2008年 01月 05日
究極対至高

筆者は地方都市が売り物にしようとしている「食」については、かなり辛い点をつけることが多い。
それは、素材がよくても調理技術が劣っているからである。料理はアートの世界だ。修行を積み、技術を極め、さらに高みを目指した者のみが普遍性を獲得する。
例えば、大森海岸にある蕎麦屋「布恒更科」の鴨南蛮は究極の逸品である。
分厚くジューシーな鴨肉はこれ以上焼くと固くなるぎりぎりの火加減だ。香ばしく焦げ目のついた長ネギは口の中でとろける。そして鴨のつくね団子は形容のしようがないおいしさだ。やや濃い目の汁に細打ちの蕎麦。薬味はねぎと山椒がついてくる。
けして気取った店ではない。昔ながらのしもた屋風の店構えは山の手の近所の蕎麦屋という風情だが、蕎麦にこだわりご飯ものは無い。割烹着姿のおかみさんが接客し、会計は五つ玉のそろばんである。これがことさらに誇示しない伝統というものだ。
浜松はうなぎが名物だが調理技術が一流というわけではない。宇都宮は餃子が名物だが至高の餃子があるわけではない。食で町おこしをしようとするのであれば、素材を生かす技術を追求し洗練する必要がある。それには究極対至高のような切磋琢磨の競争が必要だろう。
そんなことを考えさせてくれる東京の知る人ぞ知る名店である。
http://www1.cts.ne.jp/~masu/shinagawasoba/nunotsune.html
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登録日:2008年 01月 05日 00:52:12
- プロフィール
- Ryuichi Himori
- (男)
- ryuichi.himori@gmail.com
- 団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教授に転職しました。肩書きは日本文化政策学会理事、行政経営フォーラム副代表、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事などいろいろ。行政経営(NPM)、文化政策、アートマネージメント、NPO論、都市政策などを研究しています。
というような立場を離れて、勝手なことを書かせていただきます。
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