2006年 10月 15日
皆さんなぜ東京に行くの?
(即戦力の話しは後ほど)
今日は途中までサンデープロジェクトを見ていたが、天気がいいので出かけることにした。
11時に出発して車で40分ほど走るとハイキングコース入り口。そこから30分ほど登るとこの景色。このあたりの植生である照葉樹林帯の木漏れ日の中をあるけば、自然と一体になった気持ちがする。
東京にいれば、何日も前から計画していなければこうはいかないだろう。
筆者は東京生まれの東京育ちだ。三代前から山の手に住む生粋の東京っ子で、プロフィールにある大学も中学からのエスカレーターだ。
それが地方都市に住んで24年になる。転勤族として最初の勤務地が金沢市に4年。次に今の町にきて、途中6年間の東京勤務はあったが、通算20年住んでいる。地方都市の生活は快適だ。筆者の妻も東京生まれの東京育ちだが、筆者の定年退職後東京に戻るつもりはないようだ。この地域には、東京生まれの人が親を呼び寄せ、退職後も住んでいるという人が多い。東京出身の転勤族は意外と東京には固執しない。転勤した町の中から終の棲家を選ぶ。住めば都とはこのことだ。
筆者に理解できないのは、なぜ地方都市に住んでいる人は東京に行くのか、ということだ。
多くの地方では、よほどの中山間地か離島でない限り、40年前ならいざ知らず、車社会でIT社会の21世紀に自宅から通勤1時間を見れば仕事がないということはない。住環境も生活環境も東京よりはるかに快適だというのに。
東京に行って筆者の実家がある23区の山の手に住めればいいが、実際に住むのは佐原か荒川沖か鴻巣か飯能か伊勢原だろう。国道16号線の外側だ。そこから通勤で人生の貴重な時間を無駄にする。
筆者が住んでいるのは新幹線も止まるJRの駅から直線で2kmの閑静な住宅街のマンションだ。77平米3LDKのこのマンションの価格は、購入当時首都圏で同じ価格で同じ広さを求めようと思うと小田原まで行かないとなかった。
大学にしてもそうだ。東京の大学を出ましたというので聞いてみたら東松山だという。そんなところに行くくらいなら、なぜ自宅から通える大学に行かないのだろうか。親元を離れて自由な暮らしがしたい、というのは甘い考えだ。筆者もそうだが、東京出身の学生は親元から通い、常に親との葛藤を経験している。東京で勝手なことをしておいて田舎に帰って癒されるというのは甘え以外の何物でもない。逆に親離れができないではないか。
筆者の住む地域には、大企業ながら本社を東京に移さない会社が多い。ここから世界と直接繋がっているので、移す必然性がまったくないのだ。官に保護される規制業種や、官需中心の企業は霞ヶ関に近い必要があるかも知れないが、世界のコンシューマーを相手にしている企業が東京にいる必然性はまったくない。
よく話題になるのだが、マーケティングと称して東京の流行を追っても何にもならない。クリエイティブな情報発信拠点は世界の他の都市にあり、東京は月のようにその光を反射して輝いているにすぎない。ロサンゼルス(映画を除いて)と同じでしょせんは強大な消費都市にすぎず、創造都市ではない。筆者の勤めるようなグローバルにビジネスを展開している企業は、東京のマーケットリサーチをしていたら世界から遅れてしまう。だから例えばインダストリアルデザインの拠点は東京ではなくロンドンに置いている。
ドイツでは、著名なデザイン事務所は各地に分散している。筆者はある著名なインダストリアルデザイン事務所(最寄の都会から200km離れた田舎の森の中にある)で、こんな田舎にいると情報が入ってこないで不便ではないか、と訊ねたことがある。答えは「自分たちはオリジナリティのあるものを生み出しているのだから、なぜ他の情報がいるのか」というものだった。
起業する場合も地方都市はコストが安い。行政の様々な優遇策がある。顧客ががいないと言うかもしれないが、顧客はネットを介して日本中にいる。世界とも繋がることができる。最初から世界中の客を相手にする気構えがないと起業はおぼつかない。それができれば東京にいる必然性は何もない。
東京生まれで東京育ち、田園調布に実家があり、地方都市に住む筆者としてはあえて聞きたい。「皆さんなぜ東京に行くの?」と。特にこれを読んでいる若い人に答えてもらいたい。東京は幻想にすぎないのではありませんか?
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登録日:2006年 10月 15日 17:55:06
ワーキングプア対策としての教育訓練とは
(以下は自分なりの仮説です。)
2006年9月24日の日本経済新聞の「経済論壇から」は、「働く貧困層問題の本質」と題して大阪大学の大竹文雄氏がワーキングプアをテーマにした各論文を取り上げ解説している。
結論としては、東京大学の山田昌弘氏が文藝春秋10月号で主張しているように、「ワーキングプア発生が生産性格差の拡大に原因があるのだとしたら、教育訓練によって生産性を高めるしか有効な対策はない」(大竹氏)ということのようだ。
学者の分析としてはそうかも知れないが、それでは、実際に生産性を高める教育訓練とはいったいどのようなものだろうか。実務家としてはどうしても具体的な対策を考えてしまう。教育訓練の中身をどのようなアプローチで考えればいいのだろうか。
この対策は、ワーキングプアが教育訓練によって自らの生産性を高め、日本にある企業に就職することによって完結する。ということは、採用における企業のニーズから考えればいいのではないか。
だとすれば、そのキーワードは「即戦力」という言葉にある。
企業の求める「即戦力」の意味を多くの人が誤解しているのではないだろうか。
多くの企業が中途採用で求めるのは、すでに企業において充分な訓練が施され、特定の業務に直ちに取り掛かれる人材のことを言う。「中国で輸出入実務経験のある人募集」という類だ。もしこのような人材だけを「即戦力」というのなら、新卒者や教育訓練卒業者は絶対に無理だ。机上の訓練だけでは実務経験は身につかない。教育で輸出入業務を教えただけではほとんど役に立たないから、このような募集では採用されない。机上の知識があることが「即戦力」ではない。ここが誤解されているポイントのひとつだ。
それでも、企業は実務経験を問わない採用でも「即戦力」を求める。
では、実務経験のない者に企業が求める「即戦力」とは何か。それは二つある。
まず第一は、企業の戦力不足が切迫していて、資格や知識があればある程度戦力になることがわかっている分野では、実務経験がなくても「即戦力」と評価される。今ならそれはずばり、IT技術者と経理人材だ。両方とも技量を示す資格があり、教育訓練で資格を取得すればある程度即戦力とみなされる。それぞれについて詳しく見てみよう。
1.IT技術者
ITは以前インドへのオフショアアウトソーシングのことを書いたが、実は海外へのアウトソーシングは業務量のボリュームがかなり大きくないと元がとれない。もっと小さなシステム・ソフト開発は日本人がソフト会社に所属して客先企業へ派遣されて行っている。そこで人が足りないのだ。
これはあるソフト会社の募集内容だ。
・・・・・・・
流通業、製造業、金融業、通信業等の大手優良企業へ3~5名体制で参画しております。
Webシステム開発やC/Sシステム開発が中心の業務となります。
工程は要件定義~テストまでを一貫して開発を行っています。
開発言語レベルではJavaServlet、JSP、Unix-Cなどが主流です。
スキル:多少の開発経験がある方 (大学、専門学校での実習でも可)
年齢:22歳~45歳までの方
【こんな方は特に歓迎です】
◎JAVAでの開発実務経験が3ヶ月以上ある方
◎「経歴はあるけれど、自信が持てない」という方
◎「スキルUPをしたい」と考えている方
・・・・・・・・
この手の募集は多いが、これなら教育訓練でなんとかなるのではないだろうか。
2.経理人材
簿記3級程度の資格と実務的な教育訓練経験があれば、派遣社員や紹介予定派遣としての採用は確実だ。またいまは経理事務のアウトソーシング会社も多く正社員としての採用も見込める。何よりもほとんどの中小企業では人材不足が深刻で、「即戦力」として採用されるだろう。
以上のIT、経理は専門学校も多く教育のノウハウも確立しているので、ワーキングプア対策として教育訓練を民間委託する場合に困ることはない。就職率をインセンティブとして委託すればすぐに効果が現れるだろう。
ただし大事なことは、ワーキングプアから脱出するためには、自分の生産性を上げるだけでなく、生産性の高い業種の企業に就職しなければならない。少なくともそのチャンスがあるかどうかだが、少なくともこの二つの分野ではその可能性がある。
よく職業訓練として行われている福祉関係は、業界の生産性が極端に低く、ホームへルーパー資格などはワーキングプアを再生産するだけだ。農業訓練もそのたぐいだ。
だいたい「働く貧困層問題の本質」が生産性の低い業種・業界にあることが指摘されていないのがおかしい。生産性が低いから個人の労働生産性も低くなるのでなないか。
それはさておき、実務経験のない「即戦力」の二つ目の意味は、特に高卒、大卒、第二新卒など若い人にとっての「即戦力」とは何かということだが、長くなったので次回に回すことにする。
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登録日:2006年 10月 15日 03:06:56
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- Ryuichi Himori
- (男)
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- 団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教授に転職しました。肩書きは日本文化政策学会理事、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事、(社)指定管理者協会理事長などいろいろ。公共経営・行政経営(NPM)、文化政策、アートマネージメント、NPO論などを研究しています。
というような立場を離れて、勝手なことを書かせていただきます。
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