2012年 02月 07日

遠野物語を読む

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岩波文庫で柳田國男の東野物語・山の人生読了。

本文の内容もすごいが、桑原武夫の解説もすごい。桑原の解説の手を借りながら、筆者なりに感想を述べる。

一つは、柳田の洗練の極致とも言える文章によって、西洋的な理性から見れば荒唐無稽な話が、事実としての客観性を帯びていることである。方言や昔語りではなく文語体で書くことにより、事実が凝縮されて表現されているように思わされる。見事な文章だ。科学的な証明がなくても何かが「そこにあるとわかる」ように書かれている。

二つ目は、神話のように政治や権力の影響を受けていない、普通の(一般の)人々(柳田の言う常民)の話は、単に人々の心象風景や価値観を表しているだけではなく、そこには話の基になる事実があったのだと思わせる。柳田の説によれば、それは山中深く住む日本原住民と後から入ってきた農耕民族の交流である。それが最近まで(江戸後期から明治初期まで)あったというのだ。

遠野物語で取り上げられている話は大昔の伝説ではなく、ほんの数世代前から親世代にあったことが語り継がれている話や、現に行われている信仰やタブーに関することである。そのころは、例えば座敷わらしは本当にいたのだと思うほうが自然である。

柳田の本職は東京帝大出の官僚であり、貴族院書記官長という高位にのぼって退職している。にもかかわらず日本に民俗学という学問分野を打ち立てたプロフェッショナルだ。昔の人はえらいものだが、それは(現代の官僚にはない)深い教養があるからだろう。

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登録日:2012年 02月 07日 01:15:50

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Ryuichi Himori
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団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教授に転職しました。肩書きは日本文化政策学会理事、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事、(社)指定管理者協会理事長などいろいろ。公共経営・行政経営(NPM)、文化政策、アートマネージメント、NPO論などを研究しています。
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