2008年 01月 08日
社員食堂の変遷
弊社の社員食堂の運営は1月7日より外部の大手給食会社に委託された。
社員食堂はもともとは直営であり、人事厚生部門のひとつだった。その後1979年に厚生サービスを専門とする子会社が設立され、運営は移管された。しかし移管された当初より食堂利用者の数は四分の一以下になった。生産が国内や海外の子会社に移転したためである。このため子会社の経営が立ち行かなくなり、今回の外部委託となった。
これを社員食堂の調理や配膳をするおばちゃんの観点から見てみよう。おばちゃんは最初は正社員であり、工場の工員さんと同じ給料をもらっていた。これが子会社の社員になり、給与水準はさがった。そして今回は給食会社のパート社員であり、給与水準は更に大幅に下がった。
もちろん同一人物の給与がこのように変遷しているわけではないが、まったく同じ仕事をしている人の給与水準がこのように下がっている点に注目してもらいたい。社員食堂のおばちゃんの仕事内容になんら変化はないのだ。
これが今日本全体で起こっていることの本質である。グローバルな競争の中で、企業の生産性ではなく仕事の生産性によって給与が決まるようになってきたのだ。これを格差の拡大ということもできる。しかし世界で競争力のある製品を作る工員さんの給与水準と、食堂のおばちゃんの給与水準が同じというのも考えて見れば不自然だったともいえる。
企業がグローバルな競争に勝ち抜くために筋肉質になり、生産性を高めるために贅肉をそぎ落とせば、格差は拡大し、平均的な給与水準は下がらざるを得ない。
この給食会社が生産性を高め、パートのおばちゃんの給与が再び上がるかどうかはこれからの問題だ。企業が脱ぎ捨てた贅肉を集めて規模を拡大するとともに創意工夫で食堂のおばちゃんの生産性と付加価値を高めることができるかどうかにかかっている。
さて、外部委託になって変わったことといえば、サンプルを並べて白熱灯をあて、おいしそうに見せる工夫がされた程度だ。1月7日のメニューには「ころもはさくさく中はジューシーさぼてんのとんかつ」というのがあった。食べたおじさんたちが「サボテンのとんかつといっても中身は豚肉じゃないか」「衣にサボテンがまぶしてあるのか?」などと騒いでいる。
もちろんこれは植物のサボテンに衣をつけて揚げたのではなく「とんかつ専門店新宿さぼてんのとんかつを使用しています」という意味なのだが、我が町には新宿さぼてんの店舗がないため誰もわからなかったのだ。
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登録日:2008年 01月 08日 21:45:59
ニューヨークのオープンマイクはジャズの修行になるか?

今日は新年最初の出勤日。年末から年始にかけてニューヨークに出張して今年のジャズフェスティバルに出演するランディ・ブレッカーと打ち合わせをしてきた部下の報告を聞く。
話の中で面白かったのが、ニューヨークに大量にいる日本人女性ジャズボーカリスト志願者の話。だいたい20代後半くらいの女性で、お金をためてジャズの勉強にくる。
彼女たちのほとんどは、ニューヨークで音楽学校に通っているわけではない。それは専門学校だと半年で100万円くらいの学費がかかってしまうからだ。では何をしているのかというと、バイトしながら語学学校に通っている。
では音楽の勉強はどこでしているのか?ニューヨークのジャズクラブにはオープンマイクというのをやっているところがある。曜日や時間によって素人が申し込めば自由にマイクを使って歌ったり演奏したりできる。ステージにはピアノトリオがいて伴奏してくれる。いわゆるジャム・セッションだ。ここでお客さんの反応に鍛えられて度胸がついたり、バックのミュージシャンからアドバイスを受けることもある。個人レッスンをしているボーカルの先生が弟子を引き連れて繰り込むこともある。
写真のクレオパトラス・ニードルもそんな店。何しろミニマムチャージが10ドルと安いので腕試しの人たちで盛況だ。だから世界中から集まってくる(最近は圧倒的に日本人が多いが)。http://www.cleopatrasneedleny.com/
しかしこれで本当に実力がつき、プロになれるのかといえばそれは疑問だ。もちろんジャズクラブには大物ミュージシャンも来るし気が向けばジャム・セッションに参加することもあるので、そこで見初められることも無いとはいえない。が、音楽の世界は夜な夜なニューヨークの本場の雰囲気に浸っていれば実力がつくほど甘いものではない。
まあ彼女たちにとってはモラトリウムというか現代版花嫁修業ということなのだろう。ニューヨークでジャズボーカルの勉強をしてきたと言えば、ちょっと格好いいではないか。ダンスや演劇の勉強もそうだが、お金にゆとりのあるニッポンならではの風俗で、いいお客さんである(アジアの他の国の人たちは「自分探し」ではなく食うためにやっているので「好きなことを真剣にやる」というのとはまた違うガツガツ感がある)。
ここで世の親御さん方に申し上げたい。もし娘がニューヨークにジャズボーカルを勉強しに行きたい、と言い出したらなんと言うか?ちょっと長期で観光に行くついでにかじる、という程度ならYES(お互い観光と割り切る)。本格的に勉強してその道を究めたいという希望ならNO。その代わりダラス郊外のノーステキサス大学の音楽学部か、ボストンのバークリー音楽大学へ正規の留学をさせる(いずれも日本人は多いが)。
アメリカでは大学・大学院レベルのジャズ教育のメソッドが発達しており、体系的に学べる。もちろん才能の問題があるのでプロになれるのは一握りだが、将来のキャリアを考えた場合、少なくともいろいろつぶしが利くだけの幅広い知識と学位が身につく。それにニューヨークは遊ぶところが多すぎるが、少なくとも大学ではある程度隔離され、強制的に課題を与えられる。1000万円程度の学費は覚悟しなければならないが。
それにしても、パフォーミングアーツの修行や創造活動に世界中から人が集まるニューヨークはやはり創造都市の本家だ。それに比べれば、誰もこない(単に見せて稼ぎに来るだけの)東京は単なる田舎の消費都市なのか?それともパフォーミングアーツの代わりにOTAKUを惹きつける創造都市なのか?
後藤和子先生は「文化と都市の公共政策」(有斐閣、2005)の中でエーベルトの論文を引用し「創造都市においては、人々がオーケストラというよりジャム・セッションのように振舞うインプロビゼーションの過程やジャム・セッションのようなネットワークが重要である」と述べている。期せずしてジャズの用語が使われているが、これに近いのはニューヨークか東京か・・・・・・
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登録日:2008年 01月 08日 00:45:45
- プロフィール
- Ryuichi Himori
- (男)
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- 団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教授に転職しました。肩書きは日本文化政策学会理事、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事、(社)指定管理者協会理事長などいろいろ。公共経営・行政経営(NPM)、文化政策、アートマネージメント、NPO論などを研究しています。
というような立場を離れて、勝手なことを書かせていただきます。
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