2006年 10月

結果発表!

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おやじバンドコンテスト、グランプリはこのバンド!
某地方都市信用金庫の支店長二人と支店長代理二人による、なりきりディープパープルバンド。曲はハイウェイスターにスモークオンザウォーター。支店長代理のボーカル、格好いい!スーパーカブにまたがり、集金に回っていたころからバンド一筋。MCではつい「毎度お世話になってます」と腰をかがめる信金らしさ。

この他にも全員老眼のクリーム(だからバンド名がLaw-Guns)やら、小学生の孫がいるビートルズやらが続々登場、盛り上った。

団塊の世代のマーケティングを考えている皆さんに参考までに言っておくと、おやじバンドというのは、昔やりたかったことを今になって始めたり、一度中断したのが復活したわけではない。若いころからずっとバンドをやっていて、気がついたらこの年齢になっていた、というだけに過ぎない。結成30年のバンドはざらだ。
だから、楽器なども新たな需要が発生しているわけではなく、買換え需要が続いているだけなのだ。
音楽にしろスポーツにしろ、人間はいくつになってもうまくなりたいから習いにいくし、道具はいいものに買い換えたい。たまには試合に出たり、人前で演奏したい。どの年代でもごく普通にやっていることを、この年代でもやっているだけだ。だからとてつもない新たな需要が起こることは期待しない方がいい。昔からやっていない人は、今もやらないのだから。

もうひとつ、ディープパープルやクリームやビートルズやベンチャーズは、懐かしさ、ノスタルジーでやっているわけではない。アマチュアだから好きな音楽をひたすらやっているだけだ。プロは食うためにどんどん進化しなければならないが、アマチュアはその必要はない。好きな道をひたすら追求している。だからかれらは、50過ぎても、新しい音楽をやるためではなく、今の曲がもっとうまくなるために練習しているのだ。
月2回スタジオに集まって、40年前のカムトゥギャザーやドントレットミーダウンをひたすら練習しているのがおやじバンドの真の姿だ。
だから、ノスタルジーマーケットがあるというのもあやしいものだ。

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登録日:2006年 10月 29日 22:47:08

おやじバンドは永遠に

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今日は関係する年輪ピック関連イベント「おやじバンドコンテスト」のプレイベント。

写真は元PTA会長と中学の先生による平均年齢50代バンド。おお、この12弦ギターのイントロからドン・ヘンリーばりのボーカルは、ロック史上に輝く不朽の名作、ホテルカリフォルニアではないか。そう、皆さんイーグルスになりきっているのだ。

このほかにも50代市役所職員と先生たちによるなりきりベンチャーズや、69歳ベースをリーダーに68歳スチールギター、60歳ボーカルを40代のギター、ウクレレが支える貫禄のハワイアンバンドが登場。

明日のコンテスト本番には、なりきりディープパープルやなりきりクリーム(おやじはみんな枯れたクラプトンよりやんちゃなクリームが好き)が登場する。

やっても見ても楽しいおやじバンドよ、永遠に輝け!

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登録日:2006年 10月 29日 00:26:20

いまさら研修

昔、「女房酔わせてどうするつもり?」というウィスキーのCMがあったが、なんの間違いか一泊二日で「ラインマネージャー研修」というのを受けさせられた。管理職になって20年、あと3年で定年の筆者に対して金の無駄遣いのような気もするが、どんな研修でも自分個人にとって無駄というものはない。まして講師は神戸大学の金井教授(例のウルトラマン研究序説の人)なので期待できる。
研修はなかなかおもしろかったし、後輩のマネージャーたちとの合宿は新鮮な発見があった。
その中でこれはいいと思ったのが「多面観察自己分析」。これは事前に複数の自分の部下と上司に匿名でアンケートによる評価をしてもらい、研修でそのフィードバックを受け、その結果についてグループディスカッションをする、というもの。自分のリーダーシップに対する360度フィードバックだ。
例えば、「部下が失敗やミスをした時、気持ちを汲んで処理しているか」というような設問が62項目あり、自分の部下と自分の上司がそれぞれ5点満点で点数をつけ、それぞれの平均点や点数のばらつきがフィードバックされる。それを自分でグラフにする。
自分自身はNが少ないため参考にならないが、上司5人、部下30人くらいにやってもらっている他のマネージャーにとっては、ショックも受けるが様々な気付きがあったようだ。
企業によってはこれを成績評価と結び付けているところもあるが、そこまでしなくても、自分のマネージメントスタイルを映し出す鏡として有効だろう。
これは行政機関でもぜひやってみるべきだ。

