田舎のライブハウス

田舎といっても人口8万3千人の市にあるライブハウスでコンサート。
地元のアマチュアの出演が多いが、月に2回はプロミュージシャンの有料ライブ。
今日は名古屋のプロのビッグバンドでチケットは前売り4000円、当日5000円。
客は80人ほどだが、狭い場所ならではの濃密な雰囲気の中で、みんな心から演奏を楽しんでいる。またお客が音楽をよく知っている様子がうかがえる。
演奏を聴きながら、文化政策について考えた。
①しょせん、芸術・文化は好きな人が、好きな人を相手に、好きなことをやること。
リスクを背負って名古屋からミュージシャンを呼び、必死で切符を売っているマスターも、たかだか40万円の売上で儲かるはずもないが、ジャズが好きなので楽しくてしょうがないのだ。
この市にも市民会館があり、自主事業をやっているがあまり盛んではない。好きでもない人が、好きでもない人を相手に、好きでもないことをやっているのだから当然だ。
自分の市にライブハウスがあって夜な夜な好き者が集まってライブを楽しんでいることなど、行政やホールの担当者は思ってもいないだろう。そして「わが町には文化がない」と嘆いているのだ。つくづく文化事業は行政がやることではないと思う。
大きなハコモノを作る必要もない。好きな人が、好きな人を相手に、好きなことをやれれば、会場はどこでもいい。大事なのはそこで生まれる熱気だ。
②このライブハウスは実は郊外のロードサイドの喫茶店だ。駐車場が広く、みんな車でくる。だからジャズのライブハウスなのにお酒を飲まない。みんなコーヒーを飲んで盛り上っている。この店が中心市街地にあってもお客にはかえって不便だろう。夜の11時まで公共交通機関など動いていないのだから。
このあたりは本当に全国どこへ行っても同じようなロードサイドの風景が拡がっているが、その中にもよく見るとこんなおもしろい場所がある。酒のないジャズのライブハウスなど想像もしなかったが、現実にこうしてあるということは、殺風景な中にも新しい文化が生まれつつあるのかもしれない。
時間に制約されず移動の自由をもたらすモータリゼーションは、ピンポイントで好きな場所へ行って好きなことをやる、ということにはかえって都合がいい。だいたい芸術・文化は地価の安いところでしか成り立たないのだから、これからロードサイドにますますおもしろい場所が生まれるだろう。音楽創造の拠点であるスタジオの立地など既にそうなっている。芸術・文化に見捨てられたら中心市街地はますます空洞化するだろうが、別に構わないではないか。
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登録日:2007年 03月 09日 23:51:09
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- ryuichi.himori@gmail.com
- 団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教授に転職しました。肩書きは日本文化政策学会理事、行政経営フォーラム副代表、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事などいろいろ。行政経営(NPM)、文化政策、アートマネージメント、NPO論、都市政策などを研究しています。
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