アートマネージメントの逆説:チケット販売を出演者の名前に頼るな!
さて、前回の記事に書いたジャズフェスティバルのチケットのうち、チケットぴあに配券したSS席とS席は即日完売してしまった。
しかし実は全てのチケットをぴあやローソンチケットに配券しているわけではない。毎年必ずお願いしている様々なルートがある。どんなにぴあで売れるからといって、手のひらを返したようにそちらの様々なルートを減らすことはしない。
それはなぜか。企画の自由度を確保するためである。
このジャズフェスティバルは日本のジャズ音楽への貢献をコンセプトのひとつにしている。そのために、実力はあるけれども一般には名前を知られていないミュージシャンを紹介しなければならない。また、これから伸びるであろう若手ミュージシャンの登竜門の役割りも果たさなければならない。また日本のミュージシャンに多大な影響を与えているが一般には知名度の低い海外の巨匠を招いて刺激することもある。
このようなミュージシャンは知名度が低いため、チケットぴあに配券して広告宣伝を売ってもチケットは売れない。だから独自にチケットを引き受けてくれるルートを作っておかなければならない。それは例えば、勤労者福祉協会を通して企業の福利厚生のために買ってもらうようなルートだ。
そのようなルートで買う人たちは、ミュージシャンのファンでもなければジャズに興味のある人たちでもない。もしかしたらライブコンサートはこれしかいかない人たちだ。でも毎年回ってくるチケットを楽しみにしてくれている。「誰だかよく知らないが、あのフェスティバルに行けば楽しいことは間違いない」と思ってくれている。
今年はたまたま有名大物ミュージシャンが出るために、ぴあは即日完売した。しかし来年もそうとは限らない。だからぴあで売るほうが手間がかからないのがわかっていても我慢しているのだ。
ミュージシャンやアーティストではなく、フェスティバルあるいはコンサートのファンを作る。これがアートマネージメントの極意だと思う。
そのことに気づかず、売れ筋ミュージシャンを追い求めることによってマンネリ化し、中止に追い込まれたジャズフェスティバルをたくさん知っている。
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登録日:2007年 04月 03日 00:22:29
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- ryuichi.himori@gmail.com
- 団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教授に転職しました。肩書きは日本文化政策学会理事、行政経営フォーラム副代表、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事などいろいろ。行政経営(NPM)、文化政策、アートマネージメント、NPO論、都市政策などを研究しています。
というような立場を離れて、勝手なことを書かせていただきます。
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