今年度もキャリア教育
今週は県のキャリア教育の手引き編集会議で講演した。
テーマは「キャリア教育が求められる社会的背景ー企業の現場から」。
筆者が話した内容は「企業が求める人材を供給せよ」という単純な話ではなく、「経済と雇用の構造変化の中で、子供たちの幸せな未来のためには、いままでの学校教育だけでは対応できない」ということ。つまり、「いい学校=いい会社=幸せな生活」という幻想が崩壊しているなかで、子供たちが生き抜くために必要なリテラシーを身に着けるためには、企業、NPO,、地域社会の協力が必要だ。そして個が自立し、自ら判断できる子供を育てることが大切だ、という話をした。
参加した先生方からは、受験校で目先の大学進学率が重視される中で、キャリア教育が理解されない悩みや、父親がキティちゃんサンダルを履いて学校に来るような地域の学校で、社会に出て困らない最低限の礼儀だけでも何とか身につけさせようと奮闘する姿など、現場の話を聞くことができた。
キャリア教育は、豊かな時代に、生徒が勉強の目的を見出すための教育であり、大人になったらいやおうなく取り組まなければならない「答えのない問題に取り組む」方法を身につける教育でもある。
さて、今日は「地域自律・民間活用型キャリア教育プロジェクト」コンソーシアムの今年度第一回の会合があった。今月からまた中学校でのプログラムが始まる。今年度はどんな個性豊かな中学生に出会えるか楽しみである。
6月5日には早速ある中学で1年生144人を相手に「働く意義を考える」という話をしなければならない。うまく伝えられればいいが・・・
カテゴリー[ キャリア教育・生涯教育 ], コメント[5], トラックバック[0]
登録日:2007年 06月 01日 23:31:48
コメント
『不平等社会日本』(佐藤俊樹著)によると、90年代前半までの日本社会は「社会移動」(親子間の階層の移動)の可能性が高く、親の職業とは無関係に子どもは自分の望む職業に就くことができたという。不幸なことに今日では、親が管理職や専門職、いわゆるアッパーホワイトカラーでない限り、子どもも同様な職種に就くことが困難な時代に突入している。親より“いい暮らし”ができる子どもが激減することは間違いない。
最近東京でも、かつてはニコヨン仕事といわれた屋外のさまざまな労務に、若い男女が就労しているのをよく見かけるようになった。漫画喫茶で寝泊まりするホームレス予備軍の若者の急増は、何を意味するのか、私たち親世代はよほど肝を据えて考えないといけない。彼等の大半は東京近郊、あるいは地方の中小都市から職を求めてやってきた。そもそも親の経済インフラが彼等を支えきれないからこそ、東京に出てきたはずだ。だから、故郷にはおいそれとは帰れない。これは、考えてみると、明治・大正生まれの彼等の祖父・祖母の世代と同じ状況ではないか。1つだけ違う点は、今の若者はすでに「いい学校=いい会社=幸せな未来」の幻想がないこと。個人の生活を犠牲にして働いてきた親の“社畜”振りを見てきている彼等に、仕事=人生という方程式は通用しない。勝ち組の高給取りの正社員になったところで、50歩100歩と考えているのではないか。では、何をよすがに人は生きていけばよいのか? 日本人が今まで苦手にして考えてこなかった難問に、これからの子どもたちがきっと答えを出してくれると期待したい。
そもそも学校でキャリア教育をすることに矛盾を感じる。キャリアはキャリアによってしか学べないからだ。むしろ、就労機会の不平等や賃金の不公平などキャリアにまつわる社会・経済問題をしっかり学んで欲しい(上述のワーキングプアを扱ったビデオなどよい教材ではないか)。アメリカの貧しい階層の若者が兵士となって、イラクで戦死していることなども知って損はない。
なび @ 2007年 06月 04日 21:56:52
なびさん
社会が発展するためには階層流動性はとても大切で、「再チャレンジ」などと悠長なものではありませんね。いずれまた書きますが、大英帝国が発展した18世紀、貴族社会といわれながら実は意外と階層流動性があったのがイギリスです。キャリア教育の中身については別の記事で書いたとおりですが、とにかく今の学校教育の範囲で教えきれないことを何かやらざるを得ないと思っています。この10年の変化に先生方がキャッチアップしていないのを感じるからです。
himori @ 2007年 06月 06日 20:43:54
東京都杉並区立和田中学校の藤原和博校長の「よのなか科」の試みは、キャリア教育の試金石となるのでは…。同氏は就職情報のリクルート社からの転身で、公教育の現場に軟着陸した特攻兵士のような立場なのであろうが、
ビデオニュースによる実際の授業風景の紹介はなかなか面白かった。
http://www.videonews.com/on-demand/301310/000976.php
なび @ 2007年 06月 06日 21:28:42
日経ビジネス5月28日号特集「本当の教育再生ー光る現場に学べ」によれば、和田校長の談として「驚くほど我々の取り組みが周囲の学校に広がらない。(教育改革の)ショールームを作れば、ひとりでにダダダダッと波及すると思っていたのに」という言葉が載っています。この辺に問題がありそうですね。
himori @ 2007年 06月 11日 11:01:12
役者になるより、観客のほうが楽? 教育界にも桧森さんのようなミッションを持ったマネージメントのプロが必要なのではないでしょうか。学校と「よのなか」の橋渡しをする人材の育成が急務。それにしても、教育委員会のような官僚組織がなぜいまだに温存されているのでしょうか? 道路公団よりこっちの改革に手をつけてほしい。社保庁のずさんな年金管理システムを知るにつけ、既得権益を保守しようとする集団のパワーは、官僚であれ、教員であれ、余人の想像を超えた強固なもののようです。やはり、校長の権限で押し切るスタイルではなく、教員自らが学校を変革していくカウンターパワーに期待するしかないのでしょうか。いずれにせよ、外圧が大事ですね。
なび @ 2007年 06月 13日 22:46:27
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- ryuichi.himori@gmail.com
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というような立場を離れて、勝手なことを書かせていただきます。
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