2007年 12月 06日
財政論争に割り込んだ日本経済新聞変節の謎その3
3.いまさらのネズミ講財政論の裏には何があるのか?
魚住昭著「メディアと権力」(角川2007)によれば、記事の論調変化の裏側には必ず権力側の理由があるという。財政論争が行われているこの時期に、このような論争の根本を覆すような記事を出す日経の意図はなんだろうか?
これまでの日経の主張はどちらかといえば「上げ潮派」に近いように思えたし、税金だろうと国債(これも最後は税金で返済する)だろうと民間から資金を吸い上げて財政を拡大する(官が使う)発想は戦前からの統制官僚の伝統を思わせ、「財界機関紙」たる日経とは思えない。いったい何があるのだろうか?
社説などではなく、小さなコラムであることを考えると、何かの「観測気球」なのだろうか?
それを知りたいと思うが、どなたかご存知の方がいたら教えていただきたい。とても興味があるので。
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登録日:2007年 12月 06日 15:02:50
財政論争に割り込んだ日本経済新聞変節の謎その2
2.日本経済新聞のトンデモ財政論
日本経済新聞12月5日付朝刊の「大機小機」欄で、「越渓」と署名のある記者が「そもそも財政再建は必要ない、財政支出増を国債の増加で賄え」と主張したのである。
その論旨はこうだ。
「政府は2011年度までの基礎的財政収支の黒字化を目標に、財政支出削減案や増税案を発表しているが、本当に必要か?
公共支出を減らせば補修すらできなくなってしまう。長期的には鉄道や道路はまだまだ必用だ。自然災害の多い日本では治山治水対策も充分ではない。少子高齢化で社会保障負担も増加する。
それを増税や歳出削減で賄うのは無理だ。国債発行増加で賄うべきだ。国際収支は大幅黒字、企業部門も巨額の貯蓄超過、個人部門も黒字で国債を引き受ける余地は大きい。国債の金利は低い。金利負担の増加は心配ない。
11年度の財政支出黒字という目標は先送りすべきだ」
こんなことができるなら誰も苦労しない。今までの小泉改革だの格差拡大だの財政論争などはいったい何だったのか、ということになる。
反論はいろいろあるが、とりあえず「越渓」氏は、同じ日本経済新聞12月3日付朝刊の土屋丈朗慶大准教授による「経済教室―エコノミストトレンド“巨額赤字でも低金利の怪”」を読んでいないらしい。
詳しくは読んでいただきたいが、簡単にいえばこういうことだ。
国債の金利が低い理由は一つには政府が将来の財政赤字縮小にコミットしていることだ。だから金を使い始めたら金利は上がる。
次に、国債金利が経済成長率より低いと財政健全化のための大幅増税や歳出削減は不要になる。
これは家計に例えると、「今年の所得分を消費するとともに借金し、来年に元利返済すれば、その額は経済成長で増える来年の所得より少なくなる。来年の所得で返済してまたお金を借りる」ということになる。
これを繰り返して借金を後世に付回せば、これは立派な「ネズミ講」である。
(まだ続く)
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登録日:2007年 12月 06日 14:56:40
財政論争に割り込んだ日本経済新聞変節の謎その1
昨日12月5日付日本経済新聞朝刊「大機小機」欄を読んで沸いた疑問である。
1.財政論争
政府・自民党内には財政論争があると言われている。
日経ビジネス2007年12月3日号の記事「時流超流―景気深読み」によればそれは「タカ派」対「上げ潮派」の論争だという。「タカ派」は自民党の与謝野馨氏や谷垣政調会長、「上げ潮派」は中川秀直前幹事長や竹中平蔵慶大教授だ。
どちらも財政再建が重要だ、という点では一致しているが簡単にいえば「タカ派」はGDP名目成長率が増えても同時に歳出も増えるので増税が必用だ、そして名目成長に期待するのは「神頼み」だという、つまりデフレを前提にした考え方である。
それに対して「上げ潮派」は歳出カットこそが改革であり、GDPに連動して歳出が増えるという考えは改革放棄だと、と主張する。税収増加を目的に名目成長率3~4%を目指しても先進国より控えめで、さらに特別会計に余裕資金もある(タカ派は特別会計の資金は目的があり、取り崩せない。非現実的な埋蔵金伝説だと主張)ので増税は最後の手段だ、という考えだ。こちらは金融政策によるデフレからの脱却が先決という考え方である。
う~ん、財政再建は必要だが、増税はいやだな。でも成長率に期待するのはやっぱり神頼みだし、かといって歳出カットをしない、特別会計に手をつけない、というのは政治家と役人の無駄遣いを温存するし、どっちがいいんだろう、とぐだぐだ考えていたら、日本経済新聞が突然「そんなの関係ねぇ!」という主張を出してきてぶっとんだ。
(長いので続く)
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登録日:2007年 12月 06日 14:52:18
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- Ryuichi Himori
- (男)
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- 団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教授に転職しました。肩書きは日本文化政策学会理事、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事、(社)指定管理者協会理事長などいろいろ。公共経営・行政経営(NPM)、文化政策、アートマネージメント、NPO論などを研究しています。
というような立場を離れて、勝手なことを書かせていただきます。
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