2006年 12月 06日

増税についての集合的無意識の在り処

日経ビジネスの「敗軍の将、兵を語る」欄に石弘光前政府税調会長のインタビューが載っている。

そこに「税収の増加だけで物事が100%解決できる段階はとっくに過ぎています。」「ところが、とりあえず経済さえ成長していれば増税の上げ幅は少なくて済むんだなんてことを政府は平気で喧伝する。ツケを先に回せば回すほど、将来の世代が払わなければならない借金が増えていくにもかかわらずです。」と書いてある。

さて、この増税ということについて、「集合的無意識」はいまどのような感覚なのか想像してみよう。

石前会長がサラリーマン増税をぶち上げたときはマスコミの袋だたきにあった。そのときは「集合的無意識」も反発を感じただろう。それは政府の歳出削減意欲がまだ本気ではないこと、税の補足率是正に真剣ではないことを感じたためだ。
また、やっと経済が回復を始めた時期に消費税を上げて足を引っ張った橋本政権の記憶も新しかった。

しかしいまはどうだろうか。

隠れ借金も含めて1000兆円の債務は人々の意識に確実に影を落としている。日本全体が夕張市だと感じているだろう。

だから今の政府の成長路線には疑問を感じているはずだ。成長優先路線に乗じてまた無駄な支出を増やすのではないかと疑っているのだ。経済成長のためと称して無駄金使ったり、経済成長で増えた税金を借金返済に回さずに無駄な公共事業をやるのではないか、という疑念は払拭されていない。

そもそも46兆円の税収が景気回復で56兆円(20%アップ!)になっても、増加分を全て借金返済に回しても焼け石に水だということは誰でも知っている。(プライマリーバランスがとれるだけで借金は減らない。)

だから選挙のためと称して消費税増税の先送りや、道路特定財源の一般財源化の実質先送りなどが続くと、現政権は見限られるだろう。馬鹿にされていると感じるからだ。

いまの「集合的無意識」には、「政府も徹底して身を削ります。だから早く消費税上げさせてください。そして少しでも早く借金返させてください。早く返さないと少子高齢化で持ちません。お願いします。」というメッセージが一番効くはずだ。

政府もマスコミも、いまの「集合的無意識」の在り処からかなりずれている。なめると怖いことになるだろう。

*参考:誰でも知ってる財政構造(一般会計、単位兆円)
収入             支出
税収     46      一般      46  ←内20が社会保障費
その他     4     地方交付税  15
新たな借金 30     借金返済    19  ←均衡するとプライマリーバランス
計       80     計        80

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登録日:2006年 12月 06日 19:14:42

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Ryuichi Himori
(男)
団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教授に転職しました。肩書きは日本文化政策学会理事、行政経営フォーラム副代表、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事などいろいろ。行政経営(NPM)、文化政策、アートマネージメント、NPO論、都市政策などを研究しています。
というような立場を離れて、勝手なことを書かせていただきます。
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