社会主義共和国!?

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指定管理者の話をするために28、29日と新潟県佐渡市に行ってきた。

東京都23区の1.4倍の面積に人口6万9千人、10市町村が対等合併してできた全島1市のこの島に、1030の公共施設がひしめいている。
そのいくつかを案内してもらったが、車で30分の距離に1000席規模のホールが二つあるなどはまだ序の口だ。15分走るごとに現われる入浴施設。いたるところにある公衆トイレ。しかも同じ旧行政区に類似施設が重複しているのは、補助金の出所が違うために所管課が異なるからだ。

回っているうちに思わず口をついて出た感想が、「これは社会主義共和国だ!」。

写真の手前側青いじゅうたんの施設はコミュニティーセンター。某省の事業で建設された施設だ。奥に見えるピンクのじゅうたんの施設は活性化センター。別の省の事業で建てられた施設だ。その実態は早い話お風呂場と休憩所だ。

10市町村の当時、各自治体の担当者はいかに上手に作文して補助金を通すかが仕事だった。別々の補助金で建てられた施が隣り合っている、など行政マンの腕が見事に発揮された事例にはことかかない。地域にとって良かれと思ってやった結果がこの状態。合成の誤謬とはまさにこのことだ。

全島1市になって公共施設の見直しが始まっている。当然ながら、この問題は指定管理者の導入程度では解決できない。思い切ったスクラップアンドビルド、選択と集中が必要だ。合併直後には複雑すぎてどこから手をつけていいのかと立ちすくんでいた状態から、ようやく見直しが動き出している。

しかし、市民にとっては、今までのように与えられるのを待っている状態、要望さえすれば実現する状態からの頭の切り替えが必要になる。
合併は社会主義からの体制転換のようなものだ。新しい体制では、行政の役割は後退する。市民自らがお互いに助け合って施設を管理したり、新たな行政サービスを生み出したりしなければ、とてもこの問題は解決しない。今までの地縁社会だけではない、市民による新たなコミュニティの創成が求められているのだ。
しかしこのことを説き、仕掛けるのは行政だけの役割だろうか。

公務員の数が1700人(公営企業などを含む。この他に県職員、国家公務員も相当数いる)の社会主義国の基幹産業は、公共事業と米作だ。民間産業であるはずの観光事業ですら公営の宿が相当数ある。果たして官依存の社会主義から脱却し、自立の道を歩み始めることができるだろうか。地元の人の「ここは日本の縮図だ」という言葉が印象に残る。

佐渡には魅力的な自然と田園風景、豊な人情がある。これらは貴重な資源であり、筆者は大きな可能性を感じる。この点は項をあらためて述べたい。

カテゴリー[ 行政経営 ], コメント[4], トラックバック[0]
登録日:2007年 01月 30日 17:27:58

コメント

「社会主義共和国!?」という刺激的なタイトルがすんなり入ってきたのはなぜだろう。しかも、紹介された公共事業の実態は周知のことである。
軽妙で切れ味のよい筆致とタイトルが絶妙のハーモニーを奏で、説得力を醸し出しているからであろう。
日本はやっぱり「社会主義共和国」だったと改めて認識させられたのだが、果たしてここから脱皮できるのか。
この国が抱える課題は私の想像以上に重いのかもしれない。

桝 @ 2007年 01月 31日 11:34:32

総務省のHPによると、市町村数はこの8年間で3232から1804と半減近くになったそうだ。国の「三位一体の改革」「骨太の方針」の具体策の一つとして、市町村合併が着々と行われてきた結果だけど、「日本の縮図」のすさまじい実態をさらりとレポートする佐渡特派員桧森ブログを読んで、ここまでやったのか?!という感じ。

合併の目的は行政効率を上げ、「地方は自らの力で生き残る」ことであるはずだが、実態はだいぶ違うんじゃないか。

地方自治体は国の補助金や交付金で、昔からずっとハコモノ主体行政をやってきた。さらに合併促進剤の「合併特例債」(みえみえの馬人参)や「交付金」(みえみえの手切れ金)を当てにし、各合併市町村は10年間の「新市町村建設計画」をここぞとばかり策定して、まさに只今計画進行中だ。ハコモノは建設費用もさることながら、維持改修費用がばかにならない。「単年度単式会計」の各自治体がその費用手当に四苦八苦し、現実には維持改修がおろそかにされていることがよく物語っている。

一方で、合併に際しそれぞれの「地元地域を尊重する」という甘言令色で、旧市町村のハコモノの統合やスクラップが進まないケースが多いようだ。

新自治体の首長や議員や職員、そして市民はよほどの覚悟で「行財政改革」を進めないと、自分たちの未来はないぞ。ばら色の「新建設計画」を早く見直して夢から覚めないと、国に梯子をはずされるは、つけは次々回ってくるはで、10年先どころか3年5年先が危ういぞ。「合併」は単なる手段であって、決して目的じゃないんだから。

macchan @ 2007年 01月 31日 20:58:27

桝さん
コメントありがとうございます。まったく気が遠くなるような話しですが、少しずつ変わり始めているような気もします。合併してあらためておかしさに気づくこともあるかもしれません。予期せぬ効果ですね。

himori @ 2007年 02月 01日 22:15:43

macchanさん、われわれが住んでいる街も十二市町村が合併したので人事ではありませんね。まさか合併特例債でへんなもの建ててないですよね。あ、区役所を建てているのか。誰もいるとは思っていないのに。区に権限を委譲すると言っているなら、今の市役所に区役所4つ置けばいいのに。どうせ区に都市としての一体性などないのだから。不便な場所の区役所(バスも通っていない)に行くくらいなら今の市役所に行くほうがよっぽど便利です。

himori @ 2007年 02月 02日 16:27:44

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Ryuichi Himori
(男)
ryuichi.himori@gmail.com
団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教授に転職しました。肩書きは日本文化政策学会理事、行政経営フォーラム副代表、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事などいろいろ。行政経営(NPM)、文化政策、アートマネージメント、NPO論、都市政策などを研究しています。
というような立場を離れて、勝手なことを書かせていただきます。
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