2008年 05月
ある日の授業

(写真は国連ボランティア計画より)
筆者の授業はこんな感じ。
「教科書のここ読んで」
「・・・外部支援者本位のやり方に陥るのを避け、コミュニティの住民のやり方を尊重し、持続可能な開発をめざすコミュニティに根ざした参加型開発は今日の開発援助では非常に重視されている。住民の組織化、協議、合意形成を図る地道な取り組みを通して、NGOが撤退しても生活改善を住民自身で進めていける力をつけるような援助のあり方が求められている。・・・」
「これってどういうこと?参加型開発ってなに?」
「あ~わかりません」
「君の家どこ?」
「え?安城ですけど」
「安城の都会?田舎?」
「田舎です。周りは田んぼばっかり」
「だったら、となり近所に、たくましくて生活力旺盛で学歴はないけど知恵のあるおばちゃんがたくさんいるだろう」
「いますいます」
「知識はないけど、どうしたらみんなで一緒に農作業をうまくやれるか、というような知恵はたくさんあるしたたかな田舎のおばちゃんたち。こういうおばちゃんたちは世界中どこの田舎にいってもいるんだよ」
「そうなんですか?」
「そうさ、タンザニアの山奥でもラオスの農村でも、どこに行ってもいる。で、そこへ、ハーバードやスタンフォードの大学院で開発援助学みたいなのをぎっしり頭に詰め込んだ青年が、NGOの看板と資金をもって山奥の村にやってきて、「皆さんを援助するためにやってきました。皆さんが豊かになる方法を教えます」と言ったら、おばちゃんたちはどう思う?」
「ばかにすると思います。自分たちのことを何にも知らないくせにって」
「そう、ばかにするだろうね。そしてしたたかだから言うこときくふりしてお金と資材をふんだくろうとするかも知れない。そうしたらせっかく来てもNGOが帰ったらもとの黙阿弥になってしまう」
「どうすればいいんですか?」
「大事なのはこのおばちゃんたちの知恵を借りることさ。「自分たちはお手伝いしたいけどどうすればいいでしょう?」と謙虚におばちゃんたちに聞く。おばちゃんたちもどうしたら自分たちが貧しさからぬけだせるか、内心わかっている。長年の生活で培った知恵があるからね。ないのはお金と具体的な知識だけだ。一緒に話し合って解決策を考え、おばちゃんたちが仲間をつくって始める。それをNGOが資金と知識でサポートする。村の誰に話したらうまく根回しできるか、どうしたら皆でいっしょにできるか、こういうことにはおばちゃんたちは知恵が働くからね。井戸端会議で情報通だし。外から来たNGOがいくら知識を振り回しても誰もついていかない。村の人たちがその気にならなければ開発なんてできない。その鍵を握っているのがおばちゃんたちだ。君の近所のおばちゃんたち見てもわかるだろう。これが参加型開発ということだ。わかった?」
「よくわかりました。ところでなぜおばちゃんじゃなきゃいけないんですか?男じゃだめなんですか?」
「男はだめだ。見栄っ張りだから。えらそうなこと言ってもちっとも動かない。あるいは夢ばかり見ている。その点おばちゃんたちは子供を抱えているから話が具体的で行動力もある。だから前にも話したようにグラミン銀行も男じゃなく女に貸す。97%が女への貸し付けだったよね。女のほうがまじめで返済もきちんとしているし。田舎のおっさんはちょっと金が入ったら酒飲むかギャンブルする。これも世界共通だ」
「なるほど」
あるとき学長に「私、難しい言葉で説明できないんですがいいんでしょうか?」と聞いたら学長が「それでいいんです。学生の前で難しい言葉を並べるのは学者の自己満足です。やさしい言葉を使っておもしろくやればいいんです。一時間半笑わせていればいいんです」とおっしゃったので意を強くしている次第である。
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登録日:2008年 05月 14日 00:30:22
行政学も様変わり

昨日は学会に出席のため吉祥寺にある成蹊大学に行った。
38年ぶりの再訪だがキャンパスの雰囲気は変わっておらず、とても懐かしかった。
さて学会とは日本行政学会である。2003年にはじめて出席してから5年がたつがこの5年でずいぶん変わったなと感じたのが最初のプログラム共通論題1「公共サービス論再考」を聞いた時である。
もはや誰も公共サービスを民間に委ねることの是非は議論していない。そして行政が「マネージメント(経営)」される対象だというのは当り前の概念になっている。そして議論の焦点は「行政による公共サービスの解体」後の行政の役割や「権力」のありかた、多様な公共サービス提供主体間のガバナンス(コントロールやレギュレーションによる公共性の担保や調整)に移っている。
以前誰かから社会科学というのは新しい現象をすぐには取り上げない。取り上げるのはそれが研究対象として「落ち着いて」からだ、という話を聞いたことがあるが、なるほどこういうことだったのか、と納得させられた。
センセーショナルではないが知的に刺激的な議論になるのはさすがアカデミズムだ。筆者もこれが本職になってしまったのでせいぜいがんばらなくては。
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登録日:2008年 05月 11日 00:19:01
ITすぐれもの

