2007年 05月 10日

ふるさと納税と東京のインフラ整備

安部総理は住民税の一部を自分の故郷などに納税する「ふるさと納税」を検討しているらしい。

それはまことに結構なことである。今日あらためて事務所を見回してみると、近くにいる6人のうち、2人が地元出身、筆者を含め4人が東京都出身だ。この4人が東京に納税することになるのはまことに喜ばしい。

それはなぜか?

東京都はインフラ(公共施設など)が立ち遅れているからである。

老年人口(65歳以上)10万人当たりの老人福祉施設数は、全国平均は158.7だ。都道府県1位は島根県の249.5、2位が長崎県の222.6。

ではワーストは?46位神奈川県で110.5、栄えある47位は東京都で94.6。島根県の半分以下である(2004厚労省)。東京都では特養など施設不足が深刻で、周辺県への「越境入所」が盛んだが、これもまもなく規制されるという。

それでは文化施設はどうか。例えば人口187万人の三重県の公立文化施設協会加盟館は27館。人口6.9万人に1館あることになる。筆者のふるさとである東京都大田区は人口66万人、文化ホールは4館しかない。もし三重県と同じ比率なら9.6館なければならない。
地方の1万人の町に1館造るなら、大田区には66館なければならない。

余談だが、よく地方の公立文化ホールが稼働率が低いとか、事業をやっても客が入らないという話がでる。それは当たり前だ。もし大田区にホールを66箇所造ったら同じようにほとんど使われないだろう。地方の文化度が低い云々の問題ではない。

さて、地方には、あまり交通量がないが立派なトンネルや高速道路がある。大田区では京浜急行が地上を走っているために、いまだに「開かずの踏み切り」があり、慢性的に渋滞している。交通量の多い環状8号と京浜急行もいまだに路面交差だ(現在工事中)。地方と大田区と、どちらに公共投資したほうが経済効果があるか、比べるまでもない。

東京都は人口が多い。だから、筆者のように今は住んでいないが東京都がふるさとの人が多い。「ふるさと納税」制度ができたら地方から東京への納税額が多く、制度の発案者はあわてることになるだろう。
それで「ふるさと納税」により地方に比べ立ち遅れた東京のインフラの整備が促進されるのであれば結構なことだ。

いくら東京ミッドタウンや新丸ビルができても我がふるさとの住民にはなんの関係もない。住民にとって大事なことが、充分になされていないのが今の東京なのである。オリンピックをやっている場合ではないだろう。

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登録日:2007年 05月 10日 22:38:19

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プロフィール
Ryuichi Himori
(男)
ryuichi.himori@gmail.com
団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教授に転職しました。肩書きは日本文化政策学会理事、行政経営フォーラム副代表、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事などいろいろ。行政経営(NPM)、文化政策、アートマネージメント、NPO論、都市政策などを研究しています。
というような立場を離れて、勝手なことを書かせていただきます。
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