2008年 06月 29日
指定管理者講演会
金曜日は朝東京を発って午前中は愛知県岡崎市の大学で授業。午後は岐阜県北方町で開催された岐阜県公立文化施設協議会総会で講演。
タイトルは「指定管理者制度による文化ホール運営組織の経営改革」
内容は以下の通り。
1.はじめに
2.自己紹介
3.指定管理者制度の現状
4.指定管理者制度の本質
5.びわ湖ホール問題を通して指定管理者制度を考える
6.指定管理者制度を超えて
7.公立文化施設の存続のためには?
8.財団が生き延びるためには?
写真は当日使用したパワーポイントの一部。
当日の顔ぶれを見て、かなり脱線していろいろしゃべったので後で録音をもらいたいものだ。
以下は当日の感想である。
1.公文協メンバーの多様化
なぜ脱線したかというと、出席していた県公文協の顔ぶれが直営館、指定管理者の外郭団体、指定管理者の民間企業にわかれていて面白かったからである。ここの公文協の副会長も指定管理者の民間人の館長だった。今回の講演の質疑では民間企業の指定管理者からも質疑、意見があった。どうも今まではこの手の会合ではやや違和感を感じていたらしいが、筆者の話に触発されて発言しやすくなったようだ。
2.運営主体の多様化の影響
同質集団だった公文協に異質の企業が入ってきた。これは面白い。お互いの暗黙の前提が通用しないのだから。いままでは公立文化ホールにとって何がいいことかは暗黙のうちに共有されていたと思う。
例えば、民間企業の指定管理者には、公文協の暗黙の前提としてあった「高尚な芸術文化を地域に啓蒙する」という「上から目線」はない。
「施設を通して地域の文化振興を図る」というミッションを与えられた指定管理者にとっては、「高尚な芸術文化の啓蒙」はイコールではないはずだ。(しかも高尚と目されているのは18世紀19世紀の西洋の芸術だ)。少なくとも民間企業はそれまで公文協で刷り込まれていないので、「地域の文化振興」については「高尚な芸術文化の啓蒙」だけではないさまざまな方法を考える。
これ以外の暗黙の前提がたくさんあったと思うが、暗黙は通用しなくなったのだからひとつひとつ客観的に検証する必要があるだろう。
3.梅棹“水道方式”からの脱却
指定管理者制度以前の公立文化ホールは「幽体離脱」のようなものだった。全国公文協や地域創造で研修を受け、高尚な芸術文化を地方に普及することをミッションだと教えられた。ホールの担当者は口を開けば「うちの地域は遅れているので」と言っていた。文化に遅れているも進んでいるもないのに。だからホールは地域から遊離してしまった。それがびわ湖ホール問題の本質だ。公立文化施設の目指すものは地域それぞれ別のはずだ。
かつて梅棹忠夫は「全国どこでも蛇口をひねれば文化が出てくるように」と言い、その考えにもとづいて全国つづ浦々に公立文化施設ができた。その蛇口から出てくる文化が全国一律に「高尚な芸術文化」というのはそろそろ脱却しなければならない。
4.指定管理者の先にあるもの
ところで筆者は講演で「指定管理者の先にあるもの」という話をした。このまま財政が悪化すれば、指定管理者どころか施設の廃止もあり得る、ということだ。更地にして売却する動きも出てくるだろう。その時に文化ホールの存続について説得力ある主張ができるだろうか。「地域経済と芸術・文化のスパイラルな関係」における文化ホールの重要性を確立し、説得するのはホール所管部門の役割である。
指定管理者に丸投げしたからと言って、文化施設所管部門の政策上の責任が軽くなるわけではない。
5.直営館の問題
今回の講演で気になったのは、直営館はややのんびりしていた、ということだ。財政に危機感を持つ自治体の企画部門では当然これからも指定管理者制度の導入やあるいは場合によっては施設の廃止、売却、用途転換などが検討されるはずだ。のんびりしていると直営館に配属されている職員やその所管部門は蚊帳の外に置かれてしまう。全体の政策の中で文化ホールをどのように位置づけるかは、自らが身を削ることも含めて担当者も一緒に考えねばならないだろう。
カテゴリー[ 指定管理者制度 ], コメント[6], トラックバック[0]
登録日:2008年 06月 29日 01:03:28
- プロフィール
- Ryuichi Himori
- (男)
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- 団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教授に転職しました。肩書きは日本文化政策学会理事、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事、(社)指定管理者協会理事長などいろいろ。公共経営・行政経営(NPM)、文化政策、アートマネージメント、NPO論などを研究しています。
というような立場を離れて、勝手なことを書かせていただきます。
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