ITの戦いでは敗色濃厚だが、これはなかなかのすぐれもの。
退職祝いの記念品にiPod-nanoをいただいたので、3月まで筆者が勤めていたヤマハのNX-A01を買ってつないで見た。
http://www.yamaha.co.jp/product/av/prd/speaker/nx-a01/index.html
今まで使っていたパソコン用の小さなスピーカーとはまったく別物の音質。今、モーツァルトのレクイエムを聴いているが、大きさからは信じられない大迫力である。
これは自宅なのでもうひとつ買ってみどり丸さんご指摘のように研究室にも置こうと思っている。
iPodはおもしろいというかなんというか、モーツアルトが途中なのにいきなりサンタナになった。どうしてだろう。実はまだiPodというものをよく把握していない。
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登録日:2008年 05月 08日 00:49:29
「井上ひさしさんと小田原のまちづくりを語ろう」

4月30日は「井上ひさしさんと小田原のまちづくりを語ろう」実行委員会主催のシンポジウムにパネラーとして参加した。
実行委員会は城下町ホールの見直しを求めている市民有志を中心に、小田原市の文化やまちづくりに強い関心を抱く人々で構成されている。
当日のプログラムは以下のとおり。
第一部 「文化をはぐくみ、楽しむ「場」をめぐって
主催者あいさつ
「文化・芸術によるまちづくりとホールの役割」・・・桧森隆一
「演じるものからみた使いやすいホールについて」・・・橋本英治(劇団前進座監督・演出家)
中村靖さんの独唱 ピアノ伴奏 柴田かんな
第二部
井上ひさしさんのお話
パネルディスカッション
パネラー 井上ひさし、桧森隆一、橋本英治
コーディネーター 宮島真希子(神奈川新聞)
橋本さんがかなり具体的に城下町ホールの計画の欠陥を解説されるので、筆者はその前提として、パワーポイントを使って次のような話をした。
1.自己紹介
2.科学技術と音楽のスパイラルな発展
3.経済と文化・芸術のスパイラルな関係
(地域経済にとっての地域文化・芸術は投資)
4.公共ホールの役割
5.そんな役割を果たす良いホールとは?
6.残念ながら良くないホールの例
城下町ホールはどうでしょうか?
話の中で谷川俊太郎さんの「アリオスに寄せて」という詩を引用した。
アリオスに寄せて
谷川俊太郎
からっぽはすばらしい
なんでも いれることができるから
でもいつまでも ためておかない
またからっぽにして ハコはまつ
あたらしいもの たのしいもの
ハコはいきて こきゅうしている
ハコのなかで ひとはうたう
ハコのなかで ひとはかたる
ハコのなかで ひとはおどる
ハコのなかは そととはちがう
わくわくどくどきはらはらさせる
ハコはいきて こきゅうしている
「ハコのうた」
(いわき芸術文化交流館アリオス広報紙 vol9 より引用)
公共ホールとは何か、についてはこの詩に尽きているように思う。
はたして城下町ホールはこのようなホールになるだろうか?
さて、井上ひさしさんのお話はボローニャの例を引きながら文化・芸術とまちづくりについて語りながら、引き比べて小田原での物事の決まり方や城下町ホールの現在のプランをユーモアたっぷりにちくりと批判する味わいの深いものだった。
後半のパネルディスカッションは、今まで公共ホールの設計や計画に諸々の疑問を抱いていた3人が、城下町ホールの設計を見てついに堪忍袋の緒が切れて、小田原に縁もゆかりもないのに駆け付けた、という感じがよく出ていた。
井上ひさしさんの話によると、小田原市長は「一度決まったことに反対するのはアカだ」と言ったそうだが、一部では市場原理主義者と思われている筆者までアカ呼ばわりは誠に光栄である。
厳しい財政状況の中、貴重な財源を最大限効果的に使って本当にいいホールを建て、小田原の文化・芸術やまちづくりを振興させたい。そのために、あのホール設計はないだろう、というのが当日の集まった皆さんのコンセンサスだったのではないか、というのが参加した感想である。
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登録日:2008年 05月 07日 00:56:08
記録更新

前にも書いたが、筆者は42年間毎シーズン欠かさずスキーに行っている。
今年も転職騒動などで記録が途切れそうになったが、ようやくスキーに行く
ことができた。これで43年間連続である。
場所は昨シーズンと同じチャオ御岳スキーリゾート。50歳以上のシニア一日券が2000円というのがうれしい。
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登録日:2008年 05月 04日 22:52:00
- プロフィール
- Ryuichi Himori
- (男)
- 団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教員に転職しました。その他行政経営フォーラム副代表、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事、県生涯学習審議会委員、県NPOパートナーシップ会議委員などを務めています。行政への企業経営手法の導入や、文化政策、地域政策、NPO論などを研究しています。
というような立場を離れて、勝手なことを書かせていただきます。
(なお、mixiもやってます。)
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