2007年 11月 23日

NPOを元気にしよう!パワーアップ塾

画像

先日はタイトル講座の講師をした。与えられたテーマは「磨き上げる~経営力をつける」ということで、NPOの事業計画の作り方を中心にしてほしいと依頼された。

普通なら、事業計画のフォーマットを示してその埋め方を説明し、最後は損益計算書の作り方でしめる、ということになるが、今回はあえて違う内容にした。

筆者はかねてから、NPOは事業計画をつくる以前に誰に、どのようなサービスを提供し、その対価は誰が負担するのか、という根本的な事業コンセプトがあいまいな団体が多いと感じていた。

そこで今回は「顧客の定義」から入ることにした。少し長いが、当日使用したレジュメを転載する(図表は略)。

「磨き上げる」~経営力をつける

1.NPOの事業とは(桧森説)

・社会的な価値を生み出す(提供する)こと
   新たなサービス、あるいはアドボカシー(NPOが提供する)
   理念・目的の実現(しかし理念・目的に社会的な価値があるか要検証)
・市場からも政府からも充分には供給されないこと
  (ある程度)外部性がある、非効率(小規模)の効率化、スキル
・継続的に、持続可能な形で実施すること
・そのために必要な資源(収入・労力など)を調達すること
営利企業は収益をあげるために事業を行うが、NPOは事業を行うために収入を確保することを望む
・しかし、企業と同じマネージメントが必要なこと
  
2.NPOの事業計画とはその1(桧森説)

・フォーマットを埋める前に、事業コンセプトを明確にすること(事業の定義)
・事業の定義とは?
    1.顧客の定義 (1)サービスを受ける人
               (2)間接的な受益者(委託者も含む)
               (3)共感者・賛同者
    2.提供するサービスの定義
    3.費用の負担者の定義
    4.体制・組織(誰がやるのか)の定義
    5.これらの定義を裏付ける理念とは?

3.NPOの事業計画とはその2(桧森説)

・事業計画のフォーマット例(数値編は別途)
 (フォーマット例・・・・略)
・重要なのは目標と時系列

4.事業コンセプト1:顧客の定義(外国人就労支援NPOを事例として)

・サービスを受ける人は誰ですか?(直接的受益者)
   12歳~20歳の外国人不就学青少年
・間接的な受益者は誰ですか?
   外国人に不安を感じる地域社会の人々
   外国人問題の解決を迫られている行政
   外国人を雇用しようと希望する企業
・共感者・賛同者は誰ですか?
   外国人との共生を願う一部の市民
   問題意識を持つ教育関係者

5・事業コンセプト2:提供するサービスの定義

・誰にどのようなサービスを提供するのか?
・サービスの内容があいまいなケースが多い
   「子育て支援のために、子育て中のお母さんが集まって交流するカフェを作りたい。子育て経験者にも来てもらい、アドバイスができるようにしたい。」
このケースでは、誰にどのようなサービスを 提供しようとしているのか?

6.事業コンセプト3:費用負担者の定義

・提供するサービスの費用負担者は誰ですか?
   サービスを受ける人からの対価か?
   間接的な受益者の応分な負担か?
   共感者・賛同者からの寄付、助成か(会費、労力提供も)?
・ポートフォリオを考える
   誰がどれくらいの割合で負担するのか?
   サービスを受ける人が費用を全額負担できないとき、ゲタを  
   はかせるのは誰か?
   会費・寄付・助成・委託事業収入・サービス対価・・・・

7.事業コンセプト4:体制・組織の定義

・事業を実施するのは誰ですか?
    理事?会員?事務局?有償ボランティア?無償ボランティア?
   イベントごとに集まる人?発注先の専門家・業者?
・ボランタリーの活動の場を作るのがNPO
    だとすれば、事業の実施とは別に、活動を支える組織が必要となる。
企画・総務・経理財務・人事労務・広報渉外・・・これがNPO
   最初からこのような体制をつくることが重要
  
8.事業コンセプト5:理念

・活動を支える理念とは?
・その理念は社会の共感を得られるか?
・外部にわかりやすく表現できるか?
  (寄付・助成・ボランティア活動のためのプレゼンテーション)
・ステークホルダー理事・会員・事務局・協力者・顧客などの間で共有できているか?
・事業計画は変わっても理念はかわらない(手段が変わっても、目的は変わらない)

この講義のポイントは、ひとつは顧客の定義」から入って理念、目的を最後に持ってきていることだ。NPOは思いが先行して理念はいくらでも述べられるのだが、顧客を定義することによって事業コンセプトが明確になる。

二つ目は、企業とNPOの事業計画の違いを明らかにしている点だ。企業は収益を上げることが目的でそのために費用(経費と原価)を遣う。NPOは事業を実施するために費用(経費と原価)を遣い、その費用をどのように賄うかを考える。つまり企業とは逆なのである。

このような内容が受講者に少しでもお役に立てば幸いだが、筆者にとっても勉強になっているのでありがたい。

カテゴリー[ NPOについて ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2007年 11月 23日 21:55:23

カレンダー
< 2007年 11月 >




1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30
プロフィール
Ryuichi Himori
(男)
ryuichi.himori@gmail.com
団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教授に転職しました。肩書きは日本文化政策学会理事、行政経営フォーラム副代表、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事などいろいろ。行政経営(NPM)、文化政策、アートマネージメント、NPO論、都市政策などを研究しています。
というような立場を離れて、勝手なことを書かせていただきます。
(なお、mixiもやってます。)
最近のコメント
[09/07] 行政の解体と再生 nebu
[09/06] 行政の解体と再生 himori
[09/06] そうだ京都へ行こう honey
[09/06] 行政の解体と再生 himori
[09/06] そうだ京都へ行こう himori
[09/06] はじめてのトヨタ himori
[09/06] はじめてのトヨタ himori
[09/04] 行政の解体と再生 nebu
[09/03] そうだ京都へ行こう honey
[09/02] はじめてのトヨタ BDPマスター
最近のトラックバック
お気に入りリンク
検索