないかと思います。
企業にとっては、自ら採用活動を行なうよりも、公的機関の「おすみつき」がある人を雇えればリスクは減るでしょう。
今日のクローズアップ現代で、長井市が長井工業高校の人材を活用して企業誘致に成功、という話しがありました。イメージ的には近い事例です。
himori @ 2006年 11月 03日 01:07:24
こんばんは。
2日のクローズアップ現代、私も見ました。KYOZOさんの仰っていることはこんなことかな、と思いました。
ところで、フリーターやワーキングプアがなぜ職業訓練校の門をたたかないか。理由は2つあると思います。
1 職業訓練校は職安の管轄だということ。
2 フリーター、ワーキングプアは生きるコストを稼ぐだけで精一杯。立ち止まる余裕はない。
1 就職氷河期に大学を卒業したものの中には、はじめからアルバイトで生計を立てているものも多いです。ちょっと時間稼ぎのつもりが、そのまま年を取り、フリーターやワーキングプアと呼ばれるようになってしまった。そういった人は、雇用保険に加入していたこともなく、職安に足を運ぶ機会も少ないのでは?職業訓練校の存在そのものを知らない人も少なくないでしょう。
また、職業訓練校は失業手当を受給する資格者に厚く作られた制度です。私は都の職業訓練校を出てますが(失業手当給付期間ではなかった)、学費は無料でしたが交通費は自腹でした。ここまでして入学したのは1クラス45人で2名だけ。
他のクラスメイトは、学費無料、交通費支給、出席1日あたりの手当てが出ていたはずです。一度きちんとした企業に就職し社会保険に加入できた者でなければ、ここまでの恩恵にはあづかれません。
2 フリーター、ワーキングプアの生活は、立ち止まれません。病気にもなれません。仕事を休めばその分給料が減る。それだけです。ただでさえ家賃や基礎生活費でいっぱいいっぱいなのに、休んだら即赤字です。まして、いくら学費が無料になるからといっても、半年や一年もの期間、将来の自分のために訓練校で勉強に集中することは難しいです。
ちなみに、飲食業はワーキングプアの多い職場です。その待遇はこんな感じです。
8時出勤、お昼休みは厨房で立って10分でまかないをかき込む。深夜1時退店。休みは月3回。月給10~15万。社会保険一切なし。有給休暇はあってないようなもの。風邪でも出勤は当たり前、皆に恨まれずに休めるのは、救急車で運ばれたくらいの重症のとき。
これでは、転職の面接を受ける時間も、自分の将来のために時間を使ったり貯金したりするのも厳しいです。皆、現場にいると感覚がおかしくなってくるんですよ、そういう生活が普通だって。
フリーター、ワーキングプアの減少のためには、企業が35歳以上の未経験の人間を採用するのが本当なのでは?新卒を採れるのなら、同じ給料でもいいから少しわれわれの世代にその雇用を分けてほしい。
われわれの時代を切り捨てて回復を実現した好景気なのですから・・・。それも企業の社会的な責任なのではないのでしょうか?
この世代が正社員で定職につければ、結婚し子供を持つ家庭が増えるでしょう。それは未来の消費者を作り出すことですよね?
梅蔵 @ 2006年 11月 04日 01:04:58
>梅蔵さん
コメントありがとうございます。今、職業訓練校がフリーター、ワーキングプア対策に必ずしも有効でない理由は梅蔵さんのご指摘の通りです。
そこでまったく別の制度が必要になる、というのが私のコンセプトです。企業が雇用することを前提に職業訓練期間中の費用(生活費)を行政が出す、ということです。変な企業誘致に無駄金を使うより有効です。
今、企業に不足しているのは、梅蔵さんの時代に採用しなかったつけが回ってきた工場労働者です。工場は地方に立地しているので、ワーキングプア、フリーターは故郷に戻ってきて職業訓練を受け、工場に入ってもらうことで安定した生活を送れるようになり、地方の人口減少も止まります。
日本では飲食業も含むサービス業は低生産性をフリーター、ワーキングプアの低賃金でカバーして成り立っています。梅蔵さんがご指摘の職場は17時間労働ということになりますが、はっきり言って労働基準法も最低賃金も守れない産業は、日本では本来成り立たないということです。本来人は雇えないのだから店主が一人でやれ、ということです。
徒弟制度で入門した、というのなら雇用とは違いますが、本来なら給料は払わない代わりに衣食住の面倒を見る、というのが徒弟制度です。それができないなら弟子にもそれ相応の給料を払い、休みもとらせるべきでしょう。
なお、景気が回復して新卒採用が増えている、と言われていますが、時々書いているように、実態は必ずしもそうではありません。昔のようにホワイトカラーの新卒定期大量採用という時代は二度と来ないと思います。そのへんはまた詳しく。
himori @ 2006年 11月 05日 00:27:41
生涯審の柴です。
おじゃましています。中間報告をまとめるにあたって、学卒若年者の方(まさにワーキングプア)への対応についても提案ができればと思っていたので、桧森さんのご提案と皆さんとのやり取りを興味深く読ませていただいています。県にもテクノカレッジという職業訓練校があります。確かに若者がその存在を十分知って、活用しているかが気になります。
SHIBA @ 2006年 11月 23日 16:59:14
柴さん、こんにちは。テクノカレッジも若者がその存在を知っていて、なおかつ失業者ではなくても(一度も正社員になったことがない人でも)入れて、なおかつ勉強中の手当てが出れば有効な対策になると思います。ニート対策でイギリスがやったのもそんなようなことです。報告にうまく盛り込まれるといいですね。
himori @ 2006年 11月 23日 22:52:03
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- 団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教授に転職しました。肩書きは日本文化政策学会理事、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事、(社)指定管理者協会理事長などいろいろ。公共経営・行政経営(NPM)、文化政策、アートマネージメント、NPO論などを研究しています。
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