アートマネージメント参考本
書評を書く柄ではないが、最近読んだ本の中からアートマネージメントを考える上で参考になったものを紹介する。
1.片山泰輔『アメリカの文化政策』日本経済評論社2006年
著者から贈呈されたからほめるわけではないが、アートマネージメントの概念がなぜ生まれたのか、アメリカではアートについて政府の役割は本当に小さいのか、など数々の疑問に答えてくれる好書である。
2.クサビエ・グレフ『フランスの文化政策ー芸術作品の創造と文化的実践』垣内恵美子監訳、水曜社2007年
政策とはPOLICYであり、あることの目的と手段を含む概念である。文化政策とは、単に公立文化施設の自主事業をどうするか、というような矮小な問題ではない。本書ではフランスの事例により、国家にとって文化政策とは何を目的とし、どのような手段でなされるのかがわかりやすく説明され、文化政策と何かがよく理解できる内容である。
3.見城徹『編集者という病い』大田出版2007年
本書は、表現者であるアーティストとアートマネージャーの関係とはどのようなものかについて、数々の示唆を与えてくれる。また、大衆に媚びるのではなく、市場を創り出すことによって作品を売る方法についても数多くの示唆がある。芸術だから売れない、という言い訳に対する強烈なアンティテーゼである。
4.ハンス・アビング『金と芸術ーなぜアーティストは貧乏なのか?』グラムブックス
2007年
かねてからの芸術とお金についての筆者の身もふたもない主張を、身もふたもなく裏付けてくれる内容である。アートマネージメントを志す人にはぜひ読んでほしい。アーティストには、高額所得者もいれば奥さんの稼ぎで食っている人もいるのが現実だ。それはなぜか?
筆者はAMAZONで本を買うことが多いため、時々とんでもない「はずれ」を掴まされるときがある。
あえて書名は書かないが、音楽企画とアートマネージメントに関する本で箸にも棒にもかからないのがあった。例えば「第3節:制作の実践 1.印刷物」の項でこんな記述がある。
「また、印刷屋の選択もしなければならない。印刷屋によって値段の差がかなりあるので、知人などに訊いて参考にするのが賢明だ。」
こんなことを金をとって売る著作物に書いていいものか?
現代日本においてのアートマネージメントの概念を明らかにし、その手段と実践について説明したそのものずばりの本は、ありそうでなかなか見当たらない。なければ筆者が書くしかないか、と思っている。
カテゴリー[ アートマネージメント ], コメント[2], トラックバック[0]
登録日:2007年 04月 13日 00:22:35
コメント
私は、15歳のときに、劇団民芸の「才能とパトロン」という芝居を観ました。
樫山文江、奈良岡朋子、滝沢修が出演していました。
才能というものが花開くために必要なものは、いったい何なのだろう・・・・。
才能は、果たして自立できるのだろうか。
これは、30年以上、ずっと抱き続けている、答えが難しいテーマです。
私なりの才能に対する直感は今まで外れてはいませんが、人に理解してもらうのも厄介です。
舞台やアーティストをプロデュースする立場になりましたが、共鳴できる書物があれば、とんなに助かるでしょう。精神的に楽になる気がします。
ここにあげられたものの中で、これは読まねばと感じるのは、見城さんの「編集者という病」。これを最初に読んでみようと思います。
もちろん、他の書も読みます。とても興味があります。
野住 @ 2007年 04月 18日 23:20:17
野住さん
才能の問題は難しいですね。アーティスト自身がこの問題を正面から語った本としては、村上隆『芸術起業論:一作品一億円で落札。すべての人(=アーティスト)は起業家である。』幻冬舎2006年をお勧めします。もうお読みになったかもしれませんが。さすが見城さんの出版社、画期的な本だと思います。
himori @ 2007年 04月 19日 22:28:18
コメントを追加
Trackback
この記事に対するトラックバックURL:
- プロフィール
- Ryuichi Himori
- (男)
- ryuichi.himori@gmail.com
- 団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教授に転職しました。肩書きは日本文化政策学会理事、行政経営フォーラム副代表、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事などいろいろ。行政経営(NPM)、文化政策、アートマネージメント、NPO論、都市政策などを研究しています。
というような立場を離れて、勝手なことを書かせていただきます。
(なお、mixiもやってます。)
- 最近のエントリー
- [07/19] 団塊介護終盤戦
- [07/19] 地産地消
- [07/13] 栗東さきらはもっとすごいことになっている
- [07/12] これは異なことを承る
- [07/10] 授業最終回
- [07/08] 南スペイン アンダルシアへの憧憬
- [07/03] 新しいカテゴリー「指定管理者制度」
- [07/03] 変わるもの変わらぬもの
- [06/29] 指定管理者講演会
- [06/25] インターンシップ面接
- 最近のトラックバック
- 月別アーカイブ
- 2008年 07月 [8]
- 2008年 06月 [14]
- 2008年 05月 [10]
- 2008年 04月 [13]
- 2008年 03月 [18]
- 2008年 02月 [19]
- 2008年 01月 [19]
- 2007年 12月 [22]
- 2007年 11月 [25]
- 2007年 10月 [18]
- 2007年 09月 [17]
- 2007年 08月 [15]
- 2007年 07月 [18]
- 2007年 06月 [14]
- 2007年 05月 [20]
- 2007年 04月 [12]
- 2007年 03月 [16]
- 2007年 02月 [16]
- 2007年 01月 [18]
- 2006年 12月 [16]
- 2006年 11月 [16]
- 2006年 10月 [16]
- 2006年 09月 [23]
- 2006年 08月 [19]
- お気に入りリンク
- 検索