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登録日:2006年 10月 28日 02:33:41

団塊三原則だめ押しデータ編

これは千葉県商工労働部の調査です。(平成18年2月)

調査対象
昭和22年生まれ・・・36.5%
昭和23年生まれ・・・30.2%
昭和24年生まれ・・・31.5%
男性・・・71.1% 
女性・・・28.5%

◆定年退職後の就労意向の有無 N=1140人
1.正社員(もしくは非正社員)としてフルタイムで働きたい ・・・46.8%
2.正社員(もしくは非正社員)として短時間勤務で働きたい・・・29.4%
3.独立開業したい・・・3.2%
4.働きたいと思わない・・・19.5%
5.不明・・・1.2%

◆短時間勤務の希望日数(週)と希望勤務時間数(日)
週3.8日/週   平均6.2時間/日

◆希望年収               (現在の年収)
1.300万円台・・・24.1%      1.300万円台・・・14.5%
2.200万円台・・・19.6%      1.400万円台・・・14.5%
3.500万円台・・・16.0%      2.500万円台・・・13.2%
4.400万円台・・・15.8%      3.700万円台・・・14.7%
                      (1000万円以上・・・9.4%)

◆定年後も就労したい理由
1.生活を維持するため・・・61.5%
2.生きがい・社会参加のため・・・16.5%
3.健康のため・・・6.5%
4.人との触れあいが欲しいから・・・2.8%
5.生活水準を上げるため・・・2.8%

この調査を見る限り、生活を維持するためにフルタイムで働きたい、年収300万円欲しい、、ということで、あまりゆとりがあるように見えないのだが、マーケッターの方はどう思われるだろうか。格差社会で、現在の年収1000万円以上が9.4%でも絶対数が多いからここを狙う、ということか?

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登録日:2006年 10月 25日 19:06:54

団塊三原則

ちまたでは非核三原則が話題になっているが、こちらは団塊三原則。
団塊の世代について発言しているせいか、講演や研修を頼まれることが多い。
そこで次のような基準で諾否を判断している。
まず、団塊の世代のマーケティングの類、何をどう売り込めばいいか、というような話はお断り。そんなものはない、の一言で終わってしまうので。次に、団塊の世代のボランティア入門とかただ働きさせようという話もお断り。そんなものは面白くないし、お金も必要なので。お受けするのは、団塊の世代の起業とか働き方とかの話し。まだまだ稼ぐ必要があるし、仕事としてのやりがいも必要なので(現役並みでなくてもいいが)。

そこで団塊三原則

1.団塊世代にものを売り込まない。金を使わせない。
2.団塊世代をただで使わない。
3.団塊世代に稼ぎとやりがいのある仕事を。

この三原則を皆さんにもぜひ守っていただくようにお願いしたい。
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登録日:2006年 10月 23日 22:24:29

ふるさと文化再興事業補足

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少し補足すると、まず「呉松大念仏」はこの地方の町内ごとに残っている大念仏のひとつで、町内の初盆の家を隊列を組んで回り、庭先で笛、太鼓、双盤などを鳴らしながら回向をする伝統芸能だ。その中でも呉松は独特の部分あり、また一度途切れたために古い形が残っている。大念仏はこの地方独特だが、使われている楽器は市販の和楽器だ。

次に、なぜ唱歌が有効かを解説しよう。日本の伝統的郷土芸能は、実はその土地オリジナルではなく、ルーツは京都や江戸から伝わったもの、ということが多い。九州地区の神楽のほとんどは平安から鎌倉にかけて京都から伝わった雅楽がルーツだ。また今の田楽は能が、お祭りのお囃子は江戸の歌舞伎がルーツだ。雅楽も、能も、お囃子も、その大元では、様々な流派があるが今でも連綿と継承されている。
和楽器の奏法や練習の仕方も改良されつつ家元制度や東京芸大、国立劇場、宮内庁などで継承されている。唱歌は、ジャンルや流派によって異なるが、基本的には共通の方法だ。だから正確に採譜すれば、「お師匠さん」によって再現することが可能なのだ。
どうも日本は文化的には昔から中央集権国家だったようだ。

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登録日:2006年 10月 21日 00:24:32

ふるさと文化再興事業

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筆者は普段一体どんな仕事をしているのだろうか、と疑問を持つ方も多いと思うので、新たに「今日のお仕事」というカテゴリーを作り、日常の仕事の一端を紹介する。

