2007年 12月 15日

「日本的創造都市論」批判 その3

画像

写真はヤマハウィンドミディコントローラーWX7 1989年ニューヨーク近代美術館永久展示 デザイン:ヤマハ㈱デザイン研究所(浜松市)

生活文化創造都市拡充プロジェクトCreative Japan 全国大会2007in 浜松に参加して(その3)


5.クリエイティブ・クラスはどこにいる?

地方都市が創造都市という概念を導入して政策を立案し、地域経済や都市そのものを活性化しようとする。学者やコンサルタントがよってたかって手伝う。こういうことに水を差すのは無粋な気がしないでもない。しかし間違った事実の上に政策を考えても無駄を生じるだけなので、あえて指摘を続ける。

日本ではクリエイティブ・クラスの発見は難しい。なぜならば、終身雇用の大企業が高付加価値の製造業系創造産業である日本では、クリエイティブ・クラスの人たちは企業内に抱え込まれているからである(ゲイは少ないと思うが)。

例えば、浜松市は日本でも有数のプロダクト・デザイナーの集積地である。ニューヨーク近代美術館に永久展示されている世界のエポックメイキングな工業デザイン製品のうち、4点は日本の浜松で生み出された。こんな地域は日本のどこにもない。

しかし彼らは企業内デザイナーである。だからデザイン産業としては顕在化しない。この地域のスズキ、ヤマハ、ヤマハ発動機など大手企業はデザイン部門をこの地に置き、たくさんのデザイナーを雇用して世界的に優れたデザインの製品を生み出している。

このような企業内に抱え込まれたクリエイティブ・クラスの人たちに、どのように地域社会に役立ってもらうかは、日本の創造都市を考えるときのひとつの課題である。浜松市では企業のデザイン部門のひとたちが、企業の社会貢献の一環として大学で教えたり、地元の中学のキャリア教育の授業を支援している事例がある。

企業内クリエイティブ・クラスの人たちによる、このような人材育成などへの協力や、何よりもプライベートな時間に街中で様々な活動を起こしてもらうことは重要だ。そのために彼らをもっと引っ張り出す仕掛けが必要だろう。それが創造都市への近道のひとつだ。

事実、浜松市で様々なジャンルの音楽演奏人口が多いのは、プロはだしの楽器メーカーのデザイナー・技術者が演奏を楽しんでいるからである。

しかし大企業の製造業系創造産業がない都市はどうしたらよいのか?
そのためには、製造業系創造産業よりもさらに高付加価値の産業に目を向ける必要がある。それは何か?

(続く)

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登録日:2007年 12月 15日 00:58:39

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プロフィール
Ryuichi Himori
(男)
ryuichi.himori@gmail.com
団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教授に転職しました。肩書きは日本文化政策学会理事、行政経営フォーラム副代表、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事などいろいろ。行政経営(NPM)、文化政策、アートマネージメント、NPO論、都市政策などを研究しています。
というような立場を離れて、勝手なことを書かせていただきます。
(なお、mixiもやってます。)
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