2008年 08月 16日
世界企業の本社ビル③だめ押し
このビルが、1960年から2005年まで世界のトヨタの本社ビルだった「事務本館」
世界第2位(当時)の自動車メーカーの本社ビル、というと皆さんのイメージはどんな建物を想像するだろうか?まさかこんな地味なビルは思い浮かばないだろう。トヨタらしいといえばトヨタらしいが、本社ビルを立派にしないのはすでに見てきたようにこれまで日本経済をけん引してきたモノづくりに価値を置く企業に共通する傾向である。嘘だと思うなら京都の任天堂の本社ビルも見てくるといい。
さすがにトヨタは2005年にこの近く(本社工場の敷地内)に新事務本館を建てた。今ではそこが本社ビルだが、それでも15階建の、周囲に威圧感を与えないように配慮された地味なビルである。
トヨタは名古屋駅前に高層のミッドランドタワーを建てたが、あれも共同ビルの建て替えである。潤沢なキャッシュのあるトヨタなら東京都心にあのクラスのビルを10棟くらいなんでもないと思うが、自社ではいらないし、投資もしないだろう。
筆者はかつて勤めていた会社で臨海副都心のある街区への応募プラン策定に関与したことがある。ゼネコンが一通りビルの外観やコンセプトなど応募プランをつくったのだが、結局応募しなかった。そこに東京の拠点となるビルができたからといって売上が上がるわけでも生産性が高まるわけでもないし、不動産投資として考えてもバカ高い価格でしかも借地権なのだからもとがとれるわけがない。この街区は今でもオフィスビルは建っていない。当たり前である。
日本国内では見栄とか格好づけとか曖昧な土地神話が都心のオフィスビル需要の背景にあるようだが、不動産業ではない一般企業が虚飾を排して冷静客観的に計算すれば結論は明らかだろう。都心で高コスト負担する理由などないのだ。
世界のトヨタの地味な15階建て本社ビルが、愛知環状鉄道三河豊田駅前に建っていることの意味をもっと考えよう。
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登録日:2008年 08月 16日 23:20:10
世界企業の本社ビル②
海外から初めて来た客が驚くのが、この古い3階建てのビルが連結売上5500億の世界最大の楽器メーカー、ヤマハ株式会社の本社だということだ。会長室、社長室はこのビルの3階にある。
この会社も都心の一等地の高層ビルに本社を構える理由はまったくない。会社の信用が増すとか企業イメージが上がるとかいっても、もともと信用は高いし企業イメージはいい。イメージをもっと上げたければ製品の品質・デザイン向上やユーザーとのコミュニケーションに金をかければいいのであって不動産など関係ない。せいぜい銀座の一等地にある自社店舗をかっこいいものに建て替えればいいのである。あとは音楽教室など顧客との接点となる場所を現代風にリニューアルしていけばよい。
日本経済を牽引してきた輸出産業がみんなこの調子だとすると、都心の高層オフィスビルにはどんな需要があるのだろうか?
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登録日:2008年 08月 16日 01:29:51
世界企業の本社ビル①と不動産不況
この地味な建物は連結売上3兆5000億円のスズキの本社ビルである。
失われた10年が終わった2002年以降、日本経済をけん引してきたのは外需と言われている。つまりスズキのようなモノづくりを得意とする輸出産業が業績を伸ばしたのだ。しかしそのような企業は儲かったからといって東京の一等地に本社ビルを構えることはしない。相も変わらず地方都市の工場の一角にある低層ビルが本社だ。
8月13日に不動産会社アーバンコーポレーションが倒産した。今年に入ってからゼファー、スルガコーポレーションなどいわゆるカタカナ不動産が相次いで倒産した。世間では不動産不況と言われているらしい。
しかし、そもそもこの6年間もっとも儲かった産業が東京のオフィスビルなど買わないのだから東京の不動産に実需などなかったのだ。景気がよさそうに見えたのは実需でなくバブルだったのだから、投機資金が細れば崩壊するのは当たり前だ。
輸出産業は儲かれば都心のビルなど買わずに海外の工場に投資してきたし、これからもそうするだろう。となると都心で家賃を払っても儲かる商売は何か、ということだが、今の水準でそんなものはないので不動産はさらに下がるだろう。
それに「情報の非対称性によるモラルハザード」という経済学の教科書を絵にかいたような行動をしてきたカタカナ不動産はつるんでいた反社会勢力ともども退場するのが健全な市場社会というものだ。
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登録日:2008年 08月 16日 00:49:59
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- Ryuichi Himori
- (男)
- ryuichi.himori@gmail.com
- 団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教授に転職しました。肩書きは日本文化政策学会理事、行政経営フォーラム副代表、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事などいろいろ。行政経営(NPM)、文化政策、アートマネージメント、NPO論、都市政策などを研究しています。
というような立場を離れて、勝手なことを書かせていただきます。
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