写真(筆者撮影)は郷土の伝統民俗芸能「呉松大念仏」の唱歌(しょうが)を採譜して記録しようというプロジェクトの会議。写っているのは監修者の筝曲演奏家、てん・仁智さんと、採譜作業を担当する長唄三味線・囃子の杵家弥七比古さん。文化庁のふるさと文化再興事業にもとづく県の事業だ。

「呉松大念仏」は盆に行われていた行事で県の無形文化財にも指定されていたが、昭和40年代の初めに途切れた。それを地元の熱心な人たちが、残された1本のカセットテープと古老の話をもとに再興し、平成14年に復活した。

平成16年に、ふるさと文化再興事業による地元保存会の依頼で記録DVDを制作した。このとき制作委員になった筆者はNHK風の記録映像や、全てをありのままに収録する資料映像ではなく、「レッスンビデオ」というコンセプトを打出した。これは、再現に苦労した地元の人たちを思い、もし将来万が一継承が途切れても、この映像を見ればまた復活できるように、実用に徹し、見て練習ができるようにするためのものだ。

このときは、衣装の着方から始まって、全ての要素を分解してスタジオで収録し、解説をつけた。賛否はあったが、地元の保存会の人たちからは喜ばれた。これを使って新しく加わる若い人たちに練習をさせることができるからだ。この事業で、ここまで実用に徹した映像は初めてだろう。

今年度は、全ての楽器の、すべての演奏の唱歌(しょうが)を採譜し、記録する。唱歌とは和楽器の口伝だ。現在ではそれが記録され下記のように表記される。
練習では実際に楽器で音を出す前に口で歌うように覚える。例えば笛なら、
ヒャ ツ チ リ ヒャ イ ト ロ ヒャ ラ イ リ
というように表記され、これを口で唱えて練習する。三味線のチントンシャンもこのことだ。和楽器は音符で表現できず5線譜には記録できない。記録しても異なったものになってしまう。雅楽も能楽も長唄もすべてこの唱歌で記録し練習する。

地元の伝統芸能を唱歌に残す意味は、もし万が一途絶えたとしても、使われている楽器のプロの演奏家によって復元し、練習することができることにある。いくら演奏の音の録音が残っていても、耳で聞いてコピーするだけでは正確に再現できない。唱歌があれば、その基本が残っているために、録音で聴いた音のニュアンスと重ねあわせて正確な再現ができ、和楽器の専門家であれば誰でも、実際に体験していなくても演奏し、教えることができる。一度途切れたものを大変な苦労(4~5年かかった)で再現した地元の人たちの労力が大幅に軽減されることになる。

プロデューサーとして筆者は、滅びるかもしれない伝統民俗芸能の記録方法として、再現可能性が重要だと考え、専門家の意見を聞いてこのようなレッスンビデオDVDと唱歌の採譜・記録を企画した。呉松の人たちの再現の苦労が、大きなヒントになったのは言うまでもない。
この方法が広く普及することを願っている。
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登録日:2006年 10月 20日 23:35:30

実務経験のない若者にとって「即戦力」の意味は?

ワーキングプア対策としての教育訓練(その2)

この問題を考える上で、筆者が最近経験したひとつの事例を紹介しよう。

筆者の関係するある団体で、最近一人の総合職の若者が依願退職することになった。
この団体はコンサルティング事業などを行なっており、総合職はそのようなプロジェクトを任せられる人材として期待され、育成されている。この若者は大学院に在学中からこの団体に務め、修士学位取得後正式に総合職として採用された。この団体の事業と本人の専門テーマはオーバーラップしていたため、活躍が期待された。

ところが、「仕事の期限を守らない」「上司に報告、連絡、相談をしない」「上司の許可を受けずにクライアントに勝手に連絡して条件変更する」「後輩の一般職に仕事を丸投げする」「過去の企画書、報告書などの文章をそのままコピーアンドペーストしてでっち上げる」「指導、叱責に対してもその場限りの言い逃れで改善されない」などが積み重なり、同僚の信頼を失ったばかりか、団体そのものがクライアントから信頼を失い、次回の仕事を失うなどの被害が出始めた。(抽象的な表現で恐縮だが、この団体の就業規則に照らせば懲戒解雇も可能なレベルと思っていただきたい)。このため本人とじっくり話し合った結果、この団体には向いていない、ということで依願退職になった。

このケースでは、本人が教育により獲得したとおぼしき専門能力は、少なくとも修士ということで評価されたが、ビジネスマンとしての基礎的資質が欠如していることは事前に見抜けなかった、ということだ。

実務経験のない若者に求められる「即戦力」とはこの基礎的資質のことだ。中身は、この修士の若者の逆ができればいい。期限を守る。上司に報告、連絡、相談する。自分勝手に、都合のいいように判断しない。人に仕事を押し付けない。言われたらすぐ改善する。当たり前と思われるかもしれないが、実は意外と難しい。人は誰でも怒られるのはいやだ。だから失敗を隠したり取り繕ったりする。期限前にできないとわかっても叱責覚悟で相談しない。そしてますます事態を悪化させる。

ノルマが達成できず、契約書を偽造する営業マン、テストが間に合わずデータをでっち上げる技術者は、どの企業でも皆無ではないのだ。
怒られるのがいや、能力がないと思われるのはいや、手を抜いて楽をしたい、という気持ちは誰にでもある。それを押して、ここで報告することが全体のためになるという冷静な判断と、叱責をものともしない強さを、企業は求めている。これを、会社に入っても叩き込まなくてすむのが、あるいは少なくとも採用時に納得させるのが「即戦力」だ。

企業は、どのようにしてこの基礎的資質の有無を見抜くか、そして入社後にどのように強化育成するか悩んでいる。圧迫面接も性格テストもそのための方法だが、必ずしもうまく行っていない。
東大の本田由紀助教授は、企業の「行動力・実行力」「熱意・意欲」「コミュニケーション能力」という曖昧な採用基準を批判している。指標化できないので学生が何を目指して努力すればいいのかわからない、達成度を判断できない、というのだ。しかし、実は企業のこの採用基準の裏にある本音は、「期限を守る」「うそをつかず信頼できる」「怒られるのを覚悟ですぐ報告する」とういうことだ。そして身につけているかどうかは程度問題ではなく1か0かだから指標化できない。(身につけていれば、あとから強化することはできる。)

業務に必要な知識は入ってから教育できるが、このようなを資質を育成するのは難しいし手間もかかる。だから、若者が、フリーターだろうが中退者だろうが自分がこのような資質を持った人間であることを証明できれば、貴重な「即戦力」として採用される。なぜこのような資質を身につけたかは、家庭のしつけ、アルバイトを通して、あるいは昔からの自分の信条だといえばいい。

本田由紀先生は、高校での専門教育、大学での職業的意義の高い教育を行なうことを主張されているが、これは極めて理にかなっている。なぜなら、真剣な職業への取り組みは、たとえ疑似体験であっても基礎的資質を高める訓練になるからだ。知識教育では身につかない。むしろ試験が要領の良さという名のズルさを助長すれば逆効果だ。

最後に、このような「即戦力」の資質が企業にとって永遠の課題なのは、企業ぐるみの粉飾決算や欠陥隠しに現われている。困難な問題解決や外部の非難に正面から立ち向かわず、ごまかして回避しようとする経営者や幹部が多ければ、会社は滅びる。地位にふさわしい資質の強さを持たないまま経営者になってしまうケースもないことはないのだ。


(ご意見をコメント欄にお寄せください。)

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登録日:2006年 10月 18日 17:16:43

本社をどこに置くか

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前のエントリーで本社をどこに置くかについてふれたが、諸外国には大都会に本社を置かない企業はいくらでもある。特にクリエイティブな企業に多い(ように感じる)。例えば、ノキアの本社があるタンペレは、フィンランド第2の都市とはいえ人口30万だ。
写真はデンマークのオーディオメーカーB&O(バングアンドオルフセン)の本社及び工場。人口17000人の小さな町、ストルーアにある。本社オフィスは草原に面した美しいモダン建築だ。海と森と草原に囲まれた環境からあの優れたデザインの製品が生まれるのも納得できる。田舎で人材が集らないという泣き言とも無縁らしい。

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登録日:2006年 10月 16日 16:05:07

皆さんなぜ東京に行くの?

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(即戦力の話しは後ほど)
今日は途中までサンデープロジェクトを見ていたが、天気がいいので出かけることにした。
11時に出発して車で40分ほど走るとハイキングコース入り口。そこから30分ほど登るとこの景色。このあたりの植生である照葉樹林帯の木漏れ日の中をあるけば、自然と一体になった気持ちがする。
東京にいれば、何日も前から計画していなければこうはいかないだろう。

筆者は東京生まれの東京育ちだ。三代前から山の手に住む生粋の東京っ子で、プロフィールにある大学も中学からのエスカレーターだ。

それが地方都市に住んで24年になる。転勤族として最初の勤務地が金沢市に4年。次に今の町にきて、途中6年間の東京勤務はあったが、通算20年住んでいる。地方都市の生活は快適だ。筆者の妻も東京生まれの東京育ちだが、筆者の定年退職後東京に戻るつもりはないようだ。この地域には、東京生まれの人が親を呼び寄せ、退職後も住んでいるという人が多い。東京出身の転勤族は意外と東京には固執しない。転勤した町の中から終の棲家を選ぶ。住めば都とはこのことだ。

筆者に理解できないのは、なぜ地方都市に住んでいる人は東京に行くのか、ということだ。

多くの地方では、よほどの中山間地か離島でない限り、40年前ならいざ知らず、車社会でIT社会の21世紀に自宅から通勤1時間を見れば仕事がないということはない。住環境も生活環境も東京よりはるかに快適だというのに。
東京に行って筆者の実家がある23区の山の手に住めればいいが、実際に住むのは佐原か荒川沖か鴻巣か飯能か伊勢原だろう。国道16号線の外側だ。そこから通勤で人生の貴重な時間を無駄にする。

筆者が住んでいるのは新幹線も止まるJRの駅から直線で2kmの閑静な住宅街のマンションだ。77平米3LDKのこのマンションの価格は、購入当時首都圏で同じ価格で同じ広さを求めようと思うと小田原まで行かないとなかった。

大学にしてもそうだ。東京の大学を出ましたというので聞いてみたら東松山だという。そんなところに行くくらいなら、なぜ自宅から通える大学に行かないのだろうか。親元を離れて自由な暮らしがしたい、というのは甘い考えだ。筆者もそうだが、東京出身の学生は親元から通い、常に親との葛藤を経験している。東京で勝手なことをしておいて田舎に帰って癒されるというのは甘え以外の何物でもない。逆に親離れができないではないか。

筆者の住む地域には、大企業ながら本社を東京に移さない会社が多い。ここから世界と直接繋がっているので、移す必然性がまったくないのだ。官に保護される規制業種や、官需中心の企業は霞ヶ関に近い必要があるかも知れないが、世界のコンシューマーを相手にしている企業が東京にいる必然性はまったくない。

よく話題になるのだが、マーケティングと称して東京の流行を追っても何にもならない。クリエイティブな情報発信拠点は世界の他の都市にあり、東京は月のようにその光を反射して輝いているにすぎない。ロサンゼルス(映画を除いて)と同じでしょせんは強大な消費都市にすぎず、創造都市ではない。筆者の勤めるようなグローバルにビジネスを展開している企業は、東京のマーケットリサーチをしていたら世界から遅れてしまう。だから例えばインダストリアルデザインの拠点は東京ではなくロンドンに置いている。

ドイツでは、著名なデザイン事務所は各地に分散している。筆者はある著名なインダストリアルデザイン事務所(最寄の都会から200km離れた田舎の森の中にある)で、こんな田舎にいると情報が入ってこないで不便ではないか、と訊ねたことがある。答えは「自分たちはオリジナリティのあるものを生み出しているのだから、なぜ他の情報がいるのか」というものだった。

起業する場合も地方都市はコストが安い。行政の様々な優遇策がある。顧客ががいないと言うかもしれないが、顧客はネットを介して日本中にいる。世界とも繋がることができる。最初から世界中の客を相手にする気構えがないと起業はおぼつかない。それができれば東京にいる必然性は何もない。

東京生まれで東京育ち、田園調布に実家があり、地方都市に住む筆者としてはあえて聞きたい。「皆さんなぜ東京に行くの?」と。特にこれを読んでいる若い人に答えてもらいたい。東京は幻想にすぎないのではありませんか?

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登録日:2006年 10月 15日 17:55:06

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プロフィール
Ryuichi Himori
(男)
団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教員に転職しました。その他行政経営フォーラム副代表、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事、県生涯学習審議会委員、県NPOパートナーシップ会議委員などを務めています。行政への企業経営手法の導入や、文化政策、地域政策、NPO論などを研究しています。
というような立場を離れて、勝手なことを書かせていただきます。
(なお、mixiもやってます。)
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