2008年 02月 23日
シューカツの真実 その2

5.船主=株主と船長=社長の関係
東インド会社は船主である株主によって成り立っている会社だ。もちろん会社の共通の事務をとる書記が少数雇われているし、個々の船主の家令や秘書も会社の仕事をしている。しかし、世界の情勢や商品の市況を読みながら、どの船長にどの船を任せ、どのような交易品を積み込んでどこへ向かわせるかを考える、つまり戦略を考えるのは船主たちの仕事だ。経験豊かな船長といえども、命じられたところへ行き、命じられた交易を行うだけだった。
現代の企業ではそれらの船主=株主の仕事はかなりの部分船長=社長(規模が大きければ、船団の長が社長で個々の船長は事業部長かもしれない)に任されているように見える。それでも会社は株主のものである。船長=社長の判断の正しさは株主に評価され、その評価は株式市場で表明される。結果が悪ければ解任されるのは当時の船長も現代の社長も変わりはない。
会社の本質は資本を出し合って事業(交易のための航海)を行い、資本を増やすことである。船(設備)と船長(社長)と水夫(社員)はそのための手段である。なお、16世紀には船主兼船長(船長が船の所有者)が多かったのだが、このようないわばオーナー企業は17世紀には激減した。交易が一攫千金の冒険ではなくなり、大きな資本を必要とする事業になったためである。これも現代の企業と似ている点である。
なお、当時は雇われて定期的に給料をもらおうと思っても、書記や秘書には教育のある少数のエリート(中流階級だが今よりはるかに人数が少ない)しかなれなかった。庶民は水夫くらいしか給料のいい仕事はなかった。水夫の給料は農場の労働者のおおよそ3倍だった。
エリートならざる現代の見習い水夫は、このような会社の本質をまず理解しなければならない。そして水夫には船主とは異なる水夫の道があるのである。
(続く)
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登録日:2008年 02月 23日 23:56:12
- プロフィール
- Ryuichi Himori
- (男)
- ryuichi.himori@gmail.com
- 団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教授に転職しました。肩書きは日本文化政策学会理事、行政経営フォーラム副代表、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事などいろいろ。行政経営(NPM)、文化政策、アートマネージメント、NPO論、都市政策などを研究しています。
というような立場を離れて、勝手なことを書かせていただきます。
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