2007年 02月 22日

知事のモラルハザード

筆者の住む県では、平成21年3月の開港を目指して空港の建設が進んでいる。

福島空港、松本空港など何かと話題の地方空港だが、バブルのころの計画が20年たってやっと目処がついたということで、既に時期を逸している感がしないでもない。なぜ、まだ完成していないことを幸いに、20年間の経済情勢の変化を反映して計画を見直すことができないのだろうか。(当然県民にも責任がある)

先日テレビを見ていたら、知事も出演して空港問題の討論会をやっていた。

その中で知事が次のような発言をしていた。「建設費の500億円はインフラだから回収しなくていい。採算は建設後の維持費の問題だ」(本当は周辺整備も含め17年間で1900億円)。
それに対して討論者の慶応大学の中条教授が「その考えは困る。500億円の建設費は県民だけではなく全国の納税者が負担した。全国の納税者は、過疎の離島なら空港建設負担もやむを得ないが、豊な県の空港をなぜ自分達が負担しなければならないのか、と考えるだろう。空港が充分に活用されない場合、維持費の赤字だけでなく建設費も含めて県民が負担するくらいの覚悟が必要だ。その覚悟は県民にあるのか」と噛み付いていた。それに対して知事は要領の得ない答えをしていた。

起債して元利償還金を交付税でもらったり、補助金をもらったりで知事の念頭からは建設費を全国の納税者がまかなっているという観念が完全に欠落している。空港はとりあえず国から与えられたとしか思っていなかったらしい。それをモラルハザードと呼ぶ。
知事はさらに「年間維持費は5億円で県の大型複合文化施設より安い。赤字になっても大したことはない」と言って「いや5億円は大したことないとは言えないでしょう」と中条教授にたしなめられている。

ある地方新聞に載った航空会社幹部の話を引用する。
「開港時は国交省や自治体から圧力がかかるから、何とか飛ばすが、半年もすれば(客数)のメッキがはがれ、便は切ることになるだろう。神戸空港がその典型だ。離島なら使命として守るが、恵まれた所は赤字補償されてもお断り。せっかく新調する機材をそんなことに使う余裕はない。うちがつぶれてしまう」。

このような姿勢の民間の航空会社と知事と、どちらが公共性を考えていると言えるだろうか。

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登録日:2007年 02月 22日 17:02:39

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プロフィール
Ryuichi Himori
(男)
団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教授に転職しました。肩書きは日本文化政策学会理事、行政経営フォーラム副代表、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事などいろいろ。行政経営(NPM)、文化政策、アートマネージメント、NPO論、都市政策などを研究しています。
というような立場を離れて、勝手なことを書かせていただきます